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お出掛けの準備をしよう

ソアルとレクレイに連れられて魔王の城の地下へと案内された。そこは魔法を扱う魔物達が研究を行うために多くの魔導書が置いてある図書室、様々な植物や鉱物などが置いてある保管庫、魔法を試し打ちできるホールなどが完備されていた。魔物のことを下に見ていたけどすごい設備を扱っているんだな。ある部屋の前でソアルとレクレイの足が止まった。部屋の扉にはアーティの部屋と書いてある。


コンコン。


レクレイがノックをする。返事があり、中に入ると年老いたピクシーが居た。


「アーティ殿今よろしいですか?」

「おや魔王様にレクレイかい。それに人間も連れて、何か実験でもするのかい?」

「いえ、ちょっと変わったお願いがありまして。この人間に呪いをかけて欲しいのです。」

「構わないが、この人間を奴隷にでもするのかい?まあ深く聞くのはよそう。さて、どんな呪いをかけるか紙に書いてくれないか。」


レクレイはアーティから紙を受け取ると筆を走らせた。なになに。


一、この者は魔王様を攻撃できない。


一、この者は魔王様を何者からも守らねばならない。


一、この者は魔王様から半径5km以上離れてはいけない。


一、この者は魔王様の命令を守らねばならない。


以上を守れなかった場合この者に死を与える。


なんか一つ増えてるし。レクレイはアーティに紙を渡すとアーティはなにやら呪文を唱えだし、唱え終わると紙に火を点け、発生した煙を俺に浴びせた。これで呪いがかかったらしい。なんか簡単だな本当に呪いがかかったのか?でもそれを確かめるにはリスクが大きすぎるし止めとくか。


「ゲイルさん、これからよろしくお願いしますね。」

「ああ、よろしく。」


まあ俺はソアルに負けた訳だし仕方ないか。呪いをかけ終わると、レクレイはアーティに礼を言い俺達は部屋を出た。次はソアルが国を空ける準備をするらしい。魔王が人間の国に行くのは大事になるみたいだ。レクレイが他の大臣達に召集をかけ、俺達と魔物の大臣達は城の2階にある会議室に集まった。魔物の大臣はレクレイを入れて8人居た。


「皆様お集まり頂きありがとうございます。今回皆様に集まって頂いたのは魔王様の旅行について周知させて頂くためでございます。」

「ほう、旅行ですか、してどちらへ行かれるのですか?」

「人間の国にございます。」

「なんと!それは正気か!?」


レクレイ以外の7人の大臣は首を横に振った。やっぱりそうだよな人間の俺だってダメだと思うし。魔王が人間の国に行ってもし魔王とバレたら直ぐに兵士や冒険者がやって来て危険な目に会う。まあソアルのレベルなら傷一つつかないだろうけど。


「私も人間の国へ行くのは良く思ってはおりません。ですが魔王様は止めてもお1人で行こうとしております。我々にそれを止める術はありません。それならば公認の旅行と言うことにすれば国民に不安を与えずに済むのではないでしょうか。」

「確かにそうであるが・・・。本当にそれしか無いのか・・・。」


最初首を横に振っていた大臣達はしぶしぶ了解した。ソアルは嬉しそうだ。良かったなソアル。いや待てよ、護衛をする俺にとっては不安要素しかないじゃないか。今さら遅いか、はぁ。


「旅行に行くのはいいとして護衛はどうするか。魔王様をお1人で行かせるわけにはいくまい。」

「それでは私のところの軍隊を1つつけましょう。それならば安心ですぞ。」

「それじゃ楽しく回れないです。そんなのなら勝手に1人で行きます。」

「そんな無理を言わないで下さい魔王様。」


大臣達は頭を抱えた。


「それならば私とこの者だけがついて行きましょう。」


レクレイが自分と俺を指してそう言った。


「おお、レクレイ殿か、貴殿なら剣術に長けておるし、問題ないでしょう。そちらの御仁は初めて見るが何者ですかな?」

「この者はゲイルと言います。こやつもまた私と同様に剣術に長けた者です。」


そうだよな魔王を殺しに来たヤツだとは言わないよな。


「そうか、レクレイ殿がそう言うなら大丈夫だろう。魔王様これなら如何でしょうか?」

「そうですね、それならいいです。」


大臣達はホッと一息をついた。まあ当初の予定通りだな。護衛の人選が終わったところで会議も終わった。次は持っていく物の用意をすることになった。馬車や保存食など必要なものを揃えた。そういえば馬車って誰が運転するんだ?聞いてみると意外にもレクレイが昔御者の訓練を受けたことがあるらしく問題無さそうだった。大臣ってそんな事しそうにないのに、人間とは違うのか?まあいいか。あとは、レクレイが人間に変身するだけだ。俺とレクレイはまたアーティの部屋を訪れた。


「なんだい?また用事かい?」

「はい、私を人間に変身させて欲しいのです。」

「人間ね~また面白そうな話だ。いいだろう、やろうじゃないか。で、どんな風にするのかい?」


姿を好きなようにできるみたいだ。


「私は人間を見てもどれも同じ様にしか見えない。ゲイルお前の容姿は人間の中でどのくらいなんだ?」

「どうと言われてもな、普通じゃないのか?」

「お前が普通か、ならお前に似た容姿にしよう。」

「似たようにしたらいろいろ面倒じゃないか?ほら俺とレクレイを間違えられたりとかさ。」

「それは大丈夫だろう。臭いでわかる。」

「いやいやそれは魔物の感覚だ。人間にはわからないもんさ。」

「そうか、では背を少し高くして髪を短くしようそれならよかろう。」

「う~ん、まあ大丈夫だろう。」

「決まったか?なら始めるとするかな。」


アーティは呪文を唱えだした。


「●●●、▲▲▲、■■■、メタモルフォーシス」


レクレイの体が光だし姿が変わっていく。光が収まると人間に変わったレクレイが立っていた。


「これが人間の体か、尻尾が無い分バランスが取り難いな。服もブカブカだ、新しいものを揃えるとしよう。」

「いいんじゃないか。ちょっといい男に見えるよ。」

「レクレイ、この魔法はマジックキャンセルの魔法などで解除されるまで姿はそのままだ。元に戻りたくなったらまた来るといい。」


アーティに礼を伝え、部屋を出た。これで準備が整った。今日1日でよくできたもんだな。会議なんて絶対時間がかかると思ったが、やっぱり魔王の力はそれだけ強いということか。出発は明日になるらしく、休むことになった。といっても俺の部屋は無く、城の牢屋で一晩過ごすことになった。牢屋にあるのは簡易なベッドとトイレだけ、季節が冬でないだけましか。夕食の時間になり運ばれてくる料理はパンとスープだけだった。あるだけましか。ゆっくりと味わうように料理を食べた。料理を食べた後は何もすることが無いので眠りについた。


コンコン。


なんだ、せっかく眠ってたのに。扉の外を見るとソアルが居た。


「こんばんは。来ちゃいました。」

「どうしたソアル。何かあったか?」

「いえいえ、明日から旅行だと思うとワクワクして、ゲイルさんに人間の国についていろいろ聞きたいなと思いまして。」

「そういうことか、いいよ、何から話そうか・・・。」


それから夜中まで俺の居た街や冒険者ギルドでのことなどを話した。ソアルは興味深そうに聞いていたのでそれなりに受けは良かったと思う。翌日になり城の前で出発式なるものが行われた。たかが旅行に行くぐらいで大袈裟だなぁ。式の途中俺とソアルはうとうととしていた。昨日夜更かししたからだな。式が終わると俺達は馬車に乗り込み出発した。


「魔王様!」

「いってらっしゃい魔王様!」


馬車を見送る魔物達が数百mに渡り立っていた。ソアルは道行く魔物達に手を振る。やっぱり魔物達の王様なんだな。さて、馬車の旅は長いし俺は一眠りするとしよう。

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