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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

クリエイター減反法が可決しました!

作者: 金鹿 トメ

米農家とクリエイターを並べて比較してる様子なので

なら本当に同じ扱いされてみろや! という思いで書いた実家農家の字書きです。スナック感覚でどうぞ!

「クリエイター減反法が賛成多数で可決しました」

「これは表現規制につながる動きです! 許してはなりません」


「陰謀論系の配信者がなんか言ってら」


絵描きの息抜きになるかとたまたま開いた動画を閉じる。

そしてその配信者のデザインは気に入ったので。

着ているパーカーだけをパク……参考に私は赤い髪の女の子の絵を完成させた。

そしてSNSに上げる。

今時珍しい物理キャンバスの絵に、いいねがどんどん増えていった。


クリエイター減反法はAI推進派こと陰謀論界隈での呼び方だ。

正式名称は資源効率推進法

俗称もったいない法が可決された時。世間の反応は大きくなかった。


「もったいない精神を法律にしたんですね。いいと思います!」

「日本人の精神を法律にしたという訳ですね」

「人、モノ、そしてインターネット。すべてを効率的に利用するために必要だと思います!」


反対派なんてエロい絵を愛好する上に犯罪上等で人の物を盗む集団だ。

彼らがどんなに叫んでも耳を傾けられることは無かった。


「まあちょっと可哀想だけど仕方ないよね」


日頃の行いが悪い。

私は絵も描いてるけど、成績だってそこそこいい。

だから美大に行けなくてもそれなりのホワイト企業に就職して、その企業の中の文芸倶楽部の中で趣味で絵を描いていけばいい。

上手くデビューできるならそれで終わりだ。


そう思っていた。

あの時までは。



***

その日から数カ月。

日常を続けていた私に災難が降ってわいた。


「どういうことですか? 美大に推薦出来ないって」


あんまりです!

私は先生に向かって喰ってかかる。

私以上に絵が上手い人が居たのか?

けどそんな話は聞かない。

成績だって悪くないはずだ。


先生は言った


「残念だけど、成績がいい子は美大に行けなくなったの。次の模試を0点通過するって約束ならなんとかするけど」


成績がいいから推薦できない。

意味が分からなかった。

呆然としていると先生は言う


「資源効率推進法で決まったの。絵師になるには無産でなきゃならないってね」


「まず第一に学校の成績が悪い事。そして特定の分野での活躍が無い事。この二つの条件を満たさなければ日常的に絵を描くことが許されません」


意味が分からないでいる私に先生は追い打ちをかける。


「一日一時間まで。それが資源効率推進法での義務。罰則は……腕を切られるわ」


「……冗談ですよね?」


「私もそう思っていたのだけど」


先生は左手を差し出す。

いや、正確に言うならば左手が付いていたであろうくるぶしを差し出した。


「……教員は本来免除されるんだけど届け出を忘れちゃってね」


言葉だけなら信じなかったろう。だけど目で見てしまったのなら。

信じるしかなかった。


「つまり……絵しか描けなくなるか。絵を描けなくなるか。そのどっちかってことですか?」


先生は頷く。

そして言った。


「よく考えて選ぶのよ」


***


家に帰るとすぐ、資源効率推進法の中身を見た。

その条文は一つの原則と三つの要件で成り立っている。


原則

資源を効率的に消費するため以下の三条を定める。


一条

物理的な絵を描く人間はクリエイター免許を取ったものでなければならない。

クリエイター免許は国が1000人に発行し、毎年資格を問わねばならない。


二条

インターネット上で電子データのみで絵を描く人間も、手描き免許を取ったものでなければならない。

手描き免許は国が一万人に発行し、半年ごとに資格を問わねばならない。


三条

絵を描く人間は他に何も出来ない無産であることを証明されなければならない。

よって働いても居ないし学生でもない「ニート証明書」か、学校、会社の発行する「無産証明書」が無くてはならない。

不携帯の場合は別途定めた法で罰する。



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