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第4章 インキャ、暴走する

翌日午前9:20

俺は総務部に戻り、元同期の林いちかの隣の席に座った。

「デュフフフフ戻ったよん戻ったよん

ストライカーズ1945・林いちかマン!

デュフフフフフフヌヒャッフィ」

「仕事してください」

「おっと、林いちか。

俺事実上ここの経営者になった。

だから好き勝手やらせてもらうヌヒャッフぉおおおおおおおおおおおい!!!!!!」

そして、部署内で俺はダンスを披露した。

社内の設備は自由に使い放題、そんな中で俺は、次の製品開発のために、様々な研究をしていた。

しばらく作業していて思ったのが、それ以上に林いちかの態度が少し変わったことに違和感を覚えた。


「林さん、一緒にご飯行こ」

「嫌、友達と行く」

今はもう対等の立場じゃない。

俺は部署内全体が聞こえるほど大きな声で「じゃあ勝手に行けよ!!!!

俺はすき家でチーズ牛丼温玉乗せでも食ってるから」

クスッと誰かの笑い声が聞こえた。

「笑うな!俺を馬鹿にするな!

俺だって、必死に生きてきたんだよ!

お前らは、凡人でただ言われたことをしていればどうにかなってるが、俺は違う!

俺は孤独だった、生まれてからずっと母親から捨てられて父親からも捨てられて、お前らに俺の気持ちの何がわかる?

お前らは、突然仕事をクビになったことがあるか?クビになってもすぐ会社見つかっただろ?

違うから俺はそんなことないから!俺は今回たまたま発明した商品が良かったからここの事実上の取締役になってるが、お前らはどうせ、陳腐な発想しかできないからずっと仕事ができる!

そうだろう!この中で14の頃から哲学にハマった奴はいるか?

いねえよな?今でも俺は哲学書を読んでるし、ニーチェを読んでる!俺を癒してくれるのは林いちかと、本だけ!

おれはずっと孤独なんだ!みんな俺の発言の意図をわかってくれないし、わかろうともしてくれない!

お前らは、普通に雑談ができるが俺はできない!人の感情を理解できないから!

とにかく、俺は、データをもとにした分析や書籍から得たアイディアの組み合わせで何かを開発することはできる。

じゃあお前らはどうだ?それは、できないだろ。いやできるとしても行動に移せるか?移せないよな?

俺はとにかく最初は承認されたかった。

だが、林いちか含めここにいる社員は今俺を承認するか?しねえよな?

俺の気持ちの何がわかる?

施設いたことある?職員から虐待受けたことある?10歳以上歳の離れた人に思い切り蹴られたり殴られたりしたことある?

うつ病を発症したり、導尿障害を発症したりしたことある?ねえよな?ねえよな?

突然会社から席を失ったことは?

そんな俺のことについて、みんな何がわかる?俺はここの社員の千尋ちゃんが好きだよ。でも、きっと、ちーちゃんは、俺のことを好きにならない!

そりゃそうだろ!俺はキモくてしつこくて頭が悪くて何言ってるのかよくわからないキモい名前の通りのインキャだからな!

お前ら出てけよ、給料出すからさ!出てけよ。

あと、パソコンバックアップクラウド上に保存してる?」


社員の1人が震えながら「はい」と言った。


「お前らでてけ。

ただし林いちかさん、君はここにいてくれ」


こうして、社員全員を追い出した後、俺は社内のパソコンを次々に破壊していった。

デスクも何度も蹴り飛ばし、社内にある重要書類も全部ビリビリに破いた。

コールセンター業務を行う部署に立ち入り、「出てけ」と命令した。

そして、次々とヘッドセットやパソコンを破壊していった。

「壊れろみんな壊れてしまえ!」

俺の手は血だらけだった。

そして、パソコンのディスプレイを思い切り鉄拳で破壊すると、ディスプレイの破片が俺の頬に刺さった。

「全部終わらせる」

椅子も、会社の窓ガラスも次々に壊していくと、林が俺を止めた。


「やめて」と林が俺を後ろから抱きついて止めた。

「なんで」

「私たちの会社だから」

「俺の会社でもある」

警備員が近づく、「何事ですか?」

「ここ、俺の会社だから、ちょっとイライラしたことがあって」

「常識考えてくださいよ、みんなびっくり」

俺はオフィス内にたまたまあった、課長のゴルフクラブを振り回し「うるさい!」と言った。

その時あまりのストレスから俺の意識は、無くなった。


・・・

・・・・

・・・・・


そこは、小さなアパートの中だった。

1人の少女が俺に近づいて、リンゴを渡した。

「もう、頑張らなくて良いんだよ」

その少女はかつて俺が心から愛した少女に似ていた。

「サキ・・・なんでリンゴなの?」

「だって、リンゴは、"知恵の実"だから」


しゃくしゃくと涙を流しながらリンゴを食べた。


そして少女の体が消えていく。

「もう会えないんだね」

「さようならジョージ」

「愛してる、もう一回そう言って良い?」

言いかけると、少女は消えた。


・・・俺が目覚めると病棟の中だった。

そして、その後出た診断名は適応障害と言われたが、特に医師からは何も言われてない。

また、警察も呼び出され、「たとえ自分の会社であっても2度と破壊活動をしないように、外部から通報があったんだ。」

俺は、ボロボロになった姿でゆっくりとオフィスに向かうと、そこには、新しいパソコンや、書類などがあり、社員もしっかりいた。


「暗黒川さんご無事でしたか?」

みんなが心配してくれていたようだ。

俺は生きてて良かったと涙を流し、新製品開発のためにアメリカへと渡った。

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