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楓と翔ちゃん  作者: かなた
1/2

出会い.1

「翔ちゃん翔ちゃんこれ覚えてる? 懐かしくない?」

「うわ! 懐かしいな! 一緒に寝てる写真じゃん。 小学生の時だっけ? これ」

「そうそう。 5年生の時だよ。 翔ちゃんが転校してきたばかりの時」


ボクと翔ちゃんは、小学生の時に出会った。

翔ちゃんは、夏休み前に転校してきた。

あのころはたのしかったなぁとかんかえていると。

「思い出した! 夏祭りの日だ! 浴衣着ていくーってお前泣いてたんだよな」

「えーそうだっけ。 泣いてたのって翔ちゃんじゃなかった?」

「いや、俺じゃないって。 お前がどうしても浴衣がいいって駄々こねてたんだって」

「違うって、覚えてないの?」


ボクと翔ちゃんが出会ったのは、小学5年生の夏。翔ちゃんが、転校してきた。

始めて転校生が来ると言うことでクラスのみんなが、ソワソワしていた。

どんな子だろう。イケメンかな。と言った具合に。

「はい。 えー転校生を紹介する。 入ってきなさい」

先生に促され入ってきたのは、ちょっと乱暴そうな子供だった。

「羽田翔太郎」

たった一言だけ名前だけ言った。

「えっと、それだけかな。 羽田翔太郎くんだ。みんな仲良くするだぞ」

先生はまわりを見渡して、「窓側の1番後ろにあるからそこに座りなさい」と言った。


翔ちゃんはボクの隣の席だった。

「よろしく翔太郎くん」

「・・・」

無視された。

「翔太郎くん?」

「っち」 

舌打ち。

「翔ちゃん?」

「話しかけんな」

二度と話しかけないと、決めた。


クラスのみんなは、翔ちゃんと話したがっているけど、翔ちゃんは、いつも不機嫌そうにしているだけだった。

翔ちゃんが転校してきてから1週間が過ぎた。


翔ちゃんは授業が終わると決まって教室から出ていく。

どこに行っているのか気になったボクは、気付かれないようについていった。

翔ちゃんは、キョロキョロとまわりを見渡して道に迷っているように見えた。

転校してきたばかりで、いつも1人でいる翔ちゃんに教室の場所を教える子はだれもいなかった。

ボクは、翔ちゃんにバレないようにこっそりと教室に戻った。

ボクも、初日の態度から話しかけることをしていなかった。


それから1週間後、翔ちゃんは学校に来なくなった。

だれとも話さないで、2週間過ごすことは翔ちゃんには苦痛だったのだろう。


「楓くん」

下校時間に先生に呼び止められた。

「翔太郎くんに、プリントを届けてくれないか」

「ボクがですか?」

嫌そうな顔をしてしまった。

「断ってもいいんだがな、家が1番近いんだ」

確かに、ボクは翔ちゃんと家が近い。

投稿中にも何度か翔ちゃんの姿を見ていた。

「別に、いいですけど」

郵便受けにでも入れておけばいいだろうと考え、ボクは受け取った。


翔ちゃんの家は予想よりも近かった。

いや、近いと言うより隣だ。

郵便受けに入れ、そのまま立ち去ろうとすると、

「きみ! もしかして、うちの子と同じクラスの子?」 

後ろから声をかけられ、振り向いた。

「えっと」

言葉に詰まっていると

「あぁ、こめんねぇ。うちの子翔太郎何だけど知ってる?」

「同じクラスの「あっ!楓くん?一回だけ翔太郎から聞いたことあるわ!」

「そうなんですか?」

ボクの名前知っていてくれたことに驚き。

「上がってきなよ!翔太郎も喜ぶわ」 

さぁさぁと言われ断れないと思ったボクは家の中に入っていった。


「翔太郎呼んでくるからリビングで待ってて。 翔太郎!楓くん、来てくれたよ!挨拶しな!」

翔ちゃんママが、呼びかけると

ガタッ、と2階から聞こえてきてそのまま足音がドタドタっと聞こえた。

扉が開き「何しにきたんだよ」と言った。

2週間ぶりに会った翔ちゃんは、今まで寝ていたのかパジャマ姿で少し寝癖がついていた。


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