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プロローグ「日常?」

プロローグその2です。

  ――ジリリリリリリリ!!!!


「うぅん…」


  喧しい鈴の音で現実に引き戻された、まだ曖昧な意識の中でさっきまで見ていた夢を思い出そうとする。しかし、いくら掴もうとしても掴めない(もや)のように、その夢は記憶の中から霧散してしまった。


  どんな夢だったか? すごく楽しかったことは覚えているのだが……悔しい。


「よし、もう一回寝よう」


  悔しいので二度寝を決意する、大丈夫。少し早めに時計をセットしたからあと十分は余裕が――。


  ドンドンドンドンドン!!


  またもや騒がしい音が鳴り響く、これは階段を駆け上がる音、二度寝は無理か……

  ここ最近はいつもそうだ、多少は煩わしい所もあるがそのおかげで遅刻せずに済んでいるのだから文句は言えない。


「こぉくん! 朝だよ!」


「うわあっ!」


  いきなりカーテンを開けはたなれ、日光が部屋に飛び込んでくる。反射的に頭を布団で覆おうとすると、今度は布団を剥がれた。いくらなんでもやりすぎだぁ。


「ほら! 早く起きなさい!」


「うぅ……わかったよ」


  甘ったるい声で急かされて渋々起き上がる、僕の幼馴染は強引な所が玉にきずだ。


「ごはん、できてるからね」


「うん、いつも悪いね」


「ううん、おじさんとおばさんが仕事で家を空けてるんだもの、できることがあれば何だってするよ!」


  エプロン姿で可愛らしげに力こぶを作って見せる幼馴染に、思わず笑いが漏れた。それを見た彼女は不満げに口を尖らせる。


「……何よ」


「いや? ただ、涼葉(すずは)はいいお嫁さんになるなあって思っただけさ」


「ちょっ! は、恥ずかしい事言わないでよ!」


  ははっ、照れてるな、可愛い奴め。


「もうっ! 知らない!」


  彼女は真っ赤な顔のままスタスタと下の階へ降りてしまった。本心からの言葉だったんだけど、からかいだと思われたかな?

  誤解を解くために、僕は急いで下へと降りた。





「いってきまーす!」


「お邪魔しましたー」


  朝食を食べ終わり、支度を終え、僕たちは学校へと向かうべく家を出た。すると、表札の前でウロウロしている人影を見つけた。

  あのツインテールはもしかしなくても……。


「火乃さん?」


「ふあっ! び、百条!?」


やっぱり火乃さんか。


「おはよう、火乃さん」


「お、おはよう!!」


 挨拶をすると、火乃さんはやけに上ずった声で挨拶を返してくれた。少し体調でも悪いのだろうか?


「……はあ、また待ち伏せ?」


 幼馴染が口を尖らせる、はあ……またか。


「おい、涼葉」


「た、たまたまよ! 勘違いしないでよねっ!」


「ふぅん、そう何日も『たまたま』が重なるのかなあ?」


「うっ、あ、ありえないことではないでしょ!」


  ここから先は長くなるので流れを切っておく、二人には仲良くして欲しいんだけど。


「何言い争ってるんだよ二人とも、急がないと遅刻するぞ」


「「ま、待ってよ! こぉくん(百条)!」」


  これもお馴染みの風景になってきたなぁと思いながら、この後教室で起こることを考えて気分が少し重くなった。


「はぁ……」





「こうきぃ、会いたかったあ!」


「お兄ちゃん、おはよう!」


「びゃっくん、カツサンド食べる?」


「マスター! 今日もバリイケてますネ!」


「こうき……おはよ」


「ちょっと! あんた達百条から離れなさいよ!」


「こぉくんは! 私の……なんだから……ね」


「ちょっ!? みんな、落ち着い……うわぁ!」


  教室に入った瞬間揉みくちゃにされ、耐えきれず尻もちをついた。

  僕を取り囲むのは、学校でも群を抜く程の美少女達だ。

  何故だか僕はこの人たちに懐かれてしまったらしく、ここ数日は、ずっとこんな感じの生活が続いている。


  我の強いこの美少女達に振り回されながらもそれでも案外楽しいなんて思ったりして。


 そんな毎日が『僕』の日常になっていた。

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