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西崎純也は、自分の荷物を確認すると周りを見渡した。一定の距離を保って、彼を除き四人が立っている。男二人に女二人。悪い組み合わせではない。だが、自分を含めてしまえば、男が一人多い。彼は、一番遠くに立っている男を見た。彼よりも背が高いが、膨らんだ腹が醜い。頭にバンダナをつけ、度の強そうな眼鏡をしている。その顔にも肉が余分についている。少し肌寒くなってきた季節だというのに、シャツ一枚だ。それも黄色の、正面に描かれているのは何かのキャラクターだろうか。少なくとも、あれには勝っている。
もう一人の男は、彼よりも若そうだ。ちょっとした旅行ではあるが、なぜかスーツを着ている。普段着に自信がないのかもしれない。が、端正な顔つきというのは、ああいう奴のことを言うのだろう。彼は好きではないが、女に好かれる顔立ちだ。見かけ通りにインテリであれば、それだけで落ちてしまう女もいるだろう。
女は二人、寄り添って立っているが、あの二人は知り合いなのだろうか。分からない。年代に差があるのは見るからに明らかだ。三十手前の女と、十代後半の少女だ。彼のターゲットとなるのは少女のほうだ。ジーンズにラフな七部丈のシャツ。その上に白のレースを羽織っている。痛みのせいか、赤く染まった髪が肩の辺りで風になびいている。よく焼かれた肌に、パンダのような化粧がされている。
もう一方の女は、見るからにひどく疲れている。目の下にくまができていて、ひたすら苦労を背負い込んでいるかのようだ。髪は後ろにまとめられ、細い眼鏡をかけている。ひらひらのワンピースは、逆に痛々しい。若く見せようとう魂胆が丸見えだ。
「さあさあ、いつまでのここで待っていても仕方がありません、屋敷のほうへ、移動しましょう」
パンと手を打ったのはスーツの男だ。あれに従うのは気に入らないが、いつまでのここにいるのは確かに得策ではない。彼は上を見上げると、かなり先のほうに屋敷の屋根が見えている。そこに繋がっているのか分からないが、道がそちらに向かって伸びていて、途中から草木に消えてしまっている。男がそちらに向かって歩き出したため、ゆっくりとみながそれに従っていく。
彼は、そのスーツの男の近くを歩いた。先頭を行くというのは、それだけでイニシアティブだ。この男はよく心得ているようだ。彼の後ろに女が二人続き、遅れて太った男がとぼとぼと歩いてくる。
なんとも奇妙なメンバーだ。
「かなり距離があるようですね」
男が彼を振り返って、それから後ろを確認しながら言った。
「ああ。俺は全然平気だけどな。もう少しペースを落とさないと、みんなはぐれてしまう」
「いやいや、道は複雑じゃないし、はぐれることはないでしょう」
「何が出るか分からないって話だよ。熊は、さすがにないだろうけど」
「そうですね、蛇がいるかもしれませんね、大丈夫ですか」
男は、一度立ち止まると大きな声を出した。答える声はないが、みんな止まることなく道を進んでいく。彼も一度立ち止まると、後ろを振り返った。道をだいぶ上がったせいか、砂浜はすでに半ば隠れ、海が広がっている。遠くに、彼らを乗せてきた船が、ゆっくりと動いているのが見える。それも直に姿を消すだろう。そうなればこの島には五人しか残らない。
パラダイスの完成だ。




