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106 ゴブリンの巣窟

 スライム捕獲のために王都の南門から外に出た。



 俺たちは冒険者ということでバッヂを見せると門衛は通行税を取らなかった。なるほどな、バッヂはこういう時にとても便利である。



 捕獲は簡単で、一時間とかからなかった。遊び人スキルの口笛を使うとすぐにスライムが寄ってくる。スライムを剣で斬りかかると殺してしまうので、鞘で殴って気絶させた。



 ステータス画面のアイテム欄から捕獲用ネットを取り出して、気絶したぽよんぽよんのそいつら七匹を中に入れる。



 ステータス画面にはあまり大きな物や生物を保存することはできない。そのため捕獲用ネットを引きずって王都へと戻り、俺たちはギルドへの道のりを歩いたのだった。



 時刻はちょうど昼食時になろうとしていた。



 茶色いレンガ造りの建物。その冒険者ギルドで、シャルドネさんにサインをもらった依頼書と捕まえてきた七匹のスライムを提出する。二つの仕事を終えた報酬をハーティンさんにもらった。銀貨2枚と大銅貨5枚である。



 たった半日でこんなにも金を稼いでしまった。銀貨一枚は、いま俺が泊まっている宿屋の二日分の料金と同じである。リリアときちんと半分にして分けた。その際、彼女が大銅貨を両替してくれた。



「よしっ、ナナちゃん、ビール飲もうぜ! ビール」



 リリアが豪快に提案した。直方体の一階建て。そのギルド内の食事テーブルへと彼女は歩いて行く。俺は彼女の背中を追いかけながら眉をひそめた。



「おいリリア、お前昼間っから酒を飲むのか?」



 この国には飲酒に対しての年齢制限がない。



「当ったり前だろ! 冒険者って言ったら酒を飲むんだ。あたしはビールが大好きなんだ!」



 二人で席についた。やってきたウェイトレスにリリアが本当にビールを二人分注文する。他にもつまみに鳥の軟骨と砂肝、鶏もも肉のレムル焼きをオーダーした。



 俺は苦笑しつつも心の中は愉快だった。俺は酒の強さは人並みだが、わりと好きな質である。



 運ばれて来た樽ジョッキを持ち、二人で乾杯した。



「よーし、ナナちゃん冒険者として初めての仕事に乾杯だ!」


「そりゃあありがとう」



 ジョッキをぶつけ合い、リリアがビールをゴクゴクと飲む。良い飲みっぷりだった。



 と言うかこいつ、昼間から酒を飲むことに慣れてるよな。どう見たってそうだ。良い年頃なんだから、もう少し女らしくすれば良いのにと思う。おとなしくしていれば清楚な少女と言っても通りそうな外見だしな。



 身長は高いけれど。



 俺もビールを口に含んだ。芳醇な香りがして苦い。アルコールが喉を通り、胸の奥が熱くなった。ああ、心地よい気分だ。



 リリアが樽ジョッキをどんとテーブルに置いて粋の良い声を上げる。



「カーッ、こんなに気持ちの良い酒は久しぶりだぜー」


「おいリリア、俺たちは午後からも仕事があるんだから、あまり飲み過ぎるなよ」


「バーカ。あたしは酒だけは好きなだけ飲むんだ。毎日お祈りをして、神様からちゃんと許しを得ているんだ。ナナちゃん、お前もたらふく飲め。ほら、一気、一気!」


「一気飲みなんてできるか! そういうノリはせめて夜にしてくれ」


「なーんだよナナちゃん、ノリが悪いなあ。まあいいや! 今日は気分が良いから許す!」


「最低の気分だけどな」



 そう言ったのは俺じゃない。



 いつの間にか俺たちのテーブルの椅子に緑の鎧を着た太っちょの男が腰掛けていた。こいつ、いつ現われたんだ? ポックルである。



 リリアが嫌そうに手の甲を振った。



「おいてめえ! ポックル! 一緒の席に着くんじゃねえ! あっち行け」


「いーやーだーね。というかリリアちゅあーん。お願いだからさあ、緑大蛇(りょくだいじゃ)ギルドに入ってくれよお」



 キモい口調である。ポックルは女に対して昔っからこうだ。馴れ馴れしさと腕っぷしの強さが売りである。



 リリアが嫌そうに首を振る。



「誰が入るか!」



 俺はため息をついた。



「ポックル、お前にはスウがいるだろ。リリアに求愛したら彼女が怒るんじゃないか?」


「スウ? 知らないねそんな女は」



 ポックルは暗い顔した。苛立たしそうに貧乏揺すりを始める。俺は心配になった。



「おいポックル、本当にスウはどうしたんだ? 今、どこにいるんだ?」


「ガウナンって男に着いていったよ! 去年の夏のことだ!」



 ぎょっとした。俺は顔面が硬直してしばらく声が出なかった。ポックルの瞳には涙がにじんでいる。嘘を言っている訳では無さそうだ。マジかよこいつ、可哀想に。



 それから俺は事のいきさつを詳しく聞いた。何でも、ポックルはガウナンという毒剣士の職業の男に闘技祭で負けたらしい。スウは手のひらを返したようにポックルを見捨ててガウナンになびいたようだ。王都を離れて行ったらしい。



 ありそうな話だと俺は思った。すぐに心変わりをするスウの性格をよく知っているからである。



 ポックルは俺から樽ジョッキを奪い、ビールをゴクゴクと飲んだ。プハーと息をつく。おいお前、俺のビールを横取りするんじゃねえ。



「もうやってらんないよお。はぁ、最近は仕事をする気も起きなくってさあ」



 ポックルが愚痴り始める。リリアは露骨に顔をしかめていたが、俺は彼の話を聞いてあげたかったし実際そうした。幼馴染みである。昔はよく遊んだのだ。



 ポックルは涙ながらに語った。彼の行動の原動力はスウの存在であったようだ。



 本当、彼は泣くのが上手い。そこが面白いと言えばそうなんだけどさ。それに滑稽な話は酒のサカナになる。聞いている方は楽しい。次第にリリアも彼が席についていることを受け入れ、同情の言葉をかけた。



「ポックル、お前さ。女でできた傷は女で直すしかねーんじゃねーの?」


「だーかーらーさあ。リリアちゃーん、お前がスウの代わりになってくれよお」


「お前はあたしの半径一メートル以内に近寄るんじゃねえ」


「そんなこと言うなよお。はあ、これからどうすればいいんだよぉ。なあ、ナナキー?」


「まあ、時間が解決してくれるのを待つしかないんじゃないか? 心の傷を癒やすために」


「時間が解決って。そんなのいつになるんだよー」


「お前の緑大蛇ギルドに女はいないのか?」


「残念ながらいなくてさー。仕方無いから娼館に通う毎日だよ。はぁ」


「うげっ!」



 リリアが顔をひきつらせた。マジでドン引きしている。



 俺は呆れを通り越して笑いが出た。



「はははっ、ポックル。娼館のお姉さんに慰めてもらえ」


「毎日慰めてもらってるよお。あ、そうだ! 今夜はナナキも一緒に行くか?」


「それは、ど、どうしようかな……」


「っざけんな!」



 リリアが俺の胸ぐらを掴んだ。瞳をとんがらせて睨み付ける。



「おいナナちゃん! 娼館に行ったら許さねえぞ!」


「あ、ああ、わ、悪い。ただ、興味が無いわけじゃ無いからな」


「もしかして、もう行ったことあるのか?」


「いや無いよ」


「絶対行くな」


「わ、分かったよ。行かないって」


「じゃあ、許す」



 リリアが俺のジャケットから手を離す。そんな俺たちの様子を見て、ポックルはどんどん落ち込んで行くようだった。



「いいよなあ。ナナキはさー。こんな美人がいるんだもん。卑怯だよ」


「暴れ牛だけどな」



 リリアが両足を組んで左手の甲を顎に当てる。



「誰が暴れ牛だって?」


「はははっ、何でも無い」


「この野郎、娼館に行ったら許さねえぞ」


「行かないって言ってるだろ」


「ハァー……」



 ポックルがため息をつく。悲しみは深いようだ。



 やがて酒のつまみが運ばれてきた。ポックルは次から次へとフォークでつまみを口に運んだ。しまった、こいつに全部食われちまう。俺たちが金を出すって言うのにこの野郎、食い過ぎだ。



 ふと冒険者ギルドの入り口が開いて、金髪の男性が入って来た。銀の鎧に青いマント。王都騎士団のメンバーである。



 俺の眉がぴくんと跳ねた。青いマントの男性が、思い出の中にある人物だったからだ。あの頃よりも顔のしわは深くなっているが、騎士団長のギルディスである。俺は闘技祭の決勝戦で戦ったことがあった。



 彼は建物のカウンター前まで歩くと、事務作業をしていたハーティンに声をかける。



「ハーティン」


「お! ギルディスゥ。珍しいな、お前がこんな時間にギルドに来るなんて。どうした? メシの誘いか?」


「違う。明後日の王様の生誕祭パレードだが、警護を強化することになった。だが騎士団メンバーでは人手が足りないんだ。だから、冒険者を臨時の警備兵として雇いたい」


「そりゃあいいけど、またいきなりなんだな」


「すまん。急きょ決まったのでな」


「ふーん。で、何人必要なんだ?」


「それなんだが……」



 二人は何やら話し込んでいる。声を潜めたようで、それ以上の会話は響いてこない。しかし耳の良いリリアには聞こえたようだ。彼女がはっとしてつぶやく。



「アイに、殺人予告だと?」


「おい、マジか?」


「ふーん」



 俺とポックルは顔だけ振り返ってカウンターの二人を眺めた。リリアは両手を耳に当てて聞き耳を立てている。小さく何度も頷いていた。彼女にはハーティンたちの会話が筒抜けで分かるようだ。



 ギルディスの話は済んだのか、やがて歩いて建物を出て行く。ハーティンがカウンターから出てきて、両手を広げて胸を張った。



「おめでとうみんなあ! 金の羽振りの良い仕事が来たぞー!」


「「おおー!」」



 その時室内にいた冒険者たちが威勢良く応えて手を振り上げる。ハーティンは声を張って仕事を説明した。



 どうやら俺たちは、明後日の生誕祭パレードで臨時の警備兵をすることになるようだ。特別な理由が無い限り任務を拒否できないらしい。リリアと俺はもちろん参加だ。



 緑大蛇ギルド団長のポックルも行動を同じくするようだった。――少なくともこの時点ではそうだった。



 ◆◆◆



 ちくしょう、せっかく酒を飲んで良い気分だったのによぉ。



 午後、テモネ山の洞窟に来ている。ゴブリンの巣駆除の依頼書には簡易地図が書かれており、場所が示されていた。



 あたしは辟易としてつぶやく。



「ポックル、何でお前まで着いてくんの?」


「いいじゃないか! たまには仕事をやっておかないと、俺だって体がなまるんだよ!」



 ポックルが両腕をストレッチしながら反論する。



「まあまあ」



 ナナキはあたしをなだめつつ、洞窟の穴を睨み付けた。



 この中にゴブリンが巣くっているらしいんだよな。そんな穴に入るなんて気味が悪いのだが、仕事だから侵入するしかない。あたしが顔を曇らせていると、ナナキは躊躇せずに進み出す。



「リリア、松明(たいまつ)をつけて、照らしていてくれ」


「分かった」



 あたしはステータスからすでに松明を取り出していた。マッチで火を付ける。明かりを照らす係だった。



「おい、ポックル。いっちょやるぞ」


「ナナキ。お前が全部虹空で倒してくれ」


「ふざけるな、お前が全部投げ飛ばすんだ」


「そんなの無理だっ」



 緊張感を全然感じない。何かこいつらの会話、頼もしいなー。ゴブリンぐらい余裕ってことか? まあ、ナナちゃんなら負けやしないんだろうけどさ。そんなことは分かっているけれど、二人には恐怖心ってものが無いのか?



 余裕そうな雰囲気に、あたしは楽しさすら感じた。



 実際、穴に入って行くと緑色の肌をしたゴブリンが何匹も沸いて出た。あたしはみんながよく見えるように松明を高く持った。



 ナナキが軽口を叩く。



「おい、ポックル。お前の鎧と同じ色をした仲間が来たぞ?」


「ゴブリンが仲間なはずあるかいっ!」


「お前がボスだったりしてな」


「俺がボスだったらナナキは手下だ」


「俺はお前の手下になるほど人生あきらめてねえ」


「どういう意味だっ!」



 ナナキが次々とゴブリンを剣でかっさばいて行く。背の低いモンスターたちを、ポックルは足払いをしたり、セイクリッドナックルというパンチで撲殺した。



 やべえ、この二人強すぎ。子猫同士が甘噛みをし合うような会話をしながら、ゴブリンたちをどんどん(ほふ)っていく。その数10体、20体……。あたしはバカバカしくて、モンスターの死体を数えるのを途中でやめた。



「何か楽だなー」



 あたしはクスクスと笑いながら何もしなかった。ただ後ろから歩いて着いて行くだけである。全くちょろい仕事だ。



「おいリリアちゃん、お前も働けよう!」


「ポックル。リリアは明かりを照らすだけでいい。レディだからな」


「何言ってんだよナナキィ。リリアちゃんはものすごく強くて、王都じゃ有名な眠り姫って呼ばれてるんだぞ?」


「眠り姫? 何だそのダサいネーミングは。暴れ牛にしよう」


「ナナキお前、ネーミングセンスゼロな」


「お前のキノコヘアーのセンスの無さには負けるけどな」


「馬鹿。結局男はパワーなんだよ」


「否定はせん!」



 ナナキがまた近づいてきたゴブリンの首を剣で弾き飛ばす。



 ザシュンッ。



 あたしは会話にツッコミを入れる気も起きなかった。そして悪いとは思いつつも、松明を置いて戦ったりしない。



 あたしが何もしなくてもさ、こいつら二人でゴブリンの巣を駆除できるんじゃねーの? そう思っていると、実際一番奥へたどり着いた。そこには皮膚が赤くて体躯のデカいホブゴブリンが待っていた。



 ボスの周囲には動物や人間の骨が落ちている。どうやら今までに殺して食料にしたようだ。



 赤い鬼が吠えた。



「ぐおおおおう!」


「おい、ポックル、ちょっと行ってあの赤いのをボコボコにしてこい!」


「馬鹿! ナナキが剣でドスドスにしろよ!」


「ポックル、天の川を決めろ! そしたら俺が敵の首を剣で刺す」


「おいしいところを持って行く上に楽がしたいだけじゃんかそれ!」


「うぉおおおおおうっ!」



 ホブゴブリンが両手の爪を突き出してこちらへと走った。二人が顔をひきしめる。



 ポックルが前に出た。両手を構えて瞳をぎらつかせる。



「空七変流、(あま)(がわ)



 洞窟の天井に無数の星が帯状に広がる。ポックルがホブゴブリンの左腕を掴み、一本背負いしていた。



 ドスンッ。



「ごふっ!」



 地面に叩きつけられたボスモンスターが悲鳴を上げる。その首にナナキが剣を突き刺した。



「よっしゃー! 任務完了!」



 ザクリッ!



「ごあぁぁぁああっ!」



 ホブゴブリンが首から血を流してビクビクと体を痙攣させる。洞窟の全てのゴブリンたちが無事に駆除された瞬間だった。



 あたしは堪えきれず、腹をひくつかせて笑った。



「あはははっ」


「おい、どうしたリリア? 笑えるところあったか今の?」


「リリアちゃん、笑うほどこのホブゴブリンに恨みがあったの? まるで鬼女みたいな笑い方だね」


「ポックル、こいつは鬼女じゃない。暴れ牛だ」


「暴れ牛っていうよりも、何もしない牛じゃね?」


「あははははっ」



 あたしはもう笑うしかない。だって明かりしか照らしてないんだもん。



 二人には悪い気がしたけど、最初から最後まで出る幕は無かった。代わりに軽口を叩いたことを許してあげることにしよう。ああ、そうしよう。



 そしてあたしたちは帰宅した。洞窟のゴブリンたちの駆除には一時間とかかっていない。道のりの往復時間を合わせると計三時間ぐらいだった。



 テモネ山を下りて、東門から王都に入った。その間も二人はなんだかんだ会話をしてつつき合っている。幼馴染みであり、仲が良いように映った。昨日までポックルはあたしをつけ狙っていたが、案外悪いやつじゃないのかもしれない。



 冒険者ギルドにたどり着くと、ハーティンさんは驚いた声を上げた。任務完了までの時間が早すぎたからだ。彼は若干緊張した面で説明した。



「じゃ、じゃあ、後は任せろ。洞窟のゴブリンの死体はこっちで片付けておく。えっと、報酬は、銀貨5枚だったな!」



 ハーティンがカウンターに銀貨を置く。



 ナナキが手を伸ばした。



「俺が2枚もらう」



 ポックルも手を伸ばす。



「じゃあ俺のぶんも2枚」


「おい、あたしのぶんが1枚しかねーじゃねーか」



 あたしは冗談で声を上げた。



 ナナキが困ったような顔をした。



「確かにな……」


「おい、リリアちゃんは着いてきただけだよ! お前の取り分は銀貨1枚だ。もらえるだけでもありがたいと思えよ!」


「あっはは、嘘だよ。あたしは銀貨1枚で良い」



 ポックルの言う通りだった。あたしは明かりしか照らしていない。本当、楽な仕事だったわ。いや、マジでさ。



 腕時計を見ると、まだ午後の四時前だった。だけど仕事は三つとも片付いたので、あたしたちはそれぞれの帰路へ着くことになる。



 別れる時、ポックルがナナキに真剣な声で誘いをかけていた。



「おい、ナナキ。お前童貞だろ!」


「童貞だが、それがどうかしたか!?」


「俺と来るんだ! 娼館へ行くぞ。童貞なんてダサいもんはさっさと捨てちまえ!」


「え、ええっと、どうしようかなあ」


「っざけんな!」



 あたしはナナキの前に立って両手を腰に当てた。



「ポックル! お前が娼館へ行くのは勝手だけどな、ナナちゃんを巻き込むな!」


「な、なんだとお? お前、仕事では何もしなかったくせに、生意気な!」


「いいからとっとと行ってくれ!」


「お、お前こそ帰れよ!」


「早く行けって!」



 あたしは怒声を上げて手の甲を振った。ポックルが顔を険しくして睨んできている。これじゃあナナちゃんと別れるのが不安だ。



 こいつ、この後ナナちゃんを追いかけて娼館へ連れていくつもりじゃねーだろうなおい。あたしは気が気で無かった。ナナちゃんは誘惑に負けたりしないだろうか? 人生、間違いは誰にだって起こる。それが今日のナナちゃんにあり得るかもしれないと思った。



「くそっ」



 ポックルが吐き捨てる。彼はあきらめたようで、一人で娼館街の方向へと歩いて行った。だけど演技かもしれない。



「じゃあな、リリア」



「あ、ああ。また」



 あたしとナナちゃんはお互いに右手を上げて振った。彼は宿屋の象牙亭へと帰って行くようだ。あたしは修道院へ戻るふりをした。



 だけど途中で引き返して、ナナちゃんの後を追ってみることにする。



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― 新着の感想 ―
めっちゃ面白くて気がついたら最新話まで読み終えてました! ナナキ……鈍感すぎるでしょ(笑) いや確かにね、名前も変わって成長してるけどさ……そこは気がつけよと(笑) スウの動向が気になりすぎる、なぜ強…
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