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誰も残らない --ノーワン・バット --  作者: なつ
第四章 アデルバード翼の場合
19/27

  2

 意識が朦朧としてくる。

 この二日、まともに眠っていないのだから仕方がないのかもしれない。だが、ヒーローである俺は、何があっても最後まで生き残らなければならない。これは、ヒーローに課せられた命題であり、必然的にそうなるものだ。

 現に、今こうして俺は、生きている。

 重たい頭をあげ、二階を睨む。

 広田が部屋に入って、どれくらい時間がたっただろうか。

 まだ一分も経っていないかもしれない、いや、すでに一時間くらい経っていないだろうか。

 なぜすぐに出てこないのだろうか。

 ここで、俺はある事実に気がついた。

 広田への告発は何だっただろうか、覚えていない。だが、罪に汚れていたのは確かだ。あの告発のなかで、明らかに俺だけは罪に汚れていない。ヒーローがそのようなことを気にしていてはいけない。俺は、すべての上に立つ選ばれた人間なのだから。

 いや、それよりも、今考えなければならないことは、自殺をしているかもしれない、ということだ。

 己の罪の意識にさいなまれて、自らに命を絶ってしまう。

 美しい思想ではあるが、ヒーローにふさわしくない。

 だが、

 分からない。

 朦朧とする意識を振り払うように、俺は立ち上がった。

 分からない。

 立てたのかどうかも、分からない。

 すでに眠っているのかもしれない。

 これは夢なのだ。

 そうだ、現実にこんな事件が起きるわけがない。あまりにも非現実的すぎるし、俺とは縁の遠い出来事だ。

 そう、

 俺がヒーローとして存在するのは、あの世界の中だけで充分ではないか。あの世界の中だけで、はぐれに思われていれば、それで幸せだった。

 そう、はぐれだ。

 はぐれが歩いてくる。

 どこからだろう。

 分からない。

 はぐれなのだろうか。

 何も分からない。

 俺を、どこへ連れて行こうとしているのか。

 分からない。


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