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打算の畑  作者: さいこ
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雑草抜き

 どうも今日はこういう書き方と相性がいい日らしい。筆を走らせる……というかフリック入力をする度に幸福感を覚える。


 たぶん誰にも言っていないが、実のところここ最近言葉が思いつかなくて困っていた。


 私は文章を書く時、書きたいことを想像しながら文を組み立てるのだが、その中で選択肢が浮かんでいくのだ。うーむ、伝えにくい。


 例えば、『シンプルなその一言に尽きる』という文を書きたかったとする。

 私は一度『単純な』と打ち込もうとするが、その過程で『シンプルな』『簡素な』『ただ』『あっさりとした』っていう語彙が脳内で泡のように浮かぶ。

 私はそれを見て、『単純な』を消して『シンプルな』と打ち込む。

 予測変換みたいなものだろうか。『笑う』って打ち込もうとして予測変換に『嗤う』って出て来て、こっちにしよって思ったことはないだろうか?

 たぶんそれに似てる。


 それがここ最近どうも調子が悪くて、単純で趣の無い語彙がほんの少ししか出てこなかったのだ。描写力は、刃こぼれしているものの、私の数少ない武器だと思っているので、これは由々しき自体だった。


 この前は『昼の散歩』という擬古文風の日記を書いたが、あれは不調を抜け出すための悪足掻きであった。凝り固まった言語中枢の体操とも言える。


 まあ、結果として『昼の散歩』はそう意味ではあまり機能しなかったのだが、こうして何も考えずにエッセイという名の戯言を宣っていると、思いの外調子が良い。

 そしてそういう時に文字を書くというのはやはり気持ちが良い。


 ちょうどデスクワークで気が滅入っているところに土日の休みを使って庭で土いじりをする様な気持ちだ。うちに庭などないから本当にそうなのかは分からないが。


 今日はいい作品が書けそうな気がする。

 気がするだけ。


 そう、大体こういう不調な時は筆を置くか、敢えて普段使い慣れていない言葉を使ってみるの。具体的に何を期待しているわけでもないんだけど、そうしたら何か治りそうな気がするってだけ。

 お腹痛くなったらツイートしてみるのと同じ。


 普段使い慣れていない言葉を使うのは他にもメリットがあると思っている。たぶん一人称視点で作品を書く時に幅が広がる。っていうか、色んな言葉が使えた方が鮮やかに何かを伝えられるし、舞台を広く使える。はず。


 文字書きの皆さんも、行き詰まったら普段使わない色鉛筆を手に取ってみることをオススメする。詩とか書いてみようぜ。

 大体こういう慣れないことしようとすると恥ずかしいものだと思うんだけど、大丈夫大丈夫。バンジージャンプみたいなもん。何なら私と一緒に畑を耕そうぜ。


 で、いつもと違う文章書いていい感じにウェルニッケ野が温まったらまた続きに戻る。っていうのが私の戦略。


 その結果、すぐに戻るすぐに戻ると言いながら居心地のよい畑に座り込んでダラダラと雑草を抜いているのが今の私。

 情けない限りですね。

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