第1話:私たちの「大好き」を届けたい!
新作『スターライト・デイズ! ~私立夢見ヶ丘女学院スクールアイドル日記~』の連載スタートです!
普通の女子高生たちが、廃部寸前のアイドル同好会を救うために立ち上がる……王道ですが、熱い青春をお届けします。
まずは主人公・あかりと、親友・美姫の日常から。
ブクマ・評価よろしくお願いします!
「おっはよー! あかり、また寝癖ついてるよ?」
「えっ、嘘!? ちゃんと直してきたはずなのに!」
朝の通学路。
桜並木の下を歩いていると、背後からパンと背中を叩かれた。
振り返ると、そこには私の幼馴染であり、一番の親友――美姫がいた。
彼女は意地悪そうにニシシと笑いながら、私の前髪を指先でいじる。
「相変わらず詰めが甘いなぁ、あかりは。そんなんで『夢見ヶ丘女学院』のセンターが務まるの?」
「むぅ……それは美姫が衣装担当として可愛くしてくれるから大丈夫だもん!」
「はいはい。責任重大だね、私は」
私たちは顔を見合わせて、吹き出した。
私立夢見ヶ丘女学院。
地域でも有名なお嬢様学校だけど、私たちはそんな上品な生徒じゃない。
放課後になれば、スカートを翻して歌って踊る『スクールアイドル』に変身するのだ。
「ねえ美姫。今日の放課後練習だけどさ、新曲のフォーメーション確認したいんだよね」
「あー、あのサビの回転するところ? あそこ、1年生のステップがまだ遅れるんだよね」
「そうそう! だから今日はそこを重点的にやろうかなって」
教室に入り、カバンを机に置く。
クラスメイトたちの賑やかな笑い声。
黒板に書かれた日直の名前。
窓から差し込む、穏やかな朝の光。
どこにでもある、ありふれた高校生の日常。
でも、私にとってはかけがえのない宝物だ。
授業中、先生の声をBGMにしながら、私はノートの端に歌詞のアイデアを書き留める。
お昼休みには、購買で買った焼きそばパンを頬張りながら、他のメンバーとライブの衣装について語り合う。
「次のライブ、絶対成功させようね!」
「うん! 先輩たちが守ってきたこの部、私たちが終わらせるわけにはいかないもん!」
みんなの目が、希望に輝いている。
不安がないわけじゃない。
でも、みんなと一緒なら、どんな困難だって乗り越えられる気がした。
放課後。
レッスンルームに集まった私たちは、いつものように汗を流した。
「ワン、ツー、スリー、ハイッ!」
キュッ、と上履きが鳴る音。
揃った呼吸。
鏡に映る私たちは、まだ未熟だけど、誰よりも楽しそうだ。
「はぁ、はぁ……! よし、今日はここまで!」
時計の針は18時を回ろうとしている。
下校時刻のチャイムが鳴り、部員たちが一人、また一人と帰っていく。
「あかり、今日は鍵当番よろしくね~」
「うん、任せて! ちょっと休憩してから帰るから」
「あまり遅くなるなよー? また教室で寝落ちすんなよ?」
美姫が入り口で振り返り、茶化すように言った。
「寝ないよ! すぐ帰るってば!」
「はいはい。じゃあね、バイバイ」
パタン、とドアが閉まる。
広いレッスンルームに、私一人だけが残された。
心地よい疲労感が全身を包む。
私は冷たいスポーツドリンクを喉に流し込み、部屋の隅にある長机に突っ伏した。
「ふぅ……。今日も頑張ったなぁ……」
窓の外を見ると、空はまだ明るい水色をしている。
遠くから、野球部の金属バットの音と、吹奏楽部の楽器の音が混じり合って聞こえてくる。
平和な夕暮れの予感。
(5分だけ……ちょっと目を閉じたら、帰ろう)
瞼が重い。
意識が、温かいお湯に溶けていくみたい。
明日は何の練習をしようかな。
新しい衣装、どんなデザインにしようかな。
幸せな未来のことばかりを考えながら、私は深い眠りへと落ちていった。
このあと、目が覚めた時に――あんな『地獄』が待っているなんて、知る由もなく。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
あかりたちの青春はまだ始まったばかり。
次回、物語が大きく動きます!




