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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十八章:虹を越えて、無限の彼方へ

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第1070話:VS.【憤怒の魔王】イラ“異聞”④ / “THE WRATH”


「さぁ、仕上げじゃ……終末の獣を越えてみせよ」



 ――――イラが魔法陣を使って召喚したのは獣のアーティファクト【黙示録の獣(マスターテリオン)】。全高一〇〇メートル、全長二五〇メートルの巨大兵器。

 九本の尻尾型大砲をゆらゆらと揺らしながら、巨大な獣が眼を光らせて俺たちを凝縮している。その頭部ではイラが俺を見下ろしている。



「これなるは妾の“憤怒”の象徴……ことごとくを喰らう暴威の化身である! さぁ、妾を殺し、この黙示録の獣を止めんと其方のあるじは守れんぞ?」


「…………っ!!」


「この巨躯、そこから放たれる過剰までの火力……いかに其方のあるじに自衛手段があるとて、耐えきれるものではあるまい?」


「はい、無理です!」


「そんなに元気よく返事をせんでよい、空気を読め貴様! ともかく……大事なあるじを護りたくば、この“黙示録の獣(マスターテリオン)”の心臓たる妾を討たねばならんぞ……どうする?」



 アーティファクト【黙示録の獣(マスターテリオン)】は“憤怒の魔王”イラを炉心とし、彼女から供給される膨大な魔力を燃料に動く弩級兵器だ。その火力は古代文明の“禁忌”の兵器にも比類する。

 流石にノアも“黙示録の獣(マスターテリオン)”の火力を確実に防ぐ自衛手段が無いのか、大人しく……あわあわと慌てふためきながら一目散に走って避難し始めていた。



「“黙示録の獣(マスターテリオン)”……融合開始」



 イラは“黙示録の獣(マスターテリオン)”に取り込まれるようにして搭乗していった。そのまま心臓部に炉心ドライヴとして自らを組み込んだのだろう。

 “黙示録の獣(マスターテリオン)”を破壊するのは、炉心となったイラを引き剥がすしかない。それはつまり、俺自身も“黙示録の獣(マスターテリオン)”の内部に飛び込む必要があると言う事だ。



「そこで待ってろ……すぐに迎えに行く!」

「迎えに? 殺しに行くの間違いであろう!!」



 イラが操る“黙示録の獣(マスターテリオン)”が右前脚を大きく振り上げる。そのまま俺を踏み潰そうとしているのだろう。

 右手に握った可変銃を最大火力を出せる“対艦砲撃形態”へと移行させる。ロングバレルが上下に分裂してスライドし、上下バレルが撃ち出した砲撃を加速させる機構へと変化する。



「圧し潰してくれるわ――――“大地断裂アース・ブレイカー”!!」

「撃ち抜け――――“レイ・バスター”!!」



 “黙示録の獣(マスターテリオン)”が右前脚を振り下ろすと同時に、可変銃の引き金を引いて真っ白に輝く砲撃を撃ち出した。

 “黙示録の獣(マスターテリオン)”の脚と砲撃が激突し、凄まじい衝撃波が発生する。その余波に巻き込まれたノアがアホみたいな悲鳴をあげて吹っ飛んでいく。



「ぐぅぅ……人間のくせに小癪な!」

「くっ、くぅぅ……圧し潰される……!」



 可変銃からの砲撃の威力で、“黙示録の獣(マスターテリオン)”の脚は途中で静止していた。ギリギリこちらの出力が勝っている。

 しかし、長くは保たない。砲撃に凄まじい量の魔力を消費しているのと、衝撃に耐え切れずに地面が崩壊を始めているからだ。



(我が王は……よしっ、さっきの衝撃でぶっ飛んで、かなり遠くの方で壁にぶつかってお馴染み潰れたカエルになっているな。距離が離れているから、目一杯暴れても大丈夫だろう)



 ノアは即座に避難を開始し、攻撃の衝撃に(たぶん不本意で)巻き込まれて飛ばされた。おかげでかなり離れた位置まで短時間で移動してくれた……また壁にぶつかってダメージを負ったのか、ピクピクと痙攣して動かないが。

 これで俺と“黙示録の獣(マスターテリオン)”の戦いに巻き込んで不用意に怪我をさせる必要はなくなった。壁に激突して怪我をしている気もするが……その心配よりも“黙示録の獣(マスターテリオン)”を倒す方が先決だ。



「魔剣駆動、斬り裂け――――“断空だんくう”!!」



 魔剣を全力で振り上げて、天を切り裂く斬撃を放つ。俺を踏み潰そうとしていた“黙示録の獣(マスターテリオン)”の前脚は真っ二つに切り裂かれ、そのまま斬撃は遥か頭上にある階層の天井に命中して爆発を引き起こした。



「その小柄な肉体で“黙示録の獣(マスターテリオン)”に張り合うか……其方の方がよほど化け物のようだな? 過剰なパワーを身体に収めるのはさぞ苦しかろう?」


「よく吠えるな……」


「弱い犬ほどよく吠えると言うか? ふふっ、否……これは王者の咆哮である! 妾の咆哮は弱い犬を威圧させ、戦わずとも勝敗を決する威厳である! 妾の咆哮に耐えれる其方の強靭さを誇るがよい」



 脚を斬ったと同時に素早く跳躍して“黙示録の獣(マスターテリオン)”に飛び掛った。それに対して“黙示録の獣(マスターテリオン)”は巨大な口部こうぶを開いて、咆哮の準備を整える。



「咆哮よ、大地を砕け――――“王牙咆哮グランド・ロア”!!」

「これは……くっ!? 吹き飛ばされ……うおっ!?」



 あと少しという所で“黙示録の獣(マスターテリオン)”は大気を震わせる程の咆哮を放ち、その衝撃波で俺は勢いよく吹き飛ばされてしまった。

 気が付けばあっという間に百メートルほど飛ばされていた。着地と同時に魔剣を突き立てて勢いを殺し、そのまま遠くの“黙示録の獣(マスターテリオン)”に視線を向ける。



「王冠よ、獣の生誕を讃えよ……」

「これは……最大出力の……!」



 “黙示録の獣(マスターテリオン)”は俺に狙いを定め、口部に“王冠”を模した魔法陣を展開しつつ魔力を集束させている。同時に高く突き立てた九本の尻尾の先端にも魔力を集束させている。


 最大出力砲“十の王冠(コロナ・ベスティア)”の予備動作だ。


 “黙示録の獣(マスターテリオン)”の周辺に転がる瓦礫が巻き上がっていき、稲妻を帯びていく。大気は震え、大地は激しく振動する。放たれれば、核兵器にも匹敵する熱量の魔砲が撃ち出されようとしていた。



「妾はこの世界を許さぬ……理不尽を押し付ける世界を、不条理をみて見ぬふりする人間共を、ただ何もできぬ愚かな自分コレットに! 妾の“憤怒”にて……それを思い出させてやろう!」


「――――ッ!!」


「それを止めるには……妾の“憤怒”を超える怒りを示すしかないぞ、ラムダ=エンシェントよ! やれるものならやってみせよ……自分自身を呪うほどの“憤怒”で、妾を越えてみせよ!!」



 これはイラからの挑戦だった。彼女が自身の持つ燃え盛るような“憤怒”を込めて放つ一撃を、それ以上の“憤怒”で乗り越えねば先は無いだろう。

 俺は魔剣と可変銃を融合させ、大口径の砲身を兼ね備えた大剣を両手で握りしめてイラの“憤怒”を受け止める覚悟を決めた。



(これを超えねば……俺ならできる筈だろ!)



 空間そのものが大地震のように揺れる中で、俺は魔剣の柄を両手で強く握りしめながら怒った。自分の中に渦巻く恐怖に、迫りくる暴力に、戦うことでしか希望を掴めない世界に。



 そして、俺の中の“憤怒”が滾り切った瞬間――――


「受けよ、我が憤怒――――“十の王冠(コロナ・ベスティア)”!!」


 ――――黙示録の獣より、終末の一撃が放たれたのだった。

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