マーベラス樹海観光
「それじゃあ行ってきますね。」
城の兵士やメイド達に見送られて馬車が動き出す。マカロンから手紙を受け取ってから1週間たった今日俺達はマーベラス樹海に向け出発した。メンバーは俺とソアルにメイリン、バウムに御者でヴォーパルバニーのピノンだ。この中でピノンは初めて会うが話を聞くとレクレイの補佐官で何でもこなす万能な女の子とのことだ。人当たりも良さそうだし、レクレイが認めたヤツなら大丈夫だろう。馬車の中はソアルとメイリンが着いたら何をしようかと盛り上がっている。バウムはと言うと馬車に入らないため後ろの荷台に座っている。体デカイもんな仕方ないか。
「ねえゲイル、マーベラス樹海には蛍の木っていうキレイに光る木が何本もあるんだって、見てみたいよね。」
「ああ、面白そうだな。」
「そうですね。そことあと温泉もあるみたいですよ。私はそっちにも行ってみたいです。」
楽しそうで何よりだ。俺はちょっと不安だ。ゼビウスに何て話すかな、自分を殺した相手だもんな、そんな相手に謝られても、じゃあ何で殺したんだって気持ちになるよな、謝っても生き返るわけでもない、ただ腹立たしさがぶり返すかもしれない、でもだからといって話ができるのに無視して行くわけにもいかない、今の俺の気持ちを伝えるんだ、今はそれが精一杯だ。マーベラス樹海はピネロ平原を東へ3日進むと見えてくるらしい、思ったよりも近くだな。マカロンへは先週そちらに行くと手紙を出し、つい昨日お待ちしてますと帰ってきたので大丈夫なはずだ。車輪が音を上げながら馬車は進む。
・・・3日後。
旅路は順調に進み、マーベラス樹海が見えてきた。見渡す限り巨大な木に覆われたそこは木々と一体となった家が多く並ぶ町となっていた。
「わぁーすごい。あの家なんて木の中をくりぬいてできてるよ。」
「あっちなんてあんなに高いところに家がありますよ。」
マーベラスの町並みは見ていて面白いな。
ヒヒーン。
馬車が止まる。
「魔王様、宿につきましたよ。」
馬車から降りると3階建ての立派な建物があった。借りた部屋は3階の眺めのいい場所で部屋も広くゆったりできる。各自部屋に荷物を置いて観光に出かける。まずは蛍の木を見に行くことになった。樹海の奥へと進んでいくと日の光が入らないのか辺りがだんだんと暗くなっていく。しばらく歩いていくと先の方に光が見えてきた。近づいてみると神秘的な白い光を放つ木が何本も映えていた。
「キレイ。」
皆目を奪われていた。十分堪能したら今度は温泉に行くことになった。温泉は町の中にあり、その周辺は湯気が立ち硫黄の臭いがしていた。男女別れて中に入る。温泉の浴槽は木でできており暖かみがある。体を洗い温泉につかる。バウムが入ると浴槽のお湯が大量に溢れた。
「へえ~ピノンちゃんってレクレイのこと好きなんだ。」
「はい、大好きです。だって優しいし、強いし、カッコいいし、それに大臣ですよ、まったく非の打ち所が無いんですよ。私レクレイ様近づくために頑張って補佐官にもなったんです。告白したいんですけど今の関係が壊れたらと思うと怖くてなかなか言い出せなくて。でもいつかきっと伝えるんです。」
「そうなんですか。私陰ながら応援させて頂きますね。」
「そういうソアルは誰か好きな人居ないの?」
「私ですか?私は・・・秘密です。」
「わぁーズルい。ねえピノンちゃん。」
「そうですよ魔王様、教えて下さいよ。」
向こう側は恋愛トークで盛り上がっているようだ。こっちはと言うとバウムと話すこともできないからちょっと気まずい。温泉から上がると、今度は食事を取ることに。事前に調べた情報により町の外れにある食堂に行くことにした。そこは樹海で取れるおいしいキノコを使った料理が出されるらしい。食堂は2階建てとなっており1階が調理スペースとカウンター席、2階がテーブル席となっている。俺達は2階の窓際の席に座った。俺はキノコパスタとキノコステーキを注文した。
「ソアル、午後からはどこ行くの?」
「そうですね、ちょっとお会いしたい方が居るのでその方のお宅に伺おうと思います。」
「ソアルそれって。」
「はい、マカロンさんの所です。」
そうか、ついにやって来たな。覚悟を決めよう。




