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第113話:Next Phase


「いやー、地球連邦軍が総出でも倒しきれなかった【光の化身】を倒すなんて流石は弊機わたしのマスターです♪ うんうん、ノア様が惚れるのも納得ですね~~♪」

「ねぇ……ラムダさん……なんでこの天使、何食わぬ顔で僕たちのパーティに馴染んでいるの??」

「あぁ……うん……」



 逆光時間神殿【ヴェニ・クラス】――――時間は正午過ぎ。崩れ去った神殿を前に俺たちは旅立ちの支度を整える。



「さよならなのだ、逆光時間神殿【ヴェニ・クラス】……まだここに来て()()しか経っていないような……もっと居たような気もするけど……あたしは旅に出るのだ! だから……さようなら……」

「……と言うわけで、神殿の地下に眠る旗艦『アマテラス』に誰も近付けないように弊機わたしが地下の迷宮ダンジョンをそりゃあもう完膚無きまでにぶっ壊して来ましたので、マスターも安心ですね♪」



 崩れた神殿の瓦礫の山に一礼をして別れを告げるアウラと、神殿に石ころを親の仇のようにバンバン投げつけながら俺の周りを朱い“一つ目(モノ・アイ)”を嬉しそうにチカチカと点灯させながら行ったり来たりするジブリール――――俺たち【ベルヴェルク】の新しい加入者。


 “時紡ぎの巫女”と“機械天使ティタノマキナ”――――名をアウラ=アウリオンとジブリール。



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 名前(NAME):アウラ=アウリオン


 年齢(AGE):15 総合能力ランク:Lv.30


 体力(HP):180/180 魔力(MP):1500/1500

 攻撃力(ATK):120 防御力(DEF):30

 筋力(STR):20 耐久(VIT):15

 知力(INT):200 技量(DEX):170

 敏捷(SPD):20 (LUC):5


 冒険者ランク:なし 所属ギルド:【ベルヴェルク】

 

 職業クラス:【巫女:Lv.5】(MP・知力・技量に成長ボーナス)


 固有ユニークスキル:【時紡ぎの楔(テンプルム・テンプス):Lv.5】


 保有技能(スキル):【永久少女・(エターナル・)時間矛盾領域(タイムパラドックス):Lv.5】【妖精炉心エルフ・ハート:Lv.5】【魔導の天才:Lv.5】【智恵の賢者:Lv.5】【結界作成(時間神殿):Lv.5】【精霊の加護:Lv.5】【言語理解:Lv.5】


︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼︼



「『(LCX)』が……!」

「改めて! あたしの名前はアウラ=アウリオンなのだ! あたしに『明日』をくれた素敵なお兄ちゃんとお姉ちゃんたち……どうぞよろしくお願いするのだ!!」

「15歳……?? 解釈違いですー! エルフってもっとこう……100歳とか1000歳とかじゃないんですか!?」

「なんの偏見だよ、ノア……」

「えっ……ロリババアじゃ無いの? うち……期待外れ……」

「エルフだって生まれた時は0歳なのだ! いきなり100歳とかになっている訳じゃないのだ! こいつら無茶苦茶失礼なのだーーっ!!」



 失礼極まりない誹謗中傷を行ったノアに詰め寄って怒りを露わにするアウラ――――けれど、その表情はどこか晴やかで、その瞳はまだ見ぬ“希望”に心躍らせて。


 数千の年月を『今日』に奪われ続けたエルフの少女は『明日』への一歩を踏み出す。



「…………オープン……ステータスぅ……??」

「いや……出せないなら無理しなくていいよ、ジブリール……」

「ぐぬぬ……! 弊機わたしは数ある【機械天使ティタノマキナ】でもそこそこいい感じの性能をしているのに……なんか負けた気分!」

「誰だよ、このポンコツ天使造った奴……」

「ふんふんふ〜ん♪」

「ノア様が鼻歌を歌いながら明後日の方を向いています〜」



 そしてもうひとり、【ベルヴェルク】に加わるのは恐ろしき戦闘能力とどこか気の抜ける性格をした【機械天使ティタノマキナ】の一機。


 ノアの修理と自前の“ナノマシン”による【自動修復オート・リペア】で完全に復活したどこか憎めないポンコツ天使。



弊機わたしの名はジブリール――――古代文明の最新鋭戦闘兵器【機械天使ティタノマキナ】の一機! これより、ノア様の護衛ボディーガードとして【ベルヴェルク】に同行させていただきますね♪ よろしく〜♪」

護衛ボディーガードですか、ラムダ様……?」

「あぁ、今回みたいな俺の目を盗んでノアに危害が加えられないようにジブリールにはノア直属の護衛ごえいを依頼するのさ……!」

「その通ーり! ノア様の警護とあらば24時間365日働きます! 報酬はそれなりに頂きますね〜〜マイマスター♪」



 名をジブリール――――俺が不在の際にノアを護る護衛ごえいとして俺が雇った天使。


 親指と人差し指で『円』を作って俺に見返りをせびるジブリール…………どうやら“報酬”とは金銭の事らしい。何に使うのだろうか?



「あの、ラムダ卿……何も【機械天使ティタノマキナ】を雇わなくとも……うっぷ、わたくし心的外傷トラウマで吐き気が……」

「それはだな〜……」

「うふふ♪ マスターには契約の証として『旗艦に残されていた大量のアーティファクト』を贈呈していますので〜……レティシアさんに置かれましては〜……諦めてゲロってくださいね♡」

「おろろろろろ……」

「きゃあーーっ!? いきなり吐くななのだーーーーッ!!」

「ラムダさん……アーティファクトで買収されたな……」

「ふんふんふ〜ん♪」

「ラムダ様が鼻歌を歌いながら昨日の方向を見ているです〜」



 まぁ、【逆光時間神殿ヴェニ・クラス】での当初の目的であった『アーティファクトの確保』のジブリールのお陰で果たせた訳だし……レティシアの『天使恐怖症』の克服には付き合わないといけないな。


 ともあれ、俺の目の前で嬉しそうに小躍りするジブリールのお陰でノアが危険な目に遭う事も少なくなりそうだ。



「さて、じゃあいよいよ……グランティアーゼ王国の王都――――【シェルス・ポエナ】に向かうとするか!」

「あたしの知らない王国の、あたしの知らない王都……! わくわくするのだ、心が踊るのだーっ♪」

「ふむふむ……剣と魔法の世界の王都……弊機わたしもぜひ拝見したいですね!」

「あぁ……いよいよわたくしとラムダ卿が式を挙げてしまうのですね……///」

「ハァ!? まだそんな世迷よまごとを言っているのですか、レティシアさん? ラムダ様と“キス”もしてないサブヒロインはすっ込んでてください!」

「そーだそーだ! オリビアさん、もっとビシッと言ってやってください!」

「なっ……! よくも言いましたわねオリビア……! 良いでしょう……なら、今から力づくでラムダ卿の唇を奪うまでですわ!!」

「はぁ~……また始まった……! 御主人様ダーリンも罪な男よね〜」



 アウラとジブリールを加え9名となった【ベルヴェルク】は崩れ去った白亜の神殿に別れを告げて新たな旅路に就く。


 目指すは王都【シェルス・ポエナ】――――グランティアーゼ王国のまつりごとの中心地。権力と陰謀が渦巻く貴族たちの戦場にして、凄烈せいれつたる【王立ダモクレス騎士団】が護る堅牢の城塞都市。


 そこで俺は、幼少期より憧れていた【王の剣】たちを一目見ようと思っていた…………そう、思っていたんだ。



「おおっとっと、そこまでだよ我が弟……“アーティファクトの騎士”――――ラムダ=エンシェントよ!」

「そこで止まりなさい、ラムダ! あなた達もよ【ベルヴェルク】の勇者たち!」

「アインス兄さん、ツヴァイ姉さん!?」

「あわわわ……! 騎士たちに囲まれましたよ、ラムダさん!?」



 王都へと歩き始めた俺たちを取り囲んだのは王立騎士団の騎士たち。第二師団【竜の牙】の竜騎士たちと第一師団【聖処女】の精鋭たち。


 そして、その二つの師団を治める兄妹騎士――――アインス=エンシェントとツヴァイ=エンシェント。



「な……なんのつもりですか、アインス卿、ツヴァイ卿!? わたくしの将来の夫に対して、如何に兄弟と言えど無礼ではなくて!?」

「これは失礼、麗しきレティシア様……! しかしご容赦を――――ラムダ=エンシェント、貴殿には我々と共に王都へとご足労願おうか!」



 俺の前に立ちはだかり爽やかな笑顔を見せながら『王都へと来い』と宣言するアインス兄さん。



「ご足労もなにも僕たち今から王都に向かうんだけど……兄さん……」

「あっ〜そっか〜♪ なら大丈夫かぁ……みんなー、解散解散〜♪」

「兄様ーーーーッ!! 違うでしょーがーーッ!!」

「えー、私なにか間違っちゃいました??」

「何もかも違うでしょー!! ラムダを『王都に連れて行く』のは目的じゃないでしょ!?」

「あ~そうだったそうだった! いや~ツヴァイは頼りになるな〜♪」

「うぅ……毎度毎度……ツェーネル卿……」

「――――胃薬」

「…………ありがとう」

「今の連携スゲーのだ……!」



  おとぼけるアインス兄さん、それを激しい剣幕で諫めるツヴァイ姉さん、またもやスッと姉さんの胃薬を差し出すツェーネル――――薄々分かってはいたが、どうやらアインス兄さんは王立騎士団でもいつもの調子らしい。


 基本ボケる側の姉さんやメイドだった母さんが常時ツッコむ側に回らざるをえない相手……それがアインス兄さんだ。



「…………で、なぜ僕は王都に?」

「あぁ、そうそう……実は国王陛下からラムダ宛に親書を預かっていてね……ハイ!」

「国王陛下から……親書……? んっ……封が開いてる……??」

「中身を勝手に見てますわね……この天然騎士……」

「ふんふんふ〜ん♪」

「アインス様が鼻歌を歌いながら空の方を見ているです〜」



 そんなアインス兄さんから差し出された一枚の手紙。なんとグランティアーゼ王国の国王、レティシアの父親から他でもない『ラムダ=エンシェント』宛に送られた親書らしい。


 俺に差し出された手紙をひょいと奪い取るとレティシアは封蝋ふうろうあらためる。アインス兄さんの手で開けられた形跡こそあるものの、その刻印に刻まれた紋章は紛れもなくグランティアーゼ王家のもので相違ないとの事だ。


 国王陛下が一端いっぱしの冒険者に過ぎない俺に何のようだろうか…………王立ダモクレス騎士団へのスカウトだったら良いなぁ。



「むっ、相変わらず無駄な装飾語が多いですわね、お父様は……! かい摘んで読みますわね……『ラムダ=エンシェント殿、貴殿を王立ダモクレス騎士団に新設される第十一師団の団長、十一番目の【王の剣】に任命する。至急、王城に来られたし』……ですわね………………はっ!?」

「ヘっ……?? 王立ダモクレス騎士団の団長に……俺が……??」

「【王の剣】……グランティアーゼ王国でもっとも誉れある騎士の称号だ……!! 田舎っぺの僕でも知ってるぐらいだよ……!!」

「あ……あわわ……あぁーーーーーーッ!!?」

「ギャーーッ!! ラムダさんが泡を吹いて倒れたーーーーッ!?」

「ダ、御主人様ダーリンーーーーッ!?」



 王立ダモクレス騎士団の【王の剣】――――アインス兄さんやツヴァイ姉さん、トリニティが名を連ねるグランティアーゼ王国最高の騎士の称号。10人しか居ない国王陛下直属の精鋭中の精鋭。


 その【王の剣】に俺が?


 王立ダモクレス騎士団の下っ端騎士を飛び越えていきなりに団長に…………だめだ、正気を保てない。



「あっはっはっは! 嬉しそうでなにより!」

「違います兄様! あまりのショックに気絶しているだけです! ラムダ、しっかりして……ラムダーーッ!!」

「ようこそ我らが王立ダモクレス騎士団へ……我が弟、ラムダ=エンシェントよ! あっはっはっは!」



 こうして、ラムダ=エンシェントの“ギルドの冒険者”としての旅はいったんの終わりを迎えた。


 ここより先は新たなる冒険と戦いの舞台――――王立ダモクレス騎士団の新たなる【王の剣】としての物語が始まっていく。


 それは“暴食の魔王”グラトニス率いる魔王軍と王立ダモクレス騎士団率いるグランティアーゼ王国軍との全面戦争――――後の世に語られるその戦争の名は『アーティファクト戦争』。


 その戦乱の中で、“アーティファクトの騎士”と謳われた【ゴミ漁り(スカベンジャー)】の少年が、【王の剣】として数々の戦果を挙げ、やがて王国一の『英雄』に至るまでの物語。



 ――――第一部:ギルドの冒険者編『災いを引き起こす者(ベルヴェルク)』〜了。


 第二部:王立騎士団編『アーティファクト戦争』へと続く――――

これにて第一部『ギルドの冒険者篇』が終了しました〜\(^o^)/


次回からは全5話の日常回を挟んで、そこから第二部『王立騎士団篇』を始めていきたいと思うのでよろしくお願いします。


ここまでの感想や、気になる点や不備等あれば気軽に送ってください、よろしくお願い致します。


それでは皆さん、良いお年を〜♪

2023年も本作をよろしくお願いします。

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