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『放課後スターライト! ~私立夢見ヶ丘スクールアイドル日誌~』  作者: ゆっきー
第1章:夢見る少女と、輝くステージ

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5/8

第5話:サイレンの鳴る朝、絆のメロディ

昨日の衝突から一夜明け、あかりは意を決して学校へ向かいます。

仲間との絆、そして迫るライブへの想い。

青春全開の第5話ですが……外の様子が少し変です。


「……あーあ。よく眠れなかったな」


 重い瞼をこすりながら、私はベッドから起き上がった。

 昨日のレッスンのこと、美姫と言い争ってしまったことが頭から離れなくて、何度も夜中に目が覚めてしまったのだ。


「謝らなきゃ。……みんなにも、美姫にも」


 私は鏡の前で両頬をパンと叩き、気合を入れた。

 今日は大事な最終調整の日。

 リーダーの私が暗い顔をしてちゃダメだ。


 制服に着替え、トーストを口にくわえて家を飛び出す。

 いつもの通学路。

 空は抜けるような青空なのに、どこか空気が重たく淀んでいる気がした。


『ピーポー、ピーポー、ピーポー……』


「……また?」


 駅に向かう大通りに出た瞬間、けたたましいサイレン音が耳をつんざいた。

 目の前を、赤色灯を回した救急車が猛スピードで走り去っていく。

 一台だけじゃない。すぐ後ろから、消防車とパトカーも続いている。


「なんか、すごい数だね……」


 信号待ちをしていたおばさんが、不安そうに眉をひそめていた。


「この辺でガス爆発でもあったのかしら? さっきからずっと鳴り止まないのよ」

「怖いですよね。私も昨日からずっとサイレン聞いてる気がします」


 私はおばさんに愛想笑いを浮かべつつ、スマホで運行情報をチェックした。


『〇〇線:人身事故の影響で運転見合わせ』

『△△線:線路内人立ち入りのため遅延』


「うわ、電車も止まってるじゃん……」


 画面には『遅延』の赤い文字が並んでいる。

 最近、人身事故が多い気がする。

 みんな疲れてるのかな。


 結局、私はバスを使って少し遅れて学校に到着した。

 教室に入ると、美姫が窓際の席で外を眺めていた。


「あ、美姫……!」


「あかり……」


 気まずい沈黙。

 でも、私は逃げずに美姫の元へ歩み寄った。


「昨日はごめん! 私、焦ってて……みんなのこと全然考えてなかった!」


 頭を深く下げる。

 すると、頭の上にポンと手が乗せられた。


「もう。……謝るのが遅いよ、バカあかり」


 顔を上げると、美姫がいつもの優しい笑顔で笑っていた。


「私も言いすぎた。ごめんね。あかりが本気なのは分かってるから」

「美姫ぇ~……!」


 私は思わず美姫に抱きついた。

 クラスメイトたちが「はいはい、ごちそうさま」と冷やかす声が聞こえる。

 ああ、やっぱりこの場所が好きだ。みんなと一緒なら、何でもできる気がする。


「よし! 今日の放課後練習、最高のものにしよう! 明日のライブのために!」

「おう!」


 私たちは拳を突き合わせた。

 窓の外では、相変わらず救急車のサイレンが遠くで鳴り響いているけれど、今の私たちには『ノイズ』にしか聞こえなかった。


 放課後。

 レッスンルームの空気は最高だった。

 昨日のギスギスした雰囲気は嘘のように消え、みんなの動きも心も一つになっていた。


「ワン、ツー、スリー、ポーズ!」


 最後の決めポーズが決まる。

 完璧だ。これなら、明日のライブで絶対に一番になれる。


「はぁ、はぁ……! 最高! みんな、今日はもう上がろう!」


「お疲れ様でしたー!」


 充実感に満ちた顔で、部員たちが帰っていく。

 美姫も汗を拭きながらカバンを持った。


「あかり、一緒に帰る?」

「あ、ごめん。私、日誌書いてから帰るから。先行ってて!」

「りょーかい。あまり無理すんなよー。また寝落ちしたら風邪引くからね?」


「分かってるってば!」


 手を振って美姫を見送る。

 再び静寂が戻ったレッスンルーム。


 私は達成感と心地よい疲労感に包まれながら、パイプ椅子に座り込んだ。

 日誌を開く。

『〇月×日 今日は最高の練習ができた。明日は絶対に成功する!』


 ペンを走らせる手が重い。

 昨日の寝不足と、今日の全力ダンスで、限界が来ていた。


「……ちょっとだけ。5分だけ……」


 私は机に突っ伏した。

 遠くで聞こえるサイレンの音が、子守唄のように意識を揺らす。


(明日は、どんな衣装を着ようかな……)

(お客さん、いっぱい来てくれるといいな……)


 輝かしい未来を夢見ながら、私の意識は暗転した。


 それが、平和な世界での『最後の眠り』になるとは知らずに。

仲直りできてよかったね、あかりちゃん!

外では大変なことが起きているみたいですが、彼女たちはまだ知りません。

次回、第6話。

いよいよ『茜色の教室』で目が覚めます。

日常の崩壊、解禁です。

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