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KSK

「●●●、バブル」


水の塊が手から飛び出し少し離れた的に当たった。レクレイの件が落ち着いた翌日、俺達は再び魔法学校へと来ていた。但しレクレイは宿にお留守番だ。レクレイとしてはソアルの傍にいたい様だけど、また変身魔法が解けて騒ぎになってはいけないからね。ソアルはと言うと、うるさいレクレイがいないからとちょっとした解放感を味わっている。ソアルが魔法を使う度に騒ぎになるけど、寄ってくる学生達は凄いなーとかどうやるの?とか好意的なものばかりで、ソアルは嬉しそうだ。人間と仲良くなるっていうソアルの目的は大分達成できてるんじゃないだろうか。その後も、全系統の初級魔法の授業を受けた。初級魔法はちょっとの魔力と簡単な詠唱が必要なだけなので俺でも覚えることができた。中級魔法以上になると、魔力のコントロールとか必要になるらしいので修得するのはそれなりに難しいらしい。中には〝メタモルフォーシス〟みたいに簡単なものもあるらしいけど、必要な魔力量が多くなる分俺にはムリだな。ソアルも難しいのは魔物の国に戻ってから勉強するとのことでコレッティの魔法学校は満足した様だ。という事でコレッティの町から次の所へ行くことになった。次に行くのは王都ヴェライカ、この旅行の最後の目的地だ。コレッティからあまり離れておらず、馬車で2日の距離だ。俺も王都に行くのは久し振りだ。10年前に前の魔王を討伐した英雄を見に来たとき以来かな。あのときは俺もいずれは同じように英雄になるんだって思ってたけど、まさか魔王の僕になってるとはな。ハハッ、でも魔王がソアルで良かったと思う。人間に対して友好的だし、一緒に居て楽しいしな。俺だけじゃなくメイリンだって同じ事を思ってるはずだ。ああ、人間全てにソアルはいい魔王だって伝えられたらな。そんな事を思いながら馬車の中で眠りについた。


2日後・・・


馬車はヴェライカに着いた。馬車を商業エリアに止め街を歩くことにした。ヴェライカは中央の盛り上がった土地に大きな城があり、その北側に商業エリア、東側に住宅エリア、南側に闘技場エリア、西側が港エリアとなっている。商業エリアで売られているものは国の各地から取り寄せられているので、品揃えがとても良い。ソアルも各地の珍しいものに目を奪われている。気になるのはわかるけどちゃんと前見て歩かなきゃ誰かにぶつかるよ。


ドン。


ソアルは細身の気品のある格好をしたそれなりに顔の整った男性とぶつかった。ほら言わんこっちゃない。


「ごめんなさい。私前見てませんでした。」

「いえ、こちらこそ・・・なんて美しい方だ、どうか私と結婚して下さい。」

「えっええーーー。わ、わ、わ、私とですか!そんな急に!」

「こら、貴様この方を誰だと思っておる!」


レクレイが慌てて止めに入る。ソアルは顔を真っ赤にしてあたふたしている。相手方にもお付きの人がいたみたいで前に出てきた。


「貴様こそこの方を誰だと思ってる!この方は第3王子ノア・ヴェライカ・ルクセンブルク様だぞ!」


お、王子!またとんでもない相手に告白されたもんだな。


「おい、そちらも名を名乗らんか!」

「これは失礼しました。私はソアル・サタン・ルウェリンです。」

「ソアルさんと言うのですね。素敵な名前だ。先ほどはいきなりの告白失礼しました。どうでしょうお城に招待してもよろしいですか?」

「は、はい。」

「ソアル様!」


レクレイはいつも通り頭を抱えている。ソアルはメイリン相手にどうしよう、どうしようと言ってテンションが上がっているみたいだ。それにしても会ってすぐに結婚ってどうなんだろう?ソアルは確かにかわいいとは思うけどそのかわいいってのも妹みたいだからって感じだし、なんか引っ掛かるな。メイリンにお願いしてちょっと調べてもらうことにした。取り敢えず俺とソアルとレクレイはお城に行くことにした。城までの道のりで会う人々は王子を見ると王子様、王子様と声をかける。どうやら王子なのは間違いなく、しかもそこそこ人気がある様だ。う~ん、俺のソアルへの評価が低かったのかな?城の入口にある門は高さ5mはあり大きな扉がついており、その両端の柱には門番が1人ずつ立っている。門を潜ると広い中庭があり、兵士達が訓練をしていた。さらに中へ入ると長い廊下が続き、奥まで行くと国王との謁見の間になるらしい。俺達は国王に話なんてないから王子の案内で王子の部屋に案内された。そしてお茶をご馳走になった。さすが王子に出すものだ、お茶もお茶請けのクッキーもすごくうまい。


「そうなんですか、旅行でヴェライカに来られたんですね。なんという偶然。運命を感じますね。」

「運命だなんて。でもどうして私なんですか?」

「そうですね一目見たときにこうビビっと電流が走ったんです。この人だって。」


一目惚れか、ここまでは不審な点はないな。でも魔王と人間の王子の結婚ってどうなんだろう?ソアルが魔王だってバレたら大変だな。ソアルわかってるのかな?一応耳打ちしておくか。ソアルは俺の耳打ちを聞くとビクと動いた。王子の告白に相当舞い上がっていたみたいだ。ソアルは自分が魔王だってことを思い出すと途端にテンションが下がった。おいおいまだ王子の前だぞ。


「ソアルさんどうかなさいましたか?」


ほらほら王子も気にしちゃってる。


「いえ、何でもないんです。あのやっぱり私王子様の結婚お受けできないと思います。」

「えっどうして、さっきまで喜んでらしたのに。」

「詳しくは言えないんですが、私と結婚すると王子様にご迷惑がかかるんです。」

「そんな迷惑なんて僕は気にしません。」

「そう言われても・・・。」


王子もなかなか引き下がらないな。無理もないか惚れた相手だもんな。よしここは俺が一肌脱ぐか。


「ソアル、本当のことを言ってあげなよ。ソアルの結婚相手は俺だって。」

「えっええーーー。」

『ソアル話をあわせて』

『わ、わかりました。』

「そ、そうなんです。実はこのゲイルさんと結婚の予定があったんです。だから王子様の結婚は受けられないです。」

「そんなあ・・・。でも仕方ないかこんなに美しい女性だ。周りの男性がほっておかないですよね。わかりました諦めます。」


良かった。すんなり引いてくれた。やっぱり思ったよりいい王子だったかもしれないな。ソアルが魔王じゃなかったら王子と結婚か。なんだろな身内が結婚するって嬉しいような寂しいような変な感じがするな。城を出るとメイリンが待っていた。


「皆~。あ、ソアル大丈夫だった?」

「大丈夫って言われても何もなかったですよ。結婚もお断りしましたし。」

「良かった。あのノアって王子のこと調べたら、かなりの女好きでさ、今26人も奥さんがいるらしいよ。まったくろくなもんじゃないよね。」

「に、26人。私ってその中の1人だったんですね。はぁ~。」


そういうことか。まあ変なのに捕まらなくて良かったんじゃないのソアル。ソアルはぐったりとした様子だ。


「もう、今日何もする気が起きません。」


ハッハッハ、じゃあ今日の所は宿屋へ行って休むとしよう。

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