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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十八章:虹を越えて、無限の彼方へ

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第1079話:VS.【暴食の魔王】ルクスリア=グラトニス“異聞”⑥/ “Dark Messiah”


「さぁ、“喰魔ベルゼブブ”よ、全てを喰らうがよい!!」



 ――――グラトニスが天高く掲げた“喰魔”ベルゼブブのてのひらに生じた黒球が形成されていく。周辺一帯の空気や魔素マナを極限まで圧縮して生み出す“超重力球”、それがグラトニスの奥義だ。

 黒球の大きさは直径十センチメートル程、グラトニスの小さな手にも十分収まる大きさだ。だが、その極小の球体の内部には大都市を一瞬で圧し潰すだけの質量が凝縮されている。



「お主をバラバラにして、その内部に保存された古代文明の情報も儂のものにしてくれるわ! この世界を変えるのは、この世界に真の平和を齎すのは……このグラトニスじゃ!!」


「もう世界は変わったんだよ、グラトニス」


「たわけが! まだ何も変わっておらん! 世界に必要なのは偉大なる指導者じゃ!! 人々を正しく導ける“王”こそが必要なのじゃ……その“王”に儂がなるのじゃ!!」



 気を抜けば俺すらも黒球に吸い込まれそうになる。そんな黒球をグラトニスは俺に向かって放とうとしていた。

 さらに自身の魔力を注いでいるのか、グラトニスの表情からは生気がどんどんとなくなってきている。体力も目減りしているのか、先ほどの“輝跡書庫レーカ・カーシャ”による情報を処理しきれずに出血も増えている。



「この一撃に……儂の全てを賭ける!!」



 自身の全てを必殺の一撃に賭ける。グラトニスはそこまで追い詰められているのだろう。つまり、この一撃を凌げれば勝敗は決する。

 だが、前回は俺が先に力尽きてしまった。今回は対抗できる武器が無い。“破邪の聖剣”シャルルマーニュはすでに失われ、“神殺しの魔剣”ラグナロクはグラトニスに取り込まれてしまった。



 ならば――――


「我が王、“星間兵装ホロスコープ”の使用許可を……」

「……許可します。決めなさい、我が騎士よ」


 ――――こちらも全てを賭ける。



 ノアは躊躇うことなく『星間兵装ホロスコープ』の使用を承認し、同時に俺は左手を天にかざして武器の生成を開始した。

 掌からは稲妻がほとばしり、その稲妻が武器の形に形成されていく。純白の稲妻で象られた一振りのつるぎ



「対脅威決戦兵装“ヘラクレス”――――起動!」

「あれはまさか……()()()の使っていた……!!」



 純白の剣を手にした瞬間、全身から稲妻が放出されて周囲に放たれた。その溢れんばかりのエネルギーの影響で空間にノイズが走る。

 純白の剣を手にした瞬間、最も動揺したのはルシファーだった。その口振りから、彼女は古代文明でこの武装を目撃したのだろう。



「ルクスリア、あの武装は危険よ……!!」

「構わぬ! もろとも踏み潰すまでじゃ!!」



 ルシファーは警告を発した。だが、すでに後には引けないグラトニスは彼女の警告を一蹴した。どのみち決着はつけねばならないのだと。

 グラトニスは極限まで圧縮した黒球を握り込んで、大きく左腕を振りかぶった。それと同時に、俺は空中にいるグラトニスに向かって跳び上がった。



「これで終いじゃ……ラムダ=エンシェントよ!」



 そして、俺が跳び上がると同時にグラトニスは黒球を俺に向かって放り投げてきた。小さな黒球は周囲の光をどんどんと吸収しながら、ゆっくりと俺に迫ってくる。

 手にした純白の剣を強く握り締めて、切っ先を迫りくる黒球に向けた。あと一秒もすれば、剣の切っ先が黒球に接触する。



「――――くっ、やっぱり重い……!!」



 剣の切っ先が黒球に触れた瞬間、全身に凄まじい圧力が加わった。直径十センチメートルの小さな黒球にも関わらず、巨大隕石を相手にしているような感覚に襲われた。

 グラトニスはくちや眼から血を流しながら、冷や汗をかきつつもにやりと笑っていた。勝つのは自分だと信じて疑っていない、それでも俺を脅威と見なしているのだろう。



 そして、グラトニスが左手をかざした瞬間――――


「全てを呑み込め――――“闇の救世主(ダーク・メシア)”!!」


 ――――黒球は爆ぜ、黒き太陽が現れた。



 小さな球体だった黒球は一気に巨大化し、直径二十メートルにも及ぶ巨大な質量攻撃と化した。内部から放たれた膨大な圧力が暴風になって吹き荒れる。

 ルシファーはその圧力に煽られて吹き飛び、ノアも近くの柱に掴まって辛うじて踏ん張っている。外部からの干渉は無い、あとは俺とグラトニスの一騎打ちだ。



「素晴らしい戦いだったわ、ラムダ=エンシェント。だけど……最後に勝つのはこの私よ! さぁ、我が威光の前に屈し、道を明けなさい! あなたのしかばねを踏み越えて……私が“救世主メシア”になるのよ!!」


「“救世主”になるのは……我が王だ!!」


「いいえ、いいえいいえ! あなた達では駄目よ! 私こそが相応しい……地獄から這い上がった私こそが、世界の痛みを知る私こそが相応しい!! 邪魔をしないで……邪魔をしないでッ!!」



 黒球は重く、俺の身体は徐々に押し返されていく。全身が悲鳴をあげている、このまま決めきれなければ俺の身体が保たないだろう。

 ふと、ノアの方に視線を向ける。彼女は暴風に耐えつつも、俺のことを一心に見つけていた。信じているのだ、今度こそ俺が勝つことを。



「そうだ、今度こそ俺は勝つんだ……絶対に!」

「これは……奴の出力が上がっている……!?」



 立ち止まる訳にはいかない。俺はノアの為に“無限螺旋迷宮”ユグドラシル・シャフトを攻略しなければならない。ならば、こんな所では倒れられない。

 死力を振り絞り、純白の剣を黒球に深く突き刺した。そして、そのまま全身のちからを振り絞って剣を振り上げた。膨大な質量が遮ろうとする、グラトニスの覚悟の重さすらも斬り裂いて。



「うぉぉーーッ! 斬り裂けェェーーーーッ!!」



 喉が張り裂けそうになる程の雄叫びをあげて、俺は純白の剣を振り上げきった。同時に、視界を覆い尽くしていた黒球に真っ白な亀裂が入った。

 その亀裂は少しずつ黒球全体に広がっていく。そして数秒後、グラトニスが放った黒球は真っ白な亀裂に覆い尽くされ、ボロボロと崩れ去るように消滅していった。



「そんな……私の奥義が……破られた……!?」

「ハァ、ハァ……今度は俺の……勝ちだ!」



 息は絶え絶えだが、黒球は粒子になって消え去った。前回の自分と引き換えの相討ちではない、完全なる圧倒を果たすことができた。

 最大奥義を防がれた事で勝敗は決した。全てを出し尽くして摩耗したグラトニスにはもう俺を止める手段は存在しない。



「こ、こんな所で私が負けるなんて……!!」



 グラトニスは慌てて“喰魔”ベルゼブブを“神殺しの魔剣”ラグナロクに換装し始めた。だが、すでに体力も魔力も枯渇したグラトニスの動きは驚くほどに遅くなっていた。



量子残光クォンタム・パルサー……!」

「ラムダ=エンシェント……あぁっ!?」



 空間転移でグラトニスの目の前に転移して、俺はグラトニスの左腕を迷うことなく斬り落とした。

 “喰魔”ベルゼブブが断末魔の悲鳴をあげて地面へと落ちていき、グラトニスは小さな悲鳴をあげた。だがそれでも、勝利を諦めないのか、グラトニスは俺を睨みつけていた。



「安心しろ……お前の痛みを俺は知っている。お前の絶望も何もかも、全部アーカーシャに叩きつけてやった。だからもう、お前ひとりで全部背負う必要はないんだ、ルクスリア……」


「…………ッ!? 何を言って……」


「アーカーシャに代わり、我が王ノア=ラストアークが“神”となった。これは我が王を世界の最果てに導く戦いだ……だから押し通らせて貰うぞ、ルクスリア」



 だけど、“異聞イフ”である彼女は知らない。この世界ではすでに女神アーカーシャが“神”の座を追われている事に。それを伝えた時、グラトニスの表情からは怒りが消えた。

 “暴食の魔王”グラトニス、女神アーカーシャが見捨てた敗者たちの亡骸から生まれ落ちた復讐者。彼女の絶望を俺は知っている、彼女の覚悟も俺は最果てへと運ぶと決めている。



 だから、俺は迷うことなく剣を突き立て――――


「これで終わりだ、ゆっくり休め……ルクスリア」


 ――――グラトニスの心臓を貫いて、決着を着けたのだった。

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