プロローグ
私がまだ中学生の頃、私は複数の男に犯されかけたことがある。
好きな人に捧げようと思っていたファーストキスはその男達に奪われ、衣服が乱れた私のことを男達はいやらしい顔で次々と撮影する。
気持ち悪い…。
誰か助けて…。
お兄ちゃん…!
下着を脱がされ、男達が私の中に侵入しようとするまさにその時―――
突如眩い光が視界ではじけ、私を押さえつけていた男が10m程吹き飛んでいく。
男が吹き飛んだ方向と逆の方向を向くと、ピンク色のコスチュームに身を包んだ金髪のコスプレ少女が立っていた。
「な、何だお前ばッ!!!!」
男の顔面に、少女の膝蹴りが炸裂する。
男は宙を舞い、地面に倒れ込み、ピクリとも動かなくなった。
「はぁ…。まったく、何で男ってのはこういうのばっかりなのかな…。」
その後も男達は少女に襲いかかるが、皆一撃で地面に伏していく。
最終的には、痛い格好をしたコスプレ少女と私だけがその場に残っていた。
「…。立てる?」
少女はそっと私の方に手を差し伸べる。
「あなたは誰…?」
「私は魔法少女だよ。」
「魔法少女…?」
「うん。皆には今日見たことは内緒だよ。」
そう言うとその少女は踵を返し、去っていく。
その日以降、私はあの日見た綺麗な金髪を、青い目を、ピンク色の痛いコスチュームを夢に見なかった日は無い。
――――私は、魔法少女になりたかったんだ。