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第123話:団員集め③ 〜支える者たち〜


「次の方〜どうぞ〜!」

「はいはい〜! いま行きますよ〜!!」



 ――――第十一師団寄宿舎、団員集めの進捗はアンジュ、エリス、シエラ、キャレット、ラナの5名のみ。目標の30人には【ベルヴェルク】のノア達を入れてもあと17名は必要だ。


 次に現れたのはラナよりも小柄な少女……と言うよりもあれはドワーフ族か。


 三つ編みのおさげにされたオレンジ色の髪の毛、淡い碧色の瞳、左眼に掛けた片眼鏡モノクル……如何にも『技術者』ですと言わんばかりの作業着。



「はいはい、私の名前はネオン=エトセトラ。見ての通り、ドワーフ族の技師をやってまーす♪」

「エトセトラ――――ってことは、第四師団の!?」

「あ~はい、第四師団の団長、テトラ=エトセトラは私のお母さんでーす♪」

「えっ……あの方、人妻だったんですか!?」

「オリビアがめちゃくちゃビックリしてる……」



 ネオン=エトセトラ――――なんと【王の剣】のひとり、テトラ=エトセトラの娘らしい。


 そんなネオンが俺の第十一師団に何故?



「――――っと、挨拶しましたが、実は私……そちらに居るノアさんから既に内定を頂いております♪」

「ノアから……?」

「えへへ……実はネオンちゃん、私の“助手”として研究室で働いてもらう予定で……!」

「なるほど……」

「いや~、ノアさんの知識にはお母さんも太鼓判を押していまして……そんな天才美少女の助手が出来るなんて私、良い勉強の機会になると思って〜♪」

「でしょー♪ あはははははは!!」

おだてられて調子に乗っていますね……ノアさん……」



 まぁ、アーティファクトの運用ならまだしも、解析や研究なら俺の出番は無いし、ノアにも人手ぐらいいるだろう。



「因みに、ドワーフ製の武器の心得もありますので、戦闘面でもお役に立てますよ~♪」

「それは心強いな!」



 さらに自らの有能性をアピールするべくふところのショルダーバッグから色々な小道具を取り出すネオン。


 彼女が居れば細やかな技術が必要な場面も攻略出来そうだな。



「よしっ! ネオン=エトセトラ……採用! これからよろしくお願いします!」

「こちらこそよろしくお願い致します、ラムダ団長様♪」

「ところで……ネオンさんはテトラさんみたいに訛ってはいないのですね?」

「んな事ないで? けど私が訛るとオカンとキャラ被るから矯正しとるだけや!」

「はい……もう分かりましたので大丈夫ですよ……」



 〜しばらくして〜



「次の方〜」

「何ですか、その気のたるんだ返事は!?」

「はい、すみません!! 次の方、どうぞお入りください!!」

「ノアが一喝されて縮こまった……!?」



 開口一番、ノアを一喝して現れた次の志願者。


 スラリとした腕、しなやかながら力強い脚、白銀に輝くフレームの眼鏡、キリッとした鋭い目付き、長く伸びたうさ耳、サラサラとなびく銀灰色の髪、淡く輝く水色の瞳――――うさぎ系亜人種の女性。



「私の名はリヴ=ネザーランド! 以前はアモーレムの冒険者ギルドで受付嬢をしていましたが……こちらの騎士団のお給料が良いので雇ってください!!」

「正直すぎる……!」

「それと……以前、アモーレムであなた方を見掛けたのですが……余りにもだらけている……よって、私がラムダ卿の秘書官として第十一師団の運営を管理させて頂きます!!」

「オリビア〜(泣) ヤバイよ〜(泣)」

「これはリヴさんに管理してもらった方が良さそうですね♡」



 彼女の名はリヴ=ネザーランド――――元はアモーレムの冒険者ギルド支部で受付嬢をしていたらしい。会ったことはない……多分、俺たちがアモーレムの支部を訪れた際は非番だったのだろう。


 そして、街の何処かで俺たちを見た彼女は俺たちの弛んだ雰囲気に活を入れに来たらしい……眼が本気で怖い。



「あなたも弛んでいますよ、オリビア=パルフェグラッセさん? アモーレムの商店でエッチな勝負下着を買い漁っていましたね?」

「ノアさん〜(泣) ヤバいです~(泣)」

「ふたりして情けないですね~! ここは完全無欠のノアちゃんがガツンと言って――――」

「王都の裏商店で買ったエッチな小道具の使い心地は如何ですか……ノアさん?」

「ラムダさん〜(泣) ヤバいです〜(泣)」

「…………全滅した」

「情報収集は有能な秘書官の基本です! ラムダ卿、ノアさん、コレットさん、オリビアさん、勇者ミリアリア、リリエット=ルージュ、レティシア様、アウラ様、ジブリールさん――――【ベルヴェルク】に関する情報なら大体握っていますよ? ラムダ卿が最近買ったエロ本のジャンルでも言いましょうか?」

「――――採用! 採用するから許して!!」



 なんだこの人、情報収集能力が半端ない。


 まさかジブリールのことまで把握されているなんて……怖い。



「まぁ、私を雇っていただけるならこの情報収集能力を活かしてあなたのお役に立てますよ? 一応、氷属性の魔法を用いた戦闘にも通じていますので戦力的にもお得かと……!」

「それはありがたい……!」

「何でしたら……()()()気になる女性の趣味趣向でも調べてきましょうか? 好色家のラムダ卿?」

「えへ……えへへ……いや……そこまでしなくても……」

「ともかく、私が第十一師団の運営をしっかりと管理致しますので、よろしくお願いしますね?」



 敏腕秘書リヴ=ネザーランド――――採用。

 採用しないと怖い。



「リヴさん……因みに……ラムダさんが買ったエロ本のジャンルって何ですか?」

「わたしも知りたい///」

「知りたいですか? それは……NTR(寝取り)物です! 寝取る側視点です!!」

「「業が深い……///」」

「…………うぅぅ…………恥ずかしい///」



 〜しばらくして〜



「おーっほっほっほっほ! わたくしですわ、ラムダ卿!!」

「「「うわ出た!」」」

「…………失礼な! 何をお化けが出たみたいな反応をしているのですか!?」



 次にやって来た志願者は声の大きな金髪の少女――――シャルロット=エシャロット。


 享楽の都【アモーレム】で共に【死の商人】討伐とレティシア救出に尽力した伯爵令嬢。



「それで……わたくしが贈ったお屋敷は如何ですか、ラムダ卿?」

「とても居心地が良いよ……シリカもいい子だし! ありがとう、シャルロット!」

「うっふふふ! それは何より……」

「…………で、此処には何の用事で?」

「決まっていますわ! わたくし、シャルロット=エシャロットは……貴方の第十一師団に志願致します!!」

「――――なっ!?」



 そんな彼女の目的は、なんと第十一師団に志願すること。


 社交界での輝かしい活躍が見込まれている筈のシャルロットの突然の申込みに俺たちは思わず唖然としてしまう。



「シャルロットさん……あの、よく考えた方が……」

「お黙りなさい、ノアさん! これはよく考えた末の決定……お父様もしっかりと納得されていますわ……結構殴った覚えがありますが……」

「暴力娘だ……」

「それに! 実は先日、わたくしも『神授の儀』を受けて、そこで女神アーカーシャ様から【占星術師せんせいじゅつし】の職業クラスと“千里眼”に関する固有ユニークスキルを授かりましたの!」

「千里眼……!?」



 その行動の理由は『神授の儀』――――どうやら彼女も女神アーカーシャから職業クラス固有ユニークスキルを授かったらしい。


 虹色に輝くシャルロットの瞳――――千里眼、離れた位置を見通す透視の魔眼。どうやらそれを彼女は会得したらしい。



「因みに……今、ラムダ卿の家で留守番をしているアウラ様とリリエット=ルージュとジブリールなる新入りの3名が王都の有名な菓子店で買って来たケーキに舌鼓をうっていますね……」

「あいつ等ぁ……!!」


「ミリアリアさんに至ってはラムダ卿のベットに顔を埋めて……なっ……ハ、破廉恥ハレンチな事をしていますわ/// コ、コホン……それで、コレットとシリカは……こちらもメイドの待機室でこっそりとおやつを食べていますわね……」

「まぁ、無法地帯……! 特にアリアさんが!」


「ジブリールのバイザーをハッキングして裏が取れました! リリィさんとアウラちゃんとジブリールの3名、ダイニングでケーキを食べてます!」

「如何です、ラムダ卿? わたくしの“眼”……お役に立てると思いますわよ?」



 ノアの解析でシャルロットのスキルが本物である確証も得れた。


 しかし、相手は伯爵令嬢。


 できれば血生臭い戦場が舞台になる王立騎士団にはいて欲しく無いのだが。



「そして今ならなんと! わたくし直属の親衛隊20名をそのまま第十一師団の団員としてお付けいたしましょう!! いずれも名うての元冒険者……戦力としても申し分なくてよ?」

「「「よろしくお願い致します、ラムダ卿!!」」」

「に、人数のかさ増し……!?」

「うぎぎ……! さ、採用……!!」

「おーっほっほっほ!! 英断ですわ、ラムダ卿! では、このシャルロット=エシャロット……誠心誠意、第十一師団の支援に努めますのでよろしくお願い致しますわね♪」



 千里眼に有能な従者たち……断る理由が無い。


 参ったな、シャルロット……どうやらしばらく会わない内にさらに手強くなったようだ。


 さて……アンジュ、エリス、シエラ、キャレット、ラナ、ネオン、リヴ、シャルロット、と彼女の親衛隊20名。ノア達と合わせて総勢36名がこれで見繕えた。


 これなら第十一師団の発足に漕ぎ着けれそうだ。



「…………男が居ねぇ……」

「居ても不採用な荒くれ者ぐらいでしたね、ラムダ様?」

「え~っと……冒険者ギルドで集計したアンケートによると……『ラムダ=エンシェントのハーレム軍団に入るなんて正気の沙汰じゃ無い。男としての尊厳が死ぬ』『男の団長の下に付くぐらいならツヴァイ卿やトリニティ卿の所が良い』など……男性からは厳しい意見が届いております……」

「くすくす……しばらく同性のお仲間はできそうにありませんね、ラムダ様♡」

「そんなぁ……俺の男同士の熱い友情はどこ……?」

【この作品を読んでいただいた読者様へ】


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