第30話:旅の始まり、地図は白紙、冒険者たちは道なき道を突き進む
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名前:オリビア=パルフェグラッセ
年齢:15 総合能力ランク:Lv.20
体力:50/50 魔力:400/400
攻撃力:100 防御力:30
筋力:10 耐久:70
知力:150 技量:110
敏捷:20 運:100
冒険者ランク:E 所属ギルド:なし
職業:【神官:Lv.3】(MP・魔力・知力に成長ボーナス)
固有スキル:【絶対聖域:Lv.3】
保有技能:【癒やしの加護:Lv.2】【浄化の光:Lv.2】【魔力急速回復:Lv.3】【高速詠唱:Lv.2】
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「ふふふ……これでわたしもギルド冒険者ですね、ラムダ様」
「別に〜、オリビアさんは付いて来なくても良かったんだけどなー」
「そういう訳にはいきませんよ、ノアさん? ラムダ様の貞操を狙う銀髪朱眼の泥棒猫さんを見張る使命がわたしにはありますので……」
「ふ〜ん、まるでラムダさんの“正妻”気取りですね。オリビア元・婚約者様ぁ?」
「むっ!」
「むむっ!」
「はいはい、喧嘩しないのふたりとも! 同じ旅の仲間なんだから仲良くしなさい!」
――――オトゥールの街を離れて数時間、俺たちは街から伸びる街道を歩いていた。
あの後、住民が居なくなったラジアータの村は廃村が決定。その為、行き場を失ったオリビアはギルドの許可証を手にして、そのまま俺たちの旅に同行する事となった。
「そう言えば……結局ラジアータ村の勇者様は現れませんでしたね、ラムダ様〜?」
「そうだな。オトゥールでのルージュの様子だと、あいつも勇者は見付けれて無さそうだったし……」
リリエット=ルージュの仕掛けた攻撃は解決したが、残る疑問が一つ――――肝心の【勇者】ミリアリア=リリーレッドが見つかっていないと言う点だ。
魔王が彼女の存在を危険視しているのなら、必ずや同じ事件が各地で巻き起こるだろう。
「そうですね。わたしもラジアータ村の事を伝えないといけませんし、まずは勇者ミリアリアさんを捜索するのは如何でしょうか、ラムダ様?」
「それが良いな。ノアもそれで良いか?」
「はいはーい、ラムダさんの決定なら私は異議なしー! まぁ、道すがら、探し物のお手伝いだけよろしくお願いしますね♡」
アーティファクトの捜索と女神アーカーシャの発見も大事だが、今は勇者を見つけ出すのが先決だろう。
「仮に勇者が冒険者になったとして……ラジアータから行きそうな場所と言えば?」
「それなら、この先のある“迷宮都市”エルロルじゃ無いでしょうか〜? あそこには大規模な『迷宮』がありますから〜」
「迷宮都市エルロル……よし、じゃあそのエルロルって街に行ってみようか?」
「さんせーい!」
行き先は決まった――――【迷宮都市エルロル】、数多くの迷宮が交錯すると言われる冒険者たちの坩堝。欲望と探究心が渦巻く深淵の孔。
まだ見ぬ冒険に心を躍らせ、まだ見ぬ世界に期待を膨らませ、まだ見ぬ明日に“希望”を抱き、俺たちは歩きだす。行方不明の勇者を追って、そして、ノアが目指す女神アーカーシャの元を目指して。
「…………」
「どうしたんだ、ノア? 俺の顔を見つめて……」
「……いいえ、なんでもありません。さっ、始めましょうラムダさん、私たちの旅を! たくさんの思い出を作って、忘れられない……素敵な旅にしましょう」
「……? あ、あぁ……そうだな、楽しい旅にしよう」
「はい……楽しい旅にしましょう……絶対に」
旅の始まり、地図は白紙、冒険者たちは道なき道を突き進む。それが長い長い旅路の第一歩だとも知らずに。
絶望と再起から俺の物語は静かに始まる。いずれ理想の騎士へと至る為に、ノアを護る騎士になる為に。その旅の結末を知るのは、穏やかな笑顔を向けるノアだけなのだろう。
これは世界から“ゴミ”のように捨てられた者たちの再起の物語。不思議な少女ノアと出逢い、俺が“ゴミ”から“騎士”へと至るまでの冒険譚である。
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第一章はここで終わり、次回からは新章『迷宮都市エルロル編』が始まります。
この物語がどんな風に皆さまの目に写っているのか興味があるので、感想など頂けたらありがたい次第です。
ここからも頑張って行きますので、変わらぬ応援よろしくお願いします。




