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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十五章:ラムダ=エンシェントの復讐

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第830話:接続 -Engage-


《“機神”には触れさせねぇぞ、ノア!!》

「この……なんてしつこいの!!」



 ――――インペルティ宮殿最下層。帝都ゲヘナの解放を目指すノアたちは、遂に“機神”『輝跡書庫レーカ・カーシャ』の元へと到達しようとしていた。

 そんなノアたちを追うのは“天空神機エリュシオン”ユピテルを駆るエージェント・スペス。ノアたちが落下してきた、天井に空いた“孔”を無理やりこじ開けて現れた巨大人型兵器の両眼が地面に降り立ったノアたちを睨みつける。



《テメェの存在が間違いだったんだ! テメェのせいでスペルビア様は狂っちまった! その責任を今すぐに取れ、死んで詫びろ! 失敗作のテメェの代わりに……このオレがあいつを救ってやんよッ!!》


「なんて身勝手な理論なの……!」


《ハッ、身勝手なのはテメェも同じだろうが、ノア! 罪人のくせに赦しを求めんのか!? 罪人のくせに再起を望むのか!? 甘えんな、過ちを犯したやつぁなぁ、死ぬ以外に詫びる道なんざねぇんだよ!!》



 大口径のビームライフルを構え、エージェント・スペスはノアに狙いを定める。彼女にとってノアは邪魔な存在だった。故に排除しようとしていた、ノアを求めるスペルビアの意向を無視してでも。

 エージェント・スペスの『死んで詫びろ』という暴言に、ノアは悪態をつきつつも苦い表情をしている。死んで詫びた方がマシだと、ノア自身も感じているから。



「それでも……私には生きて果たさねばならない“贖罪”があります! その為にも、ラムダさんの再起の為にも……ここで屈するわけにはいきません! ジブリール、電磁障壁を展開しなさい!」


「命令受諾、“簡易電磁障壁シェオル・ゲート”――――展開」


《みっともなく“せい”に執着しやがって……あぁ良いぜ、ならオレがテメェを断罪してやるよ、ノア=ラストアーク!! “フォトン・マグナム”――――発射シュートォォ!!》



 それでも、生きて贖罪を果たす事に固執するノアには『諦める』という選択肢は無かった。“天空神機エリュシオン”ユピテルのビームライフルから放たれた朱い光線に対し、ノアはジブリールの展開する障壁バリアで迎え撃つ。



(構造解析……放たれたビームは超圧縮された光量子フォトンによる重粒子砲。圧縮質量分析……5000パーセント。固有ユニークスキル【付与エンチャント】で“簡易電磁障壁シェオル・ゲート”に“反射”の性質を付与エンチャント。精度調整……これなら!!)



 撃ち出された光弾が直撃する迄の僅か一秒の間に、ノアはエージェント・スペスに対する“反撃カウンター”を模索し実行する。ジブリールの肩に触れ、ノアは自身の固有術式ユニークスキル付与エンチャント】を行使、ジブリールが展開する障壁バリアに“反射”の性質を付与エンチャントした。



 その結果、“天空神機エリュシオン”ユピテルが放った光弾は――――


「はぁーねぇーろぉーーッ!!」

《しまッ!? 砲撃が“機神”に……!?》


 ――――障壁バリアに弾かれて“機神”へと軌道を逸らしたのだった。



 ジブリールが展開した障壁バリアに弾かれた光弾は“機神”を掠め、ドームの側面に直撃して大爆発を引き起こす。反射された攻撃はかろうじて“機神”には直撃しなかった。無論、ノアが()()()()()()()()()である。



《テメェ……“機神”を盾にしやがったのか……!?》


「同じ攻撃を仕掛けた場合、今度は“機神”に命中するように反射します。エージェント・スペス、あなたは私を排除しようとはしていますが……“()()()()()()()()()()()()()()?」


《…………ッ!!》


「スペルビアさんの野望を……彼の『ノア=ラストアーク』を蘇らせるのに、“機神”に保管された()()()()()は必ず必要になる……壊せないでしょう?」



 ノアはエージェント・スペスが『“機神”は絶対に壊せない』と分かっていた。“機神”に納められたノア=ラストアークの設計図をスペルビアが欲しているからだ。

 故に、“機神”を盾にされたエージェント・スペスは攻撃を止めざるを得なかった。万が一にでも“機神”が失われれば、スペルビアの目的は達成できなくなるからである。



「今です、アリステラさん! “機神”への接続を!」

「――――ッ! 分かっています、すぐに!!」



 エージェント・スペスの動揺と共に、“天空神機エリュシオン”ユピテルの動きが静止する。その瞬間を狙って、アリステラは“機神”の元へと向かい始めた。

 ブーツの踵の装備した推進器スラスターを噴射させ、地面を勢いよく蹴って加速し、アリステラは“機神”に向かって跳躍する。



《――――ッ! させるかよッ!!》

《アリステラの邪魔、させない!!》


《おわッ!? なんだテメェ、第三皇女パーノか!?》


《わたしたちの帝国を……返して!! わたしたちの居場所を……返して!! 絶対に……邪魔させない!!》


《テメェ……コックピットから離れやがれッ!!》



 アリステラの動きに感付いたエージェント・スペスは“天空神機エリュシオン”ユピテル操り、アリステラを妨害しようとした。だがその瞬間、“天空神機エリュシオン”ユピテルのコックピット内に突如として第三皇女パーノの霊体が現れ、エージェント・スペスの妨害に走ったのだった。

 突然、装甲をすり抜けて現れた第三皇女パーノの妨害に遭いエージェント・スペスは操縦を狂わせ、“天空神機エリュシオン”ユピテルは空中で右往左往している。その隙を突いて、アリステラは“機神”の元へと難なく到着する事に成功していた。



「今度こそ……私は逃げない! 私を信じて散って逝った兄様たちやフィリアの為にも、私に手を差し伸べてくれたイレヴンの為にも! 私は今、此処で!!」



 “機神”たるモノリスに右手を触れ、軍服をはだけて胸元に在るエンブレムを露出させ、アリステラは叫ぶ。今度こそ逃げずに戦う為に、手を差し伸ばしてくれた仲間やラムダの想いに応えるべく。



「我が意志に呼応しなさい、“輝跡書庫”レーカ・カーシャ!! そして、第二皇女アリステラ=エル=アロガンティアの名の下に、帝都ゲヘナを――――解放せよッ!!」



 左手に握った片翼の“紋章コード”を胸元のエンブレムに押し当てて、アリステラは“機神”に帝都ゲヘナ解放を呼び掛ける。

 アリステラの胸元に備え付けられた『∀』を刻んだ紋章が紅く輝き、その輝きに呼応して“機神”のモノリスに飾られた天使像が歌声のような叫びを上げる。



《このままじゃスペルビア様の野望が……! こうなったら、直接踏み潰してやらァ、アリステラ=エル=アロガンティア!!》


「――――ッ! アリステラさん、逃げてください!」


《“機神”はスペルビア様の物だ! テメェは負けたんだ、アリステラ! もう諦めろ、さっさと死ねェェ!!》



 “機神”の胎動を察したエージェント・スペスは、第三皇女パーノの妨害を振り切って“天空神機エリュシオン”ユピテルを動かし、直接踏み潰す為にアリステラに向かって突撃を開始する。

 アリステラはまだ動けない、“機神”に帝都ゲヘナの解放を命じ続けているからだ。“天空神機エリュシオン”ユピテルの加速にノアたちも気が付いたが、推進器スラスターを噴射させた兵器に追いつけないのは明白だった。



《死ね、アリステラーーッ!!》



 “天空神機エリュシオン”ユピテルは右脚を大きく振り上げ、アリステラ目掛けて着地をしようとする。その巨大な脚でアリステラを亡き者にする為に。



 だが、エージェント・スペスの攻撃はアリステラには届かなかった――――


《“天空神機エリュシオン”ウラヌス――――起動開始》

《なっ……なにかが降って来て……ぐあッ!!?》


 ――――超高速で天井をぶち抜いて現れた謎の機影によって機体を弾き飛ばされて。



 “天空神機エリュシオン”ユピテルを弾き飛ばし、アリステラを護るように現れたのは全高十五メートルの人型戦闘兵器。白銀の駆体、碧く輝くツインアイ、量子化した光輪のような翼、胸部で蒼く輝く炉心ドライヴを持つ、ノア=ラストアークが開発した決戦兵器。



「“天空神機エリュシオン”……ウラヌス……どうして此処に!?」



 その決戦兵器の名は“天空神機エリュシオン”ウラヌス――――ノア=ラストアークの“翼”、愛する人を護る為の彼女の“つるぎ”である。

 

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