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明朝6時に  作者: 一華
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暗い暗いセカイのなかで

「俺、結婚するから」

 三月に卒業したばかりの比呂士がそんな報告を持って部室を訪れたのは、卒業から半年ほどたった八月末のことだった。

「おめでとうございます!」という部員たちの歓声の端で、動けないでいた康介を晶は必死になって部室から連れ出した。

 どういうことだと比呂士に詰め寄りたかったが、康介を置いてはおけなかった。

 連れ出した時の「何で?」という康介の呟きはやけに耳に残って、決して離れてはくれなかった。


 康介が壊れたのはこの直後だった。

 普段は呑めもしない強い酒を呑み、ぼろぼろと泣いた。

 晶が康介の異変に気付いたのは偶然だった。たまたま用事があって電話すると康介が憔悴しきった声で晶の名前を呼んだ。

 晶は財布と携帯だけを掴んで家を飛び出した。自転車さえ持たなかったため、走って。

 

 晶が康介の部屋に着くと、泣き崩れる康介が居た。

 晶を見遣った康介が小さな声で「晶さん」と呼んだ時、晶は躊躇うことなく腕を伸ばし、康介を抱きしめた。

 

 以来、晶は夜になると康介の家を訪ねるようになった。



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