表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰も残らない --ノーワン・バット --  作者: なつ
第六章 幾らかの補足と回答
22/27

  2 <二人の日記>

 まずは紺野健二の日記から。

「70点。まぁ、及第点だな。仕事着でなければ、もう少し点が高かったかもしれないが」

 手帳への走り書きだ。日付は以前の事件からしばらくしてからのこと、おそらく広田葵のこと。そこから記述は飛んで、今回の事件の前日にも走り書きがある。

「さて、明日は何が起きるのか。Aioの普段の姿というのも気になるが。どうすべきか。今回は準備ってとこか。ある程度親しくなってからの方が一層価値があがるからな」

 続いて1日目夜にも走り書き。

「はぐれ。学生か。パンダのような化粧。それに対して猫のような広田葵。仕事着の時よりさらに疲れて見える。翼、カバ。案外自分より歳が上なんじゃないだろうか。馬面の西崎。常に人を見下している。死者を悪く言うのは何だが、これまでの人生ずっとそうやって来たのだろう。彼は夕食の時にワインを飲んで倒れた。自殺の可能性もあるが、殺された可能性も否定できない。この部屋割りを考えてみると、計画的であったことは間違いない。もし自分ならもっと上手くできる自信があるが。

「広田葵とリビングで酒。疲れていない時にデートしてみたいものだが。それにしても……」

 日記はそこで終わっている。文章の途中だ。続いて葉月美優の日記。彼女は日記帳を持参しており、かなり詳しく書かれている。事件前は飛び飛びだが、それでも時々細かい。ブログの内容とも一致しており、おそらく日記をまとめて記事を書いているのだろう。

「集まったメンバーは五人。女性は自分と広田葵。すでにおばさん世代に入りつつあるのに、かなり無理して若作りをしている。薄い水色のワンピースが逆に痛々しい。アデルバード翼。気持ち悪いオタク、ニート。ゲームの中では強かったが、それだけ時間があるということ。よく分からないアニメをプリントしたシャツを着ている。アデルバードなのかアデルバートなのか。本人もよく間違えているし。紺野健二。インテリっぽい雰囲気。なぜかスーツ。勘違い? 場違い? 西崎順也。体育会系。視線がエロくて露骨。苦手なタイプ。書いておいて何だけど、ろくなメンバーじゃないね。広田葵は話してみると案外しゃべりやすかったけれど。このメンバーならわたしが一番まともかもしれない。でも、二泊くらいなら楽しめるかもしれない。

「一日目。ホール。紺野健二と西崎順也がそれぞれの部屋を見て回る。その間待ち。広田葵は仕事で今リーダーをしているとのこと。人が足りなくて忙しいとか。それならこんなところに来なければいいのに。有給を利用して連休にしたとか。お互いのことを話してたら、二人が戻ってくる。招待状を見たいというのでかばんから取り出す。広田葵のも受け取ってから西崎順也に渡す。それからダイニングに移動。料理があったが、すでに冷めていたので広田葵と一緒に温める。料理を食べようとしたところで突然音声が流れる。とりあえず無視。西崎順也が毒を飲んで自殺する。アデルバードがあたいの部屋を勝手に使うと言い出したので、あたいは広田の部屋を借りることにした。

「二日目、朝。悲鳴で目が覚める。部屋を出ると、一階で紺野健二が倒れている。血まみれだ。死んでいるのは明らかだ。アデルバード翼を呼んで、三人で確認したから間違いない。三人で朝食を取った後、島を調べる。第三者がこの島にいないかを確認するため。が、そのような痕跡はなし。疲れてしまったので、そのまま寝ることに」

 日記はそこで終わっている。

「夕食の時の音声とは何だ?」

「簡単なしくみ。テープで音声を再生してたみたい。ダイニングからリモコンも見つかっている。それを聞くと、五人とも過去に罪を犯していた、みたいな内容。広田葵、裏切り。紺野健二、偽装殺人。西崎順也、贋作販売。はぐれ、見殺し。アデルバート翼、身代わり」

「身代わり?」

「親を自分の犯罪の身代わりにした、ということ。現在それが事実かどうか調べている所だって」

「それで、日比野は何を疑問としておるのだ?」

「誰が犯人なのか、て話でしょ?」

「誰が犯人でもおかしくない」

 まるでくだらないというように、桃花はため息をついた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ