小学生.2
「翔ちゃん、可愛いパジャマだね」
翔ちゃんのパジャマはもこもこしていた。
「っち」
「また舌打ち。学校来ないの?」
「いかねぇーよ」
「たのしいよ。翔ちゃんがいたら」
「俺は楽しくないんだよ」
「なんで」
「嫌いな奴がいるんだよ」
「ボクのこと?」
「違う」
「田中?それとも柚子?」
「違う」
「やっぱり、先生かな。ボクも苦手。ていうかクラスみんなから嫌われてるよ」
「俺だけじゃないのか。お前もあいつに触られたのか」
「みんなだよ。クラスの男子全員」
「ちょっとそれどういうこと?あんた達の教師どうなっているの?お母さん学校に連絡してくるから」
翔ちゃんママがいること忘れてた。
「翔ちゃん、ボク泊まって行ってもいい?」
「家隣だろ。帰れよ」
「でも、お泊まりセット持ってきてあるよ」
「泊まる気満々じゃねぇか。母さんに来てきてやるよ」
「ありがと」
「泊まっていいってよ」
「ほんと?何して遊ぶ?ゲーム無いの?明日お祭りあるだけど一緒に行かない?」
次の日、僕たちはお祭りに行くことになった。
「翔ちゃんの浴衣かわいい」
「ねーちゃんのお下がりなんだよ」
「ボクも浴衣着ていこっかな」
「翔太郎、楓くん写真撮るよー」
「楓、写真だってピースしろよ」
「えっ、ボクまだ浴衣着てないよ」
ボクたちの初めての写真。
「翔ちゃん思い出したよ。ボクも翔ちゃんも泣いてない」
思い出した。あの日ボクと翔ちゃんが友達になった日のこと。
「泣いてたの翔ちゃんママだよ」
「ほら掃除早くしろよ、手ぇ止まってんぞ」
「いやでも、次の写真も懐かしいよコレとかさ」