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リビングで、あたいたち三人は朝食を取った。紺野の体に三人でシーツをかけてから、広田とキッチンに入り、何か簡単に食べることができるものがないかを探してみた。すぐに、パンを見つけた。まるで最初から用意されていたかのように、何種類もの菓子パンが置かれていた。広田と一緒というのは危険だったかもしれないが、警戒をしていればそれほど恐れることはないだろう、彼女のほうが歳が上だとしてもそれほど力があるようには思えない。
それに、三人というのは危険な状態だ。
二人とも自殺かもしれない。
この仮定を拭い去ることはできないだろうが、それでももし、犯人があたいたちの中三人にあるのだとしたら、そしてもし、次の獲物を狙っているのだとしたら、次の一人はクリティカルなものだ。それが起きた瞬間に、残された二人には、どちらが殺人犯なのか分かってしまう。
その奇妙な緊張感の上で、今は平和だとも言える。けれど、それは偽りに過ぎない。それを確認するかのように、あたいは二人とも自殺なのかしらと言った。
「ふ、二人とも、自殺の、可能性を、否定できない、んだな」
「健二さんも?」
「二階から、飛び降りたのかも」
「自殺にしては、低すぎないかしら」
広田葵が主張する。確かにその通りだ。
「こ、殺すにも、低すぎる」
「どちらにせよ、二階から落ちたのよね。誰か、物音聞いてないかしら。あたいは、一番離れていたし、多分、朝まで眠っていたから」
「ぼ、僕も、分からないんだな。落ち着かない、から、音楽をずっと聴いていた。いつ、寝てしまったのか分からないけど、大きな、音は聞いて、ないんだな」
「わたしは、昨日彼とこのリビングでお酒を飲んでいました。ワインだと思います。とても眠れそうになかったので、はぐれちゃんを寝かしつけてから。十二時くらいまで一緒にいて、それから彼がわたしを奥の部屋まで送り届けてくれました。わたしも、その後はシャワーを浴びてすぐに眠ってしまいましたから」
誰にもアリバイがない、ということである。
「あたいたちの中に犯人がいるのかしら。それとも……ねえ、先に聞いておく。自殺、しようと思ってる人は?」
あたいの発言に驚いたのか、二人は大きく目を見開いた。それから理解したのか、広田葵は首を振った。
「ぼ、僕も、何で、死ななきゃならないんだ。僕がいないと、この世界はダメなんだ」
「そうよね。あたいも。だからこそ、もう一つ、どうしても確かめたいことがあるの。この島にあたいたちのほかに、誰もいないのか、ということ」
「いないと思う」
「思うだけじゃ、怖いじゃない。あたいは、二人とも疑いたくない」
「ぼ、僕も、そうなんだな。まずは、調べるべきことを、調べないと、いけないんだな」
「そうね。分かったわ、手伝う」
「ありがとう」
「まずどうしたらいい?」
「そうね、三人一緒に動きましょう。大して大きくない島だし、一日使えば、多分全体を見ることができるはずだわ」
こうしてあたいたちの島の捜索が始まった。




