ソアルの思惑
この話はメイリンの目線で書きました。
ハァハァ。
ソアルの居る謁見の間へと走る。嘘だ、ソアルがゲイルを殺したなんて絶対嘘だ。
バン。
扉を開けるとソアルとパルディアさんと兵士が4人居た。
「ソアル!」
「あ、メイリンさんどうしたんですか?」
「ソアル、ゲイルを殺したなんて嘘だよね?ただのうわさだよね。」
「メイリンさんそれは・・・本当です。」
「どうして!」
ソアルの下に駆け寄るが兵士に止められてしまう。
「ソアル答えて!どうして、どうしてゲイルを!」
「すみません。言えません。」
ソアルは部屋へと帰っていく。
「待って!ソアル!」
どうして、あんなに仲が良かったのにどうしてゲイルを殺したの。どうして何も言ってくれないの。目から涙が溢れる。ゲイルを失ったこととソアルに裏切られたという2つから来る悲しみがどっと押し寄せてきたからだ。ソアルの部屋へ行ってもさっきのやり取りを見ていた側近護衛官のパルディアさんが入口に立っていて入れてもらえそうにない。どうしよう、何もできないなんて。
「メイリンどうしたの!?ひどい顔してるよ、何かあったの?」
「ユンちゃん・・ユンちゃん!」
気がついたらユンちゃんに抱きついて大泣きしていた。
「メイリン落ち着いた?私に何があったか教えて。」
「実は・・・。」
ユンちゃんにゲイルが殺されたこと、その犯人がソアルだと言うことを全部話した。
「う~ん、魔王様がそんなことする方だとは思えないけどな。」
「でもソアルは自分がやったって。冗談なんて言ってる雰囲気じゃなかった。理由も教えてもらえなかったの。」
「そっか、じゃあ取り敢えずその言えない理由が何か考えてみようよ、何かわかるかもしれないよ。」
ソアルがゲイルを殺さないといけなかった理由って何だろう。そうだ、レクレイなら何か知ってるかも。ユンちゃんとレクレイの部屋へと向かった。
コンコン。
部屋の扉を叩いても返事が無い。レクレイごめん開けるよ。中を見るがやはり誰もいない。机の上も見てみるが置いてあるのは何かの予算案の様で今回の件とは関係無いらしい。もうすぐ日付も変わりそうだ。明日も仕事があるし、部屋に戻ることにした。ベッドの上に横になってもいろいろと考えてしまってあまり寝付けず朝になってしまった。食堂に行くとユンちゃんが待っていた。
「おはようメイリン。その様子じゃ昨日はあまり寝れなかったんだね。」
「うん、いろいろ考えちゃって。」
「そっか。メイリン、さっき聞いたんだけど今日私達救護兵に調査が入るんだって。」
「調査?」
「うん、何でも2日前に魔王様が襲われる事件があってそのときの犯人は捕まったらしいんだけど、その犯人には仲間がいるかもって話で、城の中の全員を調査してるんだって。これってゲイルさんの件と関係ないかな?」
ソアルが襲われたなんて知らなかった。それで調査か、う~んそんなことをして犯人の仲間って出てくるのかな?それにソアルは何で襲われたんだろう?それがゲイルに関係してることって何だろう?そう言えばゲイルもソアルを一度襲ったんだっけ、それで犯人には酷い罰を与えるという警告?いやそんなことのためにソアルはゲイルを殺しはしない。う~ん、まだわからない。朝食を済ませると仕事へと向かった。今日はまだ患者さんはいないみたいだ。患者さんがいないからといって仕事中に情報を集めに他の所へはいけない。そうこうしていると例の調査員がやって来た。1人ずつ話を聞くらしく、1人ずつ別室に案内された。5分ほどすると私の番がやって来た。案内された部屋は机が1つに椅子が4つおいてあり、その椅子の内1つは調査員のオーガ、1つは書記のカーバンクルが座っていた。私も向かい側の席に座る。
「メイリン・アルバーンさん、これからいくつか質問をしますので正直にお答え下さい。あなたは2日前は何をしていましたか?」
「夜まで仕事をして仕事の後は同僚の娘と食堂でご飯を食べて、すぐに部屋に帰って寝ました。」
「なるほど、では次の質問です。あなたはあなた以外の人間に殺意はありますか?」
「無いですよ。」
何でそんなこと聞くんだろう?私が人間なのに魔物の国にやって来たから?いや違う、今回の調査はソアルの襲撃の件と関係がある。だから・・・そう、犯人が人間のことを恨んでいるんだ。ということはソアルがゲイルを殺した理由って、ソアル自身も人間が嫌いという風に見せて犯人が寄ってくるのを待つため!?そう考えると辻褄が合うかも。だとしたらこのことを犯人にバレたくなくて私にも話さなかったのかな。じゃあゲイルは?殺されたのは嘘でどこかに隠れているかもしれない!遺体を見たわけじゃないし、まだ生きてるかもしれない!なんだか胸がすっと晴れた感じ。
「メイリンさん?聞いてますか?」
「はっはい!?すみません、聞いてませんでした。」
「では次の質問です・・・。」
調査員の質問が終わり部屋を出る。ゲイルの無事を確認したいけど私がソアルを掻き乱す訳にはいかない。ソアルを信じて待っていよう。




