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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十八章:虹を越えて、無限の彼方へ

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第1077話:VS.【暴食の魔王】ルクスリア=グラトニス“異聞”④/ “God Eater”


「遂に手に入れたのじゃ! “神殺しの魔剣(ラグナロク)”をの!!」

「――――ッ!? 俺の“神殺しの魔剣(ラグナロク)”が……!?」



 ――――それは一瞬の出来事だった。ルシファーが俺を背後から取り押さえた瞬間、グラトニスは“喰魔”ベルゼブブの舌を素早く伸ばし宙を舞っていた“神殺しの魔剣”ラグナロクを奪取した。

 金色こんじきに輝く刀身にネッチョリとした舌がへばりつくと同時に、グラトニスは舌を巻き取って魔剣を手元に手繰り寄せた。



「この……どけ、ルシファー! ぐっ……!?」

「“重力力場グラビティ・フィールド”……ふん、大人しくしてなさい」



 奪われた魔剣を取り返そうと、俺は肘打ちを腹部に喰らわせてルシファーを無理やり突き飛ばしたが、同時にルシファーは重力力場を形成して俺の動きを封じてきた。

 さっき打たれたのとは比較にならない程の強力な重力力場が展開され、俺はその場にうずくまるように倒れてしまった。その様子をグラトニスがにやにやしながら見下していた。



「いいぞ、ルシファーよ……そのままラムダ=エンシェントを拘束せよ。クッフッフッ〜♪ 遂に手に入れたのじゃ……対アーカーシャ決戦兵装、“神殺しの魔剣”ラグナロクを!」


「くっ……その舌をすぐに離せ、グラトニス!」


「お断りじゃ、たわけめ! これはもう儂の所有物じゃ! ほうれ……“喰魔ベルゼブブ”で舐め回してマーキングしてやるのじゃ! ベ〜ロベロ♪ ベロベロ、ネチャネチャ〜♪」


「ギャーーッ!? きたねぇやめろーーッ!!」


「お主は剣技に拘らず、状況に応じて様々な武術を用いる……その臨機応変さが仇になったのう。奪わせてもろうたぞ……お主の象徴をな!!」



 グラトニスは右手で“神殺しの魔剣”ラグナロクを握ると、まるで自分の物だと主張するように“喰魔”ベルゼブブで舐め回し始めた。かなり汚らしい光景だ、普通にショックである。

 思わずカッとなってグラトニスに飛び掛かろうとしたが、同時にルシファーが重力をさらに強めて俺を地面に叩き伏せた。あまりの重力に身体が床にめり込み始めている。



「ルクスリア、この男、重力にどんどん適応していっているわ。戦利品をうっとり眺めてないで、さっさと捕食して所有権を奪いなさい」


「捕食だと……まさか!?」


「分かっておるわ、ルシファーよ。クハハハ! よぉく見ておくのじゃ、ラムダ=エンシェントよ……“喰魔ベルゼブブ”よ、ご馳走の時間じゃぞ〜!」



 俺が重力力場に適応しきる前に、グラトニスは行動を起こした。彼女は“神殺しの魔剣”ラグナロクを真上に放り投げると、左腕の“喰魔”ベルゼブブを怪物の頭部へと変形させた。

 そして、グラトニスはあろう事か降ってきた“神殺しの魔剣”ラグナロクを“喰魔”ベルゼブブでパクリと捕食してしまった。思わず目を丸くしてしまった。



「なっ……なんだと……!?」



 “喰魔”ベルゼブブは“神殺しの魔剣”ラグナロクをひと飲みにしてしまった。まるで蛇に捕食されたみたいだった。

 唖然としている俺を見て、グラトニスが得意気な表情をしている。そして、“喰魔”ベルゼブブが“神殺しの魔剣”ラグナロクを呑み込んで数秒後、その変化は起こり始めた。



「おお、感じるぞ……強い衝動を! お主の怒りが……お主の激情が!! クハハハハハハハ!! 実に……実に美味なのじゃ!! これが伝説に名高い“神殺し”の権能を持つ魔剣の味か!!」


「伝説に名高い? 何を言ってるんだ……??」


「さぁ、“喰魔ベルゼブブ”よ……神殺しの権能を取り込め。女神アーカーシャを……“機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナ”を壊す権能を我が物にせよ……オォ、オォォッ!!」



 “神殺しの魔剣”ラグナロクを取り込んだ“喰魔”ベルゼブブがボコボコと音を立てて、この世の物とは思えないような奇声をあげて変化していく。

 くちからは金色こんじきに輝く焔をよだれのように垂らし、その瞳は“神殺しの魔剣”ラグナロクの柄に嵌められた魔眼のように禍々しく輝く。そして、グラトニス自身も影響を受けてケモノのような唸り声をあげはじめた。



「“洗礼剣ヨーハナーン”よ……起きるのじゃ!!」

「これは……グラトニスの左手が……!?」



 “喰魔”ベルゼブブが剣の形状に変形していく。舌が鋭利な刃物になっていく。だが、普段は銀色に輝く筈の刀身が今回は違う変化を見せていた。

 出現したのは“神殺しの魔剣”ラグナロクと同じ、“憤怒”の焔にて形成された金色こんじきの刀身だった。そう、グラトニスは“喰魔”ベルゼブブに“神殺しの魔剣”ラグナロクを取り込んでいた。



「どうじゃ、ラムダ=エンシェントよ……お主の魔剣、喰らわせてもろうたぞ!! クハハハ……クハハハハハハハッ!! 遂に儂は手に入れたのじゃ! 女神アーカーシャを解体する権能を!!」


「やった……これでルクスリアは完全体になったわ!」


「礼を言うぞ……お主が儂らを“無限螺旋迷宮ユグドラシル・シャフト”に呼び寄せたおかげで、儂の世界ではついぞ手に入らんかった“神殺しの魔剣(ラグナロク)”を手にできたのじゃ!! クハハハハハハハッ!!」



 “喰魔”ベルゼブブを“神殺しの魔剣”ラグナロクに同化させ、グラトニスは高笑いをしている。その口振りからして、隙あらば“神殺しの魔剣”ラグナロクを奪う算段は立てていたのだろう。

 何か()()()()()()()()()()()()()()()()()気がするが、最も愛用する武器をまんまと奪われた事に動揺してそれどころではなかった。



「では……もうお主は用済みじゃ。死ぬが善い」



 そして、“神殺しの魔剣”ラグナロクを奪取した事で俺を生かす意味が無くなったのか、グラトニスは急に冷めた態度になって、凍てつくような視線で俺に殺気を向けてきた。

 グラトニスの瞳が金色こんじきに輝いた瞬間、強烈な殺意と威圧感を感じて全身に悪寒が走った。彼女の視線には、俺に対する“興味”が完全に失せていた。



「こうじゃったか……“天獄てんごく”!!」



 グラトニスが“喰魔”ベルゼブブで軽く目の前のくうを薙ぐ。その瞬間、金色こんじきの刀身から不可視の斬撃が放たれた。

 ルシファーはその場で大きく浮上して、俺は咄嗟に重力に身を委ねて床に伏せて回避行動を取った。次の瞬間、俺の頭上を不可視の斬撃が走り抜け、遥か後方の壁面に巨大な亀裂が走った。



「“神殺しの魔剣(ラグナロク)”の剣技を完璧に操って……!」


「ふむ……まだ完全に儂の身体に馴染んでないのう。どれ……ラムダ=エンシェントを痛めつけながら、もちっと調整するかの? ルシファーよ、試運転に付き合うのじゃ」


「はいはい……仰せのままに」


「重力力場を解除せよ……どうやらラムダ=エンシェントはそなたの“重力力場グラビティ・フィールド”に適応しきったようじゃ。これ以上フィールドを展開しても、其奴に意表を突かれるだけじゃ……」


「重力への適応に勘付いいるのか……くそ!」



 放たれた斬撃に威力を観察しつつも、グラトニスはルシファーに重力力場の解除を命じた。俺が重力に身体を適応させて克服していたのを看破していた。

 命令を受けたルシファーが重力力場を解除して、俺の身体は自由を得た。それと同時に、グラトニスが俺の視界から忽然と姿を消した。視界が揺らいだ一瞬の隙を突いて転移をしたのだろう。



 その数秒後――――


「我が騎士、後ろです!!」

「――ッ! うっ……!?」


 ――――ノアの声が響いた。



 それと同時に、“喰魔”ベルゼブブの金色こんじきの刃が、起き上がったばかりの俺の胸元から飛び出した。

 いつの間にかグラトニスが俺の背後に立っていて、背後から俺を突き刺していたのだった。全身に激痛が走る、金色こんじきの刀身を形成する“憤怒”の焔が身体を内側から灼いていく。



「言うたじゃろう……お主はもう用済みじゃ。そのままくたばるが善い……お主が目指す“神殺し”は儂が引き継いでやろう」


「グラトニス……お前……!!」


「ついでに……お主があるじと仰ぐノア=ラストアークも儂が頂戴してやるのじゃ。女神アーカーシャを倒した後、儂好みに調整したあの女を代わりの“神”に添えてやるのじゃ……クハハハ!!」



 “神殺しの魔剣”ラグナロクを奪うだけでは飽き足らず、我が王であるノアまでも奪うと宣言しつつ、グラトニスは俺の身体から“喰魔”ベルゼブブを引き抜いた。

 そして、そのまま背中を乱暴に蹴飛ばして、俺を地面に叩きつけたのだった。倒れた俺を冷たい視線で見下しながら。

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