表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『放課後スターライト! ~私立夢見ヶ丘スクールアイドル日誌~』  作者: ゆっきー
第1章:夢見る少女と、輝くステージ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/8

第4話:不協和音(ハーモニー・エラー)

ライバルの出現に燃えるあかりですが、少し気合が入りすぎているようで……?

本気で目指すからこそぶつかり合う。今回はそんな、ちょっとシリアスな部内のお話です。

「ストップ! 音楽止めて!」


 放課後のレッスンルームに、私の鋭い声が響き渡った。

 BGMが唐突に止み、踊っていたメンバーたちが息を切らしながら動きを止める。


「1年生、今のサビの移動、遅れてる。あと0.5秒早く動かないと、センターの美姫とぶつかっちゃうよ」


 私はホワイトボードの前に立ち、マグネットを動かしながら指摘した。

 ボードには、私が徹夜で考えた『強化トレーニングメニュー』がびっしりと書き込まれている。


【今週の課題】

 ・ボーカル:腹式呼吸の徹底、高音域の安定化

 ・ダンス:スタミナ強化、フォーメーション移動の精度向上

 ・ビジュアル:表情管理、カメラアピールの研究


 まるで育成ゲームのパラメーター画面みたいだけど、西園寺さんに勝つためにはこれくらいやらないと。


「す、すみません、先輩……」

「もう一回、頭から通すよ。今度は意識して」


 私は鬼コーチのように手を叩いた。

 再び音楽が鳴り響く。みんな必死に食らいついてくるが、疲労の色は隠せない。


「っ……きゃっ!」


 突然、1年生の結衣ゆいちゃんが足をもつれさせ、その場にしゃがみ込んだ。


「結衣ちゃん!?」


 美姫が駆け寄ろうとするが、私はそれを手で制した。


「美姫、持ち場を離れないで。本番で誰かが転んでも、曲は止まらないんだよ?」


 そして、結衣ちゃんを見下ろして言った。


「結衣ちゃん、立てる? あと少しでサビだから、頑張って」


 その瞬間、レッスルームの空気が凍りついた。


「……ちょっと、あかり。言い過ぎじゃない?」


 美姫が私の前に立ちふさがった。いつもは穏やかな彼女の目が、強い怒りを帯びている。


「みんな疲れてるんだよ? 今日はもう休ませないと」

「でも、ライブまで時間がないんだよ!? 西園寺さんたちはもっと練習してるかもしれないのに!」

「だからって、仲間を壊したら意味ないでしょ! あかり、最近おかしいよ。焦りすぎだってば!」


「っ……」


 美姫の言葉に、私は何も言い返せなかった。

 周りを見ると、後輩たちが怯えたような目で見ている。

 私は……みんなのためだと思って、みんなを追い詰めていたんだ。


「……ごめん。私、どうかしてた」


 頭を冷やすために、私は一人でレッスンルームを出た。

 廊下は薄暗く、静まり返っている。


 自己嫌悪で胸が苦しい。

 リーダー失格だ。


(……ん?)


 ふと、廊下の向こう、保健室の方から奇妙な音が聞こえた気がした。


『ウゥ……ア゛ァ……』


 低い、獣の唸り声のような。それとも、苦しんでいる人のうめき声のような。


「誰か、いるの?」


 声をかけるが、返事はない。

 ただ、保健室のドアが、内側からガタガタと小刻みに震えているのが見えた。


(また風邪の子かな……。先生、大変そう)


 今の私には、他人の心配をしている余裕なんてなかった。

 自分の蒔いた種――部内の不協和音をどう解決するかで頭がいっぱいだったから。


 私はその異様な光景から目を背け、重い足取りでレッスンルームへと戻っていった。

 あのドアの向こうに、決定的な『絶望』が隠されているとは気づかずに。


あかりと美姫の衝突、そして和解(?)。

青春ですね……。こういう積み重ねが、後で効いてくるんです(ゲス顔)。

保健室の様子が少し変でしたが、きっと気のせいでしょう!

次回、いよいよ運命の前日譚です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ