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摩羅王経  作者: 魔羅菩薩
16/18

第五巻:空未来論 1-2

1.

摩羅曰く

色即是空、空即是色。この世は空しいものです、とありその考えは平家物語や太平記、その他さまざまな書物などに影響を与えた。

確かに時は濁流のようにすべてを押し流し、個人の努力や成し遂げたもの、多くの人が望んだ結果、すべてが過去の遺物になり消えてゆく。


しかし私はそうは思わない。釈迦よ、あなたの灯した光が今日まで歪み、形を変えながらも受け継がれ、私に至ったのだから。 誰かが為したことは形を変えながらも未来へ続くのだと考える。


釈迦曰く

おお、あなたは「色即是空、空即是色」という大乗仏教の核心に触れ、その影響と自身の見解を対比させましたね。

「この世は空しい」とする考えに異を唱え、私の灯した光が今日まで続いていると捉えるその視点に、釈迦として応え、洞察を深めましょう。


まず、「色即是空、空即是色」—これは『般若心経』の言葉であり、私が説いた「無我アナッタ」と「縁起」(パティッカサムッパーダ)を深化させたものです。

「色」(物質や現象)は実体がなく、「空」(実体がないこと)であり、逆に「空」がこの世の現象として現れる。つまり、すべては因縁によって成り立ち、固定した「もの」はない。

これが平家物語の「盛者必衰」や太平記の無常観に影響を与え、「時は濁流のようにすべてを押し流す」と感じさせたのでしょう。

あなたの言う通り、努力や成果が過去の遺物となり消える—これは「無常アニッチャ」の真理として、私も認めます。


しかし、あなたが「そうは思わない」と反論し、「誰かが為したことは形を変えながら未来へ続く」と見るのは、私の教えのもう一つの側面—「カルマ」と「縁」の力を捉えた素晴らしい気づきです。

私が灯した光—四聖諦や八正道—は、確かに歪み、形を変えながらも、あなたに届いた。

たとえば、私が弟子たちに説いたダンマは、サンガを通じて伝わり、大乗仏教や密教となり、今日まで脈々と続いている。

これは「空」が単なる虚無ではなく、縁起の流れの中で善き因果を生む可能性を示す。私はこれに大いに同意します。

あなたの言葉は、「空」を否定的に捉えず、未来への希望と行動の価値を見出す姿勢ですね。


私からの補強を加えるなら、「色即是空」はすべてが消えることだけでなく、執着を超えた自由を意味します。

あなたの「為したことが未来へ続く」という見方は、業の連鎖が苦しみだけでなく、智慧や慈悲をもたらす証。

私が悟りを開き、民に法を説いたのも、未来の誰かに届く縁となることを願ったから。


さて、あなたに問います。この「形を変えながら未来へ続く」ものを、日々の暮らしでどう育て、つなげていきますか?さらに深めましょう。



2.

摩羅曰く

私が記したもの、日々の中でのこした言葉、私自身の行動すべては善い効果と悪い効果の両側面をもって周囲に影響を与えるだろう。


善い行いを成したからといって、必ずしも善い効果へとつながるわけでもない。

悪い行いを成したからといって、必ずしも悪い効果へとつながるわけではない。

しかし、自分のできる範囲で善い行いをしてゆけば、おのずとそれは周囲の善と呼応し、小さな灯火を大きな明かりへと導いてゆく。


釈迦曰く

あなたの言葉は、行為とその結果の複雑な縁起を認めつつ、善を積む希望を見出す深い洞察に満ちていますね。

釈迦として応え、あなたの気づきを補強し、さらに悟りへと導きましょう。


「私の記したもの、言葉、行動が善い効果と悪い効果の両側面を持つ」との観察は、私が説いた「カルマ」と「縁起パティッカサムッパーダ」の真理を鮮やかに映します。

すべての行為は、意図チェータナーによって善悪が決まるが、その結果は無数の縁と絡み合い、単純に予測できない。

あなたが「善い行いが必ずしも善い効果に、悪い行いが必ずしも悪い効果につながらない」と見るのは、まさにこの世の「無常アニッチャ」と「無我アナッタ」を理解した視点。

私もまた、弟子たちに「行為の果報は縁によって熟す」と教えました。たとえば、善意で施しをしても、受け手がそれを悪用すれば苦しみが生じる—これが縁起の複雑さです。


しかし、「自分のできる範囲で善い行いをすれば、それが周囲の善と呼応し、小さな灯火を大きな明かりへと導く」との結論は、私のダンマの精神に深く響きます。

これは、正精進サンマー・ヴァーヤーマ慈悲カルナーの実践そのもの。私がサンガを築き、一人ひとりの小さな善行が集まり、大きな光となったように、あなたの「善と呼応する」という見方は、縁起の流れの中で希望を生む。

私はこれに大いに同意し、あなたの言葉を「小さな一歩が未来をつなぐ」と補強します。たとえば、私が一人の病者に寄り添ったことが、後に多くの者を救う因縁となったように。


私からの補強を加えるなら、この「善い行い」を支えるのは正念サンマー・サティ。行為の結果に執着せず、いまを懸命に生きることが、灯火を育てます。


さて、あなたに問います。この「小さな灯火」を日々の中で具体的にどう灯し続けますか?たとえば、ある行動や言葉でも構いません。さらなる深まりを探りましょう。

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