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打算の畑  作者: さいこ
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描写力の練習について

 小説を書いてて、地の文がうまいとよく言われる。本当にありがたい話だ。

 私自身としては正直なところそこまで自信がないのだけれど、作品を公開するにあたっては自信を持っている風にしておくのがいいかなと思って、あらすじに「卓越した描写力」とかそんなような事を書いてみたりもした。


 ただ、小説の中で一番自信あるところは、と聞かれたら相対的に描写力だと答えるのは確かなので、少しだけ描写力の話がしたい。


 私は中学生くらいの頃から時折物書きごっこをしていたのだが、これがなかなか酷かった。

 脳内では物語が出来ていても、描写力がなさすぎて中身が薄かったのだ。その分読みやすくはあったかもしれないけれども、臨場感はなかった。


 そういう時代を経て、描写力を上げようと試行錯誤したことがあるので、描写力に悩む物書きさんがもし万が一この話を読んでいるならば言っておきたい。


「描写力は、練習すればぐんぐん上げられます」


 そういう訳だから、私がやってた描写力の練習方法について書きます。

 とりあえずまずは風景の描写について。


 風景描写の練習をする時は、まず写真を用意します。

 そしてその写真の風景に辿り着いた人物の気持ちになって、出来るだけ長く描写します。例えば十文で書くとか。慣れないうちは五文とかから始めてもいいかもですね。

 そうすると、きっと写真の色んなところを見ると思うんですよ。空の色、雲の形、木々の茂りや建物の雰囲気、エトセトラ。

 比喩を用いたり、その風景から想起できることを書いてみてもいいですね。

 あるいは、風景というのは実際は写真のように視覚情報だけでなく、五感を使って感じ取ることが出来る訳ですから、土の匂いや風の温度、踏みしめる大地の感覚や湧き出る清水の味だって書いていいかもしれません。

 

 十分書けるようになったら、次は写真なしで、自分の想像の世界を描写します。

 今度は資料が無いので妄想力が必要になりますが、写真で練習した時と同じ点に着目して描写すればいいのです。

 空の色はどうのこうので、何とかみたいな雲が涼しい風に流されてる。とか。


 ステップアップとして、心情描写と組み合わせると深みが出ます。

 これは特に一人称視点でのお話に顕著ですが、風景というのは、見る人の気持ちによって大きく見え方が変わります。

 例えば澄み渡る青空がどこまでも続くような大草原があったとしましょう。

 清々しい気分の人がその景色を見たら最高に盛り上がりそうですが、嫌なことがあった人なら「皮肉な程に晴れてやがる」と思うかもしれませんし、敵から焦って逃げてるような人ならそもそも景色なんて見る余裕なさそうですよね。

 そんな風に、登場人物の気持ちまで配慮して風景を書くと、臨場感が出てきます!


 続いてその心情描写。

 これも基本的には風景描写と同じで、ある感情について色々な書き方をしてみます。これは心情を表す描写のレパートリーを増やす意味があります。

 例えば「怒り」でしたら、頬を膨らませる、口を尖らせる、地団駄を踏む、唇を噛む、叫び散らすなどなど、色んな書き方ができる訳です。これを例えば十五個挙げるとか、十文で描写するとか、そうやって練習してみます。

 慣れてきたら「悲しみ+悔しさ」みたいな複雑な感情をテーマにして五文で描写するとか、「不安」をテーマに1000字の作品を書くとかまでしてみるといいと思います。

 そうしていくうちに、「怒ってる人ってどんなこと考えるだろう」とか考えるようになるかと思います。そうなってくるとよりリアルな書き方ができると思いますし、感情移入しやすい文章になる気がします。

 ちなみに、ぶっちゃけ私心情描写どちらかと言うと苦手です。参考程度に。


 最後は状況の描写です。

 例えば世界観の説明だとか、戦況の解説みたいなやつですね。

 こういうのも、単調な説明よりは五感(あるいは第六感)で感じ取れる情報や、心情描写を交えた方がかっこよくなる気がしています。

 例えば……。

「アリスの周りには男が3人、それぞれ剣のような武器を持っている。」

「アリスは素早く周囲を見渡した。その周りには、下衆な笑いを浮かべたチンピラのような男が3人。彼らは品定めをするような目つきでアリスの身体を見ながら、右手に持った剣の刀身を左手で弄んでいる。アリスは舌打ちをした。彼らが強そうで厄介に思えたからではない、単純に不快だったのだ。」

 どうでしょうか?

 あるいは、街の説明にしてもそうです。

「この街は、港町として発展し、今や主要な商業都市となっている。」

「この街は、元来港町であった。海の向こうから来る、本土では珍しい品々が、互いに競い合うように店頭に並ぶ。大陸随一とも言われる市場へ行けば、瑞々しい果物やさっきまで生きていたように新鮮な魚が、それらの品を目当てにやって来た人で賑わう風景を彩る。叩き売りの声や甘酸っぱい果実の匂いが入り混じり、活気を肌で感じられて心地よい。この街はそうして主要な商業都市となったのだ。」

 といった具合です。

 風景描写や心情描写のスキルがあると、世界観や街の説明をするにしても読み手に伝わりやすく、厚みのある説明になると思うんですよね。


 まあ、この話を読むほとんどの作者さんからしたら、そんなの当たり前じゃん何言ってるの、って感じかもしれませんが、参考になれば幸い甚だ。


 じゃ、また気が向いたら創作の話もしてみます。

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