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意識が朦朧としてくる。
この二日、まともに眠っていないのだから仕方がないのかもしれない。だが、ヒーローである俺は、何があっても最後まで生き残らなければならない。これは、ヒーローに課せられた命題であり、必然的にそうなるものだ。
現に、今こうして俺は、生きている。
重たい頭をあげ、二階を睨む。
広田が部屋に入って、どれくらい時間がたっただろうか。
まだ一分も経っていないかもしれない、いや、すでに一時間くらい経っていないだろうか。
なぜすぐに出てこないのだろうか。
ここで、俺はある事実に気がついた。
広田への告発は何だっただろうか、覚えていない。だが、罪に汚れていたのは確かだ。あの告発のなかで、明らかに俺だけは罪に汚れていない。ヒーローがそのようなことを気にしていてはいけない。俺は、すべての上に立つ選ばれた人間なのだから。
いや、それよりも、今考えなければならないことは、自殺をしているかもしれない、ということだ。
己の罪の意識にさいなまれて、自らに命を絶ってしまう。
美しい思想ではあるが、ヒーローにふさわしくない。
だが、
分からない。
朦朧とする意識を振り払うように、俺は立ち上がった。
分からない。
立てたのかどうかも、分からない。
すでに眠っているのかもしれない。
これは夢なのだ。
そうだ、現実にこんな事件が起きるわけがない。あまりにも非現実的すぎるし、俺とは縁の遠い出来事だ。
そう、
俺がヒーローとして存在するのは、あの世界の中だけで充分ではないか。あの世界の中だけで、はぐれに思われていれば、それで幸せだった。
そう、はぐれだ。
はぐれが歩いてくる。
どこからだろう。
分からない。
はぐれなのだろうか。
何も分からない。
俺を、どこへ連れて行こうとしているのか。
分からない。




