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七夜の奇蹟

作者: 双葉 蓮

七夕に因んだ話を書きたくて書いてみました。

 ――7月7日午前7時7分

 俺はスマホの着信音で目が覚めた。

「こんな時間に誰だよ」

 眠い目を擦りながらスマホの画面を見る。差出人不明。

『今日、10時駅前集合ね

  久藤知里』

 俺は暫くそのメールから目が離せなかった。

「知里!?なんで……」

 知里は小学校の頃突然引っ越してそれから連絡が取れなかった。親からは事故で家族全員死んだと聞いたはずだった。なのに何でだ?

 その時の俺はそんな事どうでもいいくらい、知里にまた会えるという喜びでいっぱいだった。


 ――7月7日午前10時

 俺は支度を整え、待ち合わせ場所に向かう。目的地に着くとそこには浴衣に身を包んだ知里の姿があった。あの時よりも成長している。

「お前、本当に知里なのか?あの時、引越し先で事故にあったんじゃ……」

「私も分かんないんだよね。でもたしかに私は久藤知里だよ。久しぶりだね、悠くん」

 そこにいたのは紛れもない知里だった。しかもちゃんと触れられる。

「まぁでも、おかえり知里」

「ただいま悠くん」

 それから俺達は祭りが始まるまでの間、昔の話や別れてからのこと、色々語り合いながら街を歩いたり、公園でのんびりしたりした。


 ――7月7日16時

 俺達は近くの神社で行なわれる七夕祭りにやって来た。

「こういうお祭りって久しぶりかも」

「そうだな」

 話しながら境内を散策する。辺りには出店がいくつか並んでいる。

「知里、何か欲しいものあるか?」

「んー、私りんご飴食べたいな」

「分かった。じゃあ、後適当に買ってくるよ」

「私も行くよ」

「人が多くなってきたからはぐれたら大変だろ?社の裏側で待っててくれ」

 知里はいじけた顔をしていたが渋々と言った形でいうことを聞いてくれた。俺は出店を回ってりんご飴とたこ焼きと焼きそばをそれぞれ買って知里の元へ戻る。

「おまた……知里!」

 知里は力無く横になって倒れていた。俺は買ってきたものを近くに置き、抱き起こす、

「知里!どうしたんだ?」

「もう……時間が……無いみたい」

 その言葉で俺は現実に戻った。余りにも自然で何も思わなかったが、知里はもう死んでるんだ。いつか消えるのはわかってた事じゃないか!だけど早すぎる!

 後ろで花火が上がり始める。もう7時か。

「俺、お前にどうしても伝えなきゃならないことがあるんだ。俺、お前のこと、出会った時からずっと、す、好きだった!今も、これからも……」

 俺はいいながら泣いていた。涙が溢れて止まらない。

「ありがとう……悠くん。私も……悠くんのこと……大好き……でした。ねぇ、悠くん……生まれ変わりって……知ってる?」

「生まれ……変わり?」

「そう……死んでもまた……新しい命で……生まれて、くるの。だから……これはお別れじゃないよ。生まれ変わった私を……悠くんが見つけてくれる」

 知里の体はもうほとんど消えていた。

「じゃあ、またね悠くん」

「あぁ、またな」

 知里の身体は完全に消えた。俺は暫く知里の身体があった所を抱きしめていた。


 翌日、俺は両親に聞いて知里の墓参りに行った。昨日食べられなかったりんご飴などを供えて手を合わせる。

「知里、また会えるよな。もう新しい命になってたりするのかな。俺は必ず君を見つけるよ」



 ――10年後

 教師になって初めての担任。そのクラスに転入生が来た。

「初めまして、加藤美咲です。これから宜しく御願いします」

 俺はその子を見て直感的にこの子だと分かった。俺は笑顔で返す。

「あぁ、宜しくな」

 そして、この子とまた色々あるのだがそれはまた別の話。

なんかアドバイスとかなんかあったら是非

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