表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第三章:来たれ、汝甘き死の時よ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/1170

第59話:第二王女レティシア救出作戦


「……こちらラムダ=エンシェント――――予定通り【ラピーナ城】上空に到着した。今から右眼カレイドスコープでの索敵スキャンを送る……分析は任せたよ、ノア」

《はいは~い♪ お任せください、ラムダさん! さて……戦局分析アナライズ開始……》



 ――――【享楽の都(アモーレム)】から移動すること約15時間後、没落した貴族によって棄てられ迷宮ダンジョンと化した古城【ラピーナ城】、時刻は夜明け前。頭上には明るく輝く白い月と、その脇に淡く輝く白金しろがねの月――――地平線の向こうから朝日の光が見えつつある薄明かりの空。


 この古城から逃げ延びた村娘たちによる『姫騎士レティシア救出依頼』を受けた【ベルヴェルク】は、この迷宮ダンジョンを根城にする【ケルベロス傭兵団】への襲撃を準備していた。


 右眼カレイドスコープによる古城全体の地形把握と内部にいる傭兵たちの居場所と数の把握――――そして、村娘たちの代わりに囚われたレティシア姫の発見。それが、先鋒せんぽうである俺の役目。



《先鋒とかいっちゃって~……どうせ、ラムダさん単独で傭兵団なんて瞬殺ですよ、瞬殺! 私たちの役目は、せいぜい逃げた残党を捕まえるぐらいじゃないですかね~》

「そう言うなよ、ノア。俺は上空ここから敵の心臓部に強襲を掛けて、その間にアリア達にレティシア姫の救出をしてもらわないと行けないんだからさ……!」

《まぁ、その通りですが…………っと、分析結果出ました! ラムダさんの右眼にもデータを送りますね!》



 眼下がんかそびえるは、ふるき良き建築方法で築かれた古典的な城――――小さな湖の中央に浮かぶ島に建てられた湖上の古城は、唯一存在する橋を渡らねば入ること叶わぬ天然の城塞。


 その架け橋にも見張りと思われる盗賊が松明を灯して番をしており警備は万全――――それ故に、【光の翼(ルミナス・ウィング)】による飛行能力を持つ俺の出番となるのだ。


 右眼カレイドスコープに映し出される数十にも及ぶ蒼い生体反応の光――――【ケルベロス傭兵団】の悪漢たちのものか、此処に囚われたレティシア姫や他の人質たちのものか。



《各階層に動き回る反応がちらほら……地下階層に動かない反応が等間隔とうかんかくで並んでいますね……後は、最上階に反応がたっくさん――――気を付けて下さい、ラムダさん…………その場所に()()()()()()()()もあります……!》

「…………地下の等間隔な反応は、恐らく地下牢獄に閉じ込められている人の反応だな…………レティシア姫が囚われているなら多分そこだ……!」

《了解しました。では、私たちはラムダさんが突入して騒ぎを起こし始めた後、ラピーナ城へと侵入、地下牢獄に囚われた人質の救出に向かいますね!》

「それで頼む! それじゃあ……」

《はい…………それでは、作戦名オペレーション――――『第二王女レティシア救出作戦』…………はい、どうしたんですか皆さん? えっ、ひとりだけラムダさんと話しっぱなしでズルい? えっ、ちょっと……ギャーーッ、何す――――》

「………………はぁ」



 肝心な所で切れた通信に呆れながら、俺は深く深呼吸する。空気は冷たく、夜風は身を切る――――その寒さにさらされて精神は研ぎ澄まされて、心の奥底で闘志は燃えたぎる。


 悪は嫌いだ――――人の善性を踏みにじり、護らなければならない弱き人々をしいたげる、人のごう。倒さなくてはならない、逃がす訳にも、逃げる訳にもいかない。


 故に、俺は剣を握る――――護る為、救う為、生かす為に、例え相手が如何なる強敵であったとしても、世界の創造主であったとしても。


 ラムダ=エンシェントと言う男は――――正義を成して、悪を討つ。



「最大加速――――!」



 背中に装備した【光の翼(ルミナス・ウィング)】から大量の光量子フォトンを噴出させながら、俺はさらに上空へと舞い上がり、遥か上空から一気に急降下を敢行かんこうする。


 急転直下の襲撃、いかずちが如く降り注ぐ“悪”を滅する厄災――――流星が如き光の尾となりて、俺はラピーナ城の天井を突き破り、傭兵団の心臓部へと殴り込む。



「な、何だ!? 空から急に翼の生えた人間が降って来やがった!?」

何者なにもんだ貴様!? 我が【ケルベロス傭兵団】に上空そらから奇襲をかけるたぁ、中々に肝が座ってんじゃねぇか――――ッ!? その顔…………どこかで…………?」



 謁見えっけんの間――――だだっ広い空間を取り囲む様に立ち尽くす傭兵と思われる男たち。そして、部屋の最奥、この城のかつてのあるじが座っていたであろう絢爛豪華けんらんごうか座具ざぐに腰掛けるは、灰がかった騎士甲冑に身を包んだ大男。



「聴け、【ケルベロス傭兵団】よ! 我が名はラムダ=エンシェント! 冒険者ギルドより貴様たちを討伐しに来た――――【ベルヴェルク】の冒険者である!!」

「【ベルヴェルク】……!? まさか…………『勇者事変カラミティ・トリガー』の英雄の……!?」

「エンシェント……! そうか、貴様――――アハトのジジイの子どもか!!」

「あんたは――――“灰燼剣かいじんけん”のグレイヴ=サーベラス……!!」



 “灰燼剣”【グレイヴ=サーベラス】――――かつて、王立ダモクレス騎士団に属し、十六年前に騎士団を裏切って消えたと言う騎士。


 俺の父さん、アハト=エンシェントの同士だった男。



「アインス……ツヴァイ……ゼクス……まさか、もうひとりエンシェントの子供ガキが居たとはな……!」

「答えろ――――昨日、ここを訪れたレティシアと言う名前の騎士は何処にいる!!」

「レティシア……あぁ、せっかく捕まえた村娘を全員逃した忌々しい騎士様か……! さぁ、何処に居ると思う?」



 不敵な笑みでしらを切るグレイヴ――――レティシア姫がこの場所を訪れていた事を肯定した上での発言。俺のことを甘く見ている証拠だ。なら、相応の痛い目は見てもらう。


 転送した【流星剣メテオザンバー】を両手で握りしめて、刀身を水平に向けて身体の正面に構える。これは俺の教育係だったメイド――――シータから教わった剣術。



「ほう……その独特の構え――――顔と雰囲気だけじゃ無く、剣技までシータに似ているのだな……!」

「…………いま、なんて……?」

《――――ラムダさん! 直上ちょくじょう、大型の生体反応――――来ます!!》

「――――ッ!」



 ノアの通信と共に真っ赤に染まる右眼カレイドスコープの視界――――【行動予測】による攻撃への警告アラート


 それに勘付いた俺は素早く前方へと飛び、降り注いだ攻撃をかわす。



「――――外したか! 子供ガキだと思って舐めていたな……!」

「三ツ首の番犬――――魔獣ケルベロス……!!」



 俺を強襲した相手――――三ツ首の魔犬【ケルベロス】。以前、俺が相対した魔狼ガルムを優に上回る巨躯きょく、燃え盛る魔界の首輪、獲物を喰い殺さんと唸りを上げる三ツ首、討伐推奨レベル90超えの怪物。



「なぜ、こんな最上位の魔物モンスターを従えている……? あんたら仮にも人間の傭兵だろ……!?」

「融通してもらったのさ……【快楽園メル・モル】の大物おおもの――――【死の商人】にな……!」

「――――【死の商人】……!!」

《それって……魔王アワリティアに【強制催眠装置エクスギアス】を渡したって言う……!?》



 【死の商人】――――迷宮都市【エルロル】に於ける一連の事件で暗躍していた人物。まさか、こんな所で名前が出てくるとは。



《ラムダさん! その男を生け捕りにして【死の商人】に関する情報を引き出しましょう!》

「分かっている! グレイヴ=サーベラス――――レティシアを解放してもらった上で、あんたを拘束する!!」

「…………出来るかな? やってみせろ、エンシェントの餓鬼ガキがッ!!」



 相対するは“灰燼剣”の二つ名を持つ騎士グレイヴ=サーベラス、三ツ首の魔犬ケルベロス、謁見の間を取り囲む十五人の傭兵たち――――【ケルベロス傭兵団】。


 消えた王女レティシアを巡る戦い――――開戦。

【この作品を読んでいただいた読者様へ】


ご覧いただきありがとうございます。


この話を「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、↓の☆☆☆☆☆を★★★★★にしたりブックマーク登録をして頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ