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I am Aegis / Origin 2  作者: アジフライ
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第15話【破壊現る】

前回からの続き……

「久しぶりだなぁ……シュラス……何年ぶりだぁ? 」

「……時間なんぞ俺達には関係無かろう……ジーラ……」

そしてジーラという名の男は頭を潰された怪物の体から降りてきた。

「相変わらず一人で人間に紛れてに旅を続けているようだな……まったくその根性に驚かされるぜ……」

そう言われたシュラスは一瞬顔を曇らせる。

「お前には関係無い……」

すると頭を潰された怪物は起き上がり、 元の形の戻った。

「……オメェは邪魔だ……」

ジーラがそう言いながら怪物に向かって手を払った。

次の瞬間、 怪物の体は何かに引っ掻かれたように体が斬り刻まれた。

その切り傷からは黒い炎が溢れ出ており、 怪物の体を復元させないように治癒を阻害していた。

そして次第に怪物の体は灰のように塵と化し、 消えてしまった。

それと共に裸になって気を失っているべラスティアが現れた。

「……また喰ったのか……腹壊すぞ……」

「いいじゃねぇかよぉ、 どの道『殺す』つもりだったんだろう? 」

「……まぁいいが……」

そう言いながらシュラスは封印の扉の方へ向かい、 扉を閉めた。

すると街中に蔓延っていた魔物達は次々と蒸発していった。

…………

「むっ……魔物共が消えてゆく……」

『我らの勝利だぁぁぁ! 』

魔物と交戦していたキューサス達は歓喜した。

…………

「魔物達が消えてく……」

「シュラスさん、 やったんだ! 」

「早く行こう! 」

騒ぎが収まったのを見たエルとルーミはシュラスの元へ向かった。

…………

「さて……封印は済んだか? 」

「……無駄話をするのはお前らしくない……さっさと終わらせろ……」

「分かってるじゃねぇか……」

そしてジーラはシュラスが扉に封印を掛け、 壊された地形を治すと同時に目にも留まらぬ速さでシュラスに襲い掛かってきた。

シュラスはジーラの両手を掴み、 動きを止めた。

辺りに凄まじい衝撃破が走り、 周囲の建物のガラスが割れた。

「あまり力を入れるな……修復が面倒なんだ……」

「あの猫が蒔いた種をわざわざ拾っている時点で面倒ってもんだろう? 」

「……否定はせん……」

二人はそんな話をしながら肉弾戦を始めた。

拳や脚がぶつかり合う音が何度も街中に響き渡り、 空と大地を揺るがした。

「シュラスさん! 」

丁度その時、 エルとルーミがシュラスの元に到着した。

「ほう……あれが……」

エルとルーミを見たジーラは不敵な笑みを浮かべると二人の方へ突っ込んできた。

え……速……

反応に遅れた二人はジーラの攻撃を受けそうになった瞬間、 シュラスがジーラの前に立ちはだかり、 攻撃を庇った。

「シュラスさん! 」

「……問題ない……少しばかり離れてろ……」

「は、 はい」

ジーラの拳はシュラスの腹に命中していた。

しかしシュラスは平然としている。

「受け流さずにもろに食らってもノーダメージか……相変わらずの化物ぶりだな……」

「もういいだろう……挨拶にしては過激だ……」

そう言うとシュラスはジーラの腕を絡めとるように動き出し、 ジーラの動きを封じた。

「いでででで! 分かった、 分かったから! 降参だ! 」

ジーラが降伏するとシュラスは手を離した。

「はぁ……少しは手加減してくれよ……」

「お前が言えた事ではないだろう……エル、 ルーミ、 もういいぞ……」

シュラスがそう言うとエルとルーミは物陰から顔を覗かせた。

えっと……敵ではないのかな……何か凄く攻撃的な人っぽいけど……

エルはジーラを見ながらそう思った。

すると二人の元にジーラが寄ってきた。

「よぉ、 お前らがシュラスとつるんでる人間かぁ」

「あ、 あなたは……? 」

「おぉっと自己紹介が先だったな……俺はジーラ・ヴァ―ライド、 ジーラとでも呼んでくれ、 さっきはいきなり襲い掛かって悪かったな」

するとルーミは突然短剣を抜き、 ジーラの顔に突き付けた。

「……あなたから物凄く嫌な気配がする……何者なの……」

「まぁ落ち着けよ猫の娘……俺は何も無差別に攻撃をするようなイカれ野郎とは違う……」

ジーラはルーミにそう囁くと突き付けられた短剣を素手で掴み取った。

すると短剣は強力な酸でもかけられたかのように刃が溶け出した。

驚いたルーミは短剣から手を離し、 退いた。

「……ルーミちゃん、 きっとこの人は敵じゃない……シュラスさんの知り合いだよ……」

「物解りの良いやつがいると助かるぜ、 猛獣は誰かが調教して世話をしてやらないとだからな」

「何をっ! 」

ジーラに貶されたルーミは再びジーラに襲い掛かろうとするがエルが羽交い締めにして抑え込んだ。

「ここでは話しづらいだろう……一度家に戻ろう……後始末は天星騎士団がやってくれるだろう」

「そりゃいい! お前らの新しい家に是非上がらせてもらいたい」

この人……どうして新しい家の事を……シュラスさんから聞いたようには見えないし……

そしてシュラスとジーラは拠点の方へ向かっていった。

するとジーラはルーミの方を振り向き

「あぁそうだ、 溶かしちまった短剣……戻しておいたぜ」

そう言い残し、 シュラスの後を付いて行った。

ルーミはふと自分の腰にある短剣の鞘を見ると溶けたはずの短剣がいつの間にか元に戻されていた。

「いつの間に……」

「……とにかく私達も行こう、 あの人が何者なのかも聞けるかも……」

「うん……」

そしてエルとルーミもシュラス達の後を追った。

シュラス達の拠点にて……

「中々いい所に住んでるじゃねぇか……この世界も悪くねぇ……今回は当たりを引き当てたようだな」

「世界に当たりもハズレも無い……ただ俺は目的を果たす為に旅を続けるだけだ」

一室にてシュラスとジーラは話をしている。

その部屋の外からエルとルーミがこっそり話を聞いていた。

……何の話だろう……世界がどうのこうの言ってるけど……ジーラさんはどこから来たんだろう……

二人にはシュラスとジーラの話を理解が出来なかった。

「そんで……奴の調子はどうだ……」

「何も変わりはない……」

「それは良かった……とは言い難いな……その様子じゃまだ奴は解放できないようだな……」

ジーラは先程とは違い、 真剣な表情で話し始めた。

奴……一体誰の話……まさか……

エルは先日に見た夢を思い出した。

あの怪物と関係があるの……?

シュラスとジーラは話を続ける。

「やはり……あれを討つにはこの剣を人間に渡すしか……」

シュラスは側に立て掛けた剣を見る。

「そうだな……だが誰に持たせる……生半可な人間じゃその剣を扱えねぇだろ……」

「……運命に任せるしかあるまい……だがその前にやらねばならぬ事がある……」

「……あの人間の魔法使いかぁ? 」

そう言いながらジーラはエルとルーミのいる方を見た。

気付かれてた! ?

「二人とも……入ってこい……」

シュラスはエルとルーミを部屋に招いた。

「ごめんなさい……盗み聞きをするつもりは……」

「私達はただその人について知りたくて……」

「だから言ったろ? 俺はジーラだって、 それ以外何でもねぇよ」

嘘だ……シュラスさんとジーラさん……何か私達には理解のできない何かを隠している……シュラスさんの強さの秘密もそこに隠されてる……

するとシュラスはエルとルーミに言った。

「二人は部屋に戻ってろ……逆さ星の連中の件はまだ終わった訳ではない……今のうちに備えておけ……」

「でも……」

「エル……悪いがお前には関係のない話なんだ……大人しく指示に従ってくれ……」

「エルちゃん……行こう……シュラスさんをこれ以上困らせる訳にはいかないよ……」

「……分かった……」

ルーミの言葉でエルは渋々自分の部屋へ戻っていった。

「……あれが例の人間か……中々いい女じゃねぇか」

「……話を変えるぞ……」

「あぁ、 あれは逆さの星っつぅ連中だろう? 詳しく聞こうじゃねぇか……」

そしてシュラスとジーラは話を続けた。

…………

その頃、 エルとルーミは部屋で話していた。

「……ルーミちゃん……あのジーラっていう人……」

「分かってる、 何か嫌な感じだよねぇ……」

「そうじゃなくて……何か……シュラスさんと似たものを感じるの……」

エルはジーラからシュラスと似た気配を感じていた。

……ジーラさんのあの目……夢に出てきたあの怪物と何か似ていた……シュラスさんと似た……『悲痛な感情』を感じる……でも……これだけは分かった……

「あの人は……悪い人じゃない……だからと言って良い人という訳でもない……でも、 敵ではないのは分かった……」

「……エルちゃんがそう言うならそうなんだろうけど……でもこれからどうするの? 」

「うん……逆さ星の事だよね……」

今はそんなことよりも逆さの星の事を考えないと……またいつ街を襲撃してくるか分からない……封印の扉はシュラスさんが閉じてくれたようだけど、 今度はどんな方法を使って来るかも分からない……

エルは逆さの星への対策を考えることにした。

「……今回の騒動はシュラスさんと天星騎士団が対処してくれたお陰で何とかなったけど……次は何時、 どこで襲撃が起きるか分からない……今度はシュラスさんじゃどうにもならないかもしれない……」

「……ねぇ……もしかしたら……あのジーラっていう人……シュラスさんを助けに来たんじゃ……あの怪物を倒したのはあの人みたいだし、 もしかすると……」

「それも十分に考えられるけど……シュラスさん自身、 あまり友好的には考えてるようには見えない……協力してもらえる可能性としては低いかもしれないよ……」

「うーん……」

二人が難儀していると……

『蒼龍石等級の冒険者、 シュラス殿はいるか! 』

外から男の声が聞こえた。

声の主はキューサスだ。

「今の声はキューサス将軍の……」

「行ってみよう! 」

そしてエルとルーミは玄関の方へ向かった。

玄関では既にシュラスとジーラが来ており、 キューサスと対面していた。

キューサスの手には一枚の紙が握られており、 キューサスはそれを読み上げた。

「蒼龍石等級冒険者シュラス、 この度のカルスターラ襲撃事件沈静化の貢献に深く感謝すると共に、 陛下より直々に感謝の品を送りたい所存……今夜、 王城に来て頂きたいとのことです」

「……また面倒な……あの国王は……」

それを聞いたシュラスは片手で顔を覆い、 呆れる仕草を見せる。

その様子を見たジーラは大笑いした。

「ハッハッハッハッ! ! 面白れぇことになってきたじゃねぇの? なぁシュラス……」

するとキューサスはエルとルーミに気付き

「そこのお二人にも是非王城へお招きしたいとの事です」

『え……えぇっ! ? 』

王様が……私達をお城に! ?

今までに無い申し出にエルとルーミは驚愕する。

「それでは、 我々はこれにて失礼する! 」

そう言ってキューサスは騎士団を引き連れてその場を去った。

去り際、 キューサスはシュラスに向かって

「時間は厳守ですぞ、 シュラス殿」

笑みを浮かべながらそう言い残した。

シュラスはため息をつきながら玄関の扉を閉め、 エルとルーミに言った。

「準備しろ……王城に招かれた……」

そして不機嫌そうな態度でシュラスはその場を去った。

ジーラは笑いながらエルとルーミに言った。

「俺はここで留守番しててやるよ、 だから安心して行きな……」

「……は……はい……」

そしてエルとルーミも王城へ向かうための準備をすることにした。

続く……


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