第3章 インキャ、アメリカに行く
俺がこの世界に来てからもう3ヶ月になる。
最初の1ヶ月は、会社に来ることが許されたが、それ以降は、あまりの仕事の出来なさから、欠勤分の給料の全額保証つきの休業を言い渡された。
つまり、俺はニートになってしまったということになる。
会社からは転職を勧めらたが、断り今に至る。
そして、林いちかからは、ブロックされていた。
林さんにマシンガントークできていた日々が懐かしく感じる。
マシンガントークがしたい、マシンガントークがしたい、強い自己顕示欲を抑えるために俺はこの世界で、嫌々ながらも技術系の仕事に転職することにした。
アプリケーション開発や、まとめサイトの代理運用、そして日払いのピッキング現場に行くこともあった。
しかし、俺はどうしても、会社に入社したいという強い気持ちから、大手外資系企業のペアージャパン合同会社に強く入社したいと思った。
そんな中、俺はこの携帯端末に対し不便さを感じていた。
サイズが大きく、そして値段も高い。
音楽が持ち運べるのはいいが、音楽再生に特化した"何か"が欲しい。
そう考えた俺は、ひたすらある製品を大学ノートに設計図を書き込んだ。
そして、設計図を元に完成したその商品の名は「My Pod」。
この商品を販売するために多くの販売網を持つ、ペアージャパン合同会社に持ち込み、社長室に案内された。
すると、社長は「アメリカに行きなさい、チケット代は私が負担する」と言い、翌日、社長と2人でアメリカ合衆国 カリフォルニア州 クパチーノにあるPear Inc.本社行きのタクシーに乗り、そして、そこにはスチーム・ジョヴズの姿があった。
"Did you develop this player?"
「Yes.」俺はそう答えると、彼はスクロールホイールを回しながら音楽プレイヤーから音楽をかけた。
スチームは日本語で「君にこの会社を任せたい」と一言言ったが俺は「帰る場所があるから」と言い、1億ドルの小切手を受け取り、俺は日本へ帰国した。
「そういえば」
小切手を換金し、林いちかがいた会社を思い出した。
自宅のパソコンで、前の職場の決算書を読むと赤字に転落しており、経営難に陥ってた。
俺は3億円が入ったバッグを持ち、前に勤めていた会社のビルに赴いた。
そして、ゆっくりと、社長室に向かった。
「やめた人間が何のようだ」
「社長、僕をもう一度雇用してください」
「何の真似だ?やめた人間は帰れ」
俺は社長に現金の入ったバッグを見せた。
「社長に献上します!
そして、僕がこの会社の社債の20%を買います!」俺は土下座した。
林いちかと働きたい、その強い思いで、涙ながらに俺は頭を下げた。
すると偶然ペアージャパン合同会社の社長が来た。
「鈴木さん。
ここ、俺が出資した会社だよな。
事情はドア越しから聞いてた。
彼を戻してやれ」
「で、ですが石川さん!
彼は無能で、資料作成はよく間違えるし、」
「スチームジョブズが、彼にPear社を渡したいといった。
つまり、事実上の社長は彼だ。」
俺はペアー合同会社社長に「そうなんですか・・・」と言った。
そして、鈴木社長を再度見つめ、「俺を総務部に行かせてください!!!」と頭を下げた。
続けて石川が「経営権は、事実上彼が持ってる。所詮この会社はペアー社が開発したアプリケーションのライセンスカードの販売や一部コールセンター業務や、他社の販売代理業務を行なってるに過ぎない。
良いか、鈴木・・・、本気を出せばこの会社をいつでも畳めるんだぞ」
鈴木は社長席を俺に譲った。
「明日9:00に出社します。
ちなみにドクターペッパーここにあります?」
石川が買ってきますと走っていった。
そして、鈴木は今にも死にそうな顔で社長室をあとにした。