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『放課後スターライト! ~私立夢見ヶ丘スクールアイドル日誌~』  作者: ゆっきー
第1章:夢見る少女と、輝くステージ

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第2話:帰り道のトワイライト

練習後の帰り道、あかりは少し不思議な体験をします。

でも、そんなことより明日の練習が楽しみ!

ほのぼの回です。


「……ん……。あれ……?」


 遠くで誰かに肩を揺すられているような感覚。

 深い眠りの底から、ゆっくりと意識が浮上してくる。

 目を開けると、そこには見知った顔があった。


「おい、星宮。起きろー。もう下校時刻過ぎてるぞ」


「えっ……?」


 慌てて顔を上げると、ジャージ姿の男性教師――生活指導の田中先生が、呆れたように私を見下ろしていた。

 田中先生は強面だけど、生徒思いで根は優しい先生だ。


「た、田中先生! すみません! 私、寝ちゃってて……!」


「まったく。部活熱心なのはいいが、風邪ひくぞ。ほら、さっさと帰れ」


「はい! ごめんなさい!」


 私は慌ててカバンを掴み、田中先生に頭を下げてレッスンルームを飛び出した。

 廊下の窓から外を見ると、空はもう真っ暗だ。

 時計を見ると、時刻は19時を少し回っていた。


「うわぁ、1時間も寝ちゃってたんだ……美姫に怒られるなぁ」


 誰もいない校舎。

 自分の足音だけが廊下に響く。

 少し肌寒い夜風が窓の隙間から入り込み、背筋がゾクッとした。


(なんか……静かすぎない?)


 ふと、そんな違和感を覚える。

 いつもなら、この時間はまだ運動部の自主練の声や、吹奏楽部の楽器の音が聞こえるはずなのに。

 今日はやけに静まり返っている。

 まるで、学校全体が眠っているみたいに。


「……気のせい、かな」


 私は首を振って、違和感を振り払った。

 テスト期間前だし、みんな早く帰ったのかもしれない。


 校門を出て、駅までの道を早足で歩く。

 街灯がポツンポツンと道を照らしている。

 すれ違うサラリーマンや、コンビニの前でたむろする若者たち。

 いつもの見慣れた風景だ。


 けれど、信号待ちをしている時、ふと大型ビジョンに流れるニュース映像が目に入った。


『――本日未明、隣県で発生した原因不明の暴動事件について、警察は……』

『――行方不明者の数は依然として増加しており……』


「暴動……? 物騒だなぁ」


 画面には、規制線が張られたどこかの街の映像が映っている。

 でも、音声がノイズ混じりでよく聞き取れない。

 画面が一瞬、砂嵐のように乱れた気がした。


「あっ、青になった」


 信号が変わる。

 私はニュースへの興味を失い、再び歩き出した。

 そんな遠くの出来事より、明日の部活の方が大事だ。

 新曲の振り付け、まだ完璧じゃないし。


 家に帰ると、お母さんが温かいシチューを作って待っていた。


「おかえり、あかり。遅かったじゃない」

「ごめーん、ちょっと部活で話し込んでて」


 嘘をついた。居眠りしてたなんて言えない。

 リビングのテレビでは、バラエティ番組が流れていて、芸人さんたちが大きな声で笑っている。

 お父さんはビールを飲みながら、それを見て笑っている。


「そういえばあかり、今度のライブいつだっけ?」

「来週の日曜日だよ! 絶対見に来てね!」

「もちろん行くぞ。ビデオカメラの充電もしとかないとな」


 温かい食卓。

 家族の笑い声。

 シチューの湯気。


 この幸せな時間が、ずっとずっと続くと信じていた。

 明日も、明後日も、その次も。

 当たり前のように朝が来て、学校に行って、みんなと歌って踊るんだって。


 お風呂に入って、パジャマに着替えてベッドに潜り込む。

 スマホを見ると、美姫からメッセージが入っていた。


『明日、朝練付き合うよ! 遅刻すんなよ~?』


「ふふっ、美姫らしいなぁ」


 私は『了解! ありがとう!』とスタンプを返して、目を閉じた。

 意識が遠のいていく。

 今日見たニュースのことも、学校での違和感も、全部夢の中に溶けていった。


 ……でも。

 もしあの時、私がもっと深くニュースを見ていたら。

 学校の静けさの意味に気づいていたら。


 何かが変わっていたのだろうか?


 いや、きっと何も変わらなかっただろう。

 だって、私たちの日常は、もうとっくに――『侵食』されていたのだから。


あかりちゃんの平和な日常回でした。

田中先生、いい人ですね(フラグ?)。

次回、物語が少しずつ動き出します。お楽しみに!

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