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誰も残らない --ノーワン・バット --  作者: なつ
第六章 幾らかの補足と回答
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  1 <日比野重三からの手紙>


「通報があり、警察が現場に赴くと、まず海辺に倒れている女性の姿があった。これは後で分かったことだが、その女性は広田葵、以前の事件で容疑者だった女性だ。その関係で、わたしも現場に行くことになったのだが。いや、まずは状況を簡単に説明しておこう。広田葵は、背中から刃物を刺されて死んでいた。刺されたことよりも、その刃物が抜かれたことによる出血が原因と思われる。その海辺から獣道が延びていて、そこを進むと一件の屋敷がある。二階建てだが、そう大きくはない。百坪くらい、と言って分かってもらえるだろうか、その図書棟の面積の四分の一もない程度だ。その屋敷に入ると、左手に男性が倒れていた。彼の名前は後藤剛。右手にナイフを持ち、左手の手首を切って死んでいた。また、同じホールの右奥には、シーツをかけられた死体があった。後頭部を強く殴られ、その上で二階から突き落とされたようだった。名前は紺野健二。生存者がいないかと、同じ一階を調査しているとと、西側のダイニングにあたる部屋に、さらに死体があった。西崎順也。こちらもシーツをかけられていたが、さっと見たところ外傷はなかった。司法解剖の結果、青酸系の毒物を飲んだものと考えられる。さらに二階にあがると、西側南の部屋のベッドの上で、葉月美優が胸にナイフを刺されて死んでいた。屋敷内に生存者はなかったし、もちろん島にも誰もいなかった。彼らを島に送った人物も五人だったと証言している」

 続けて、と篠崎桃花は言う。

「屋敷の説明を簡単にすると、中央に吹き抜けのホールがあり、一階西側南がダイニング、その北側がキッチン。一階東側は大きな部屋となっていて、リビングだ。二階は部屋が四つに分かれていて、それぞれのつくりは等しい」

「どうして部屋が四つなの?」

「ちょっと待ってね、もう少し後で説明がある。まず、ダイニングで事件が起きたようだ。ダイニングにはまだ食事がほとんど手付かずに残っていた。誕生日席に座っていた西崎順也が毒を飲んで倒れたのだろうと想像される。彼のすぐ近くには床にワイングラスが残っていたが、中身はなし。おそらくそこに青酸系の毒が入れられていたものだと思われる。またテーブルには、それぞれの椅子の前にプレートが立っていて、そこに名前が書かれていた。誕生日席のところは、西崎順也。そこから右側手前がアデルバート翼、続いて紺野健二。左側手前が広田葵、はぐれ。アデルバート翼は後藤剛のことであり、はぐれというのは葉月美優のことである。こちらは、後日彼らが通っていたネット世界のハンドルネームであることが判明している。そして、二階の部屋にもそれぞれプレートがあった。西側南が広田葵、西側北がはぐれ。東側南がアデルバート翼、北が紺野健二」

「西崎順也が最初に死んだ。部屋は最初から四つしか用意されていなかった」

 甲斐雪人は頷く。

「紺野健二と葉月美優はそれぞれ日記を付けていた。その日記を読めば、西崎順也が最初に死んだことは確実だ」

「日記はあるのか?」

「添付されてる。読む?」

 篠塚桃花は頼む、と低い声で促す。


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