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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十八章:虹を越えて、無限の彼方へ

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第1061話:VS.【嫉妬の魔王】オリビア=パルフェグラッセ“異聞”③ / “The Gears of Destiny”


「おれ、俺の剣技と同じ……嘘だろ……!?」

「ふぅ……その反応だと、再現成功のようですね」



 ――――光刃を振り抜いてアスハは禍々しく燃える焔を斬り裂いた。俺の持つ魔剣、その剣技を再現した技。しかもその威力は俺が放つものよりも強力になっていた。



「わたしの焔をいとも容易く……」

「おや、防御だけはしっかりしていますね」



 オリビアは結界魔法を発動して斬撃を防いでいた。しかし、自身の焔を斬られた事で、アスハに対して強烈な敵意を剥き出しにしていた。

 杖を元の状態に戻したアスハはオリビアをまじまじと観察している。そして、何かを感じ取ったのか、静かに言葉を紡ぎ始めた。



「先ほどの私の攻撃の際、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、Ms.オリビア。つまり、ご自身の攻撃が破られる事、斬撃が自分に届く事が事前に分かっていた……そう推測してもよろしいでしょうか?」


「…………」


「未来予知の類ですが……私の記憶が確かなら、Ms.オリビアはそのような術技スキルは修得していない筈です。つまり、外的な要因であなたは予知……未来を観測していた」



 アスハ曰く、オリビアは斬撃が放たれる瞬間には結界を張っていた。それは自分の放った焔が破られる事、斬撃が自分に届く事を事前に予期していたからだと彼女は推測した。

 指摘通り、オリビアに予知の術技スキルなんて無い。そして、その芸当を可能にするアーティファクトを俺もアスハも知っている。



「アーティファクト【時の歯車“来”(クロノギア・カミング)】……未来を観測する遺物。それをお持ちですね、Ms.オリビア? 私が過去に干渉できたのも……呼ばれたのもそれが原因でしょう」


「クロノギア……! だけどアレは保管して……」


「いいえ、我が騎士……その推測は外れです。おそらくは“無限螺旋迷宮ユグドラシル・シャフト”のシステムが“時の歯車(クロノギア)”も再現してしまったのでしょう。一から開発するのは私にしか出来ませんが……性能ごと複製コピーなら可能な筈です」


「いつの間に起きたんだ? いや、それよりも……」


「アーティファクト【時の歯車“来”(クロノギア・カミング)】を所有していたのは“嫉妬の魔王”ディアナ=インヴィーズの筈です。それを“異聞イフ”のオリビアさんが持っているという事は……」



 アーティファクト【時の歯車“来”(クロノギア・カミング)】――――ノアが開発した“時間”を操る“禁忌級遺物カラミティ・アーティファクト”の一つだ。本来の“嫉妬の魔王”であるディアナ=インヴィーズはそれを悪用し、千年後の未来から“幻影未来都市”カル・テンポリスを召喚した。

 そのアーティファクトを“異聞イフ”オリビアが所持しているのだとアスハは指摘していた。そして、その【時の歯車“来”(クロノギア・カミング)】の影響で自分は再び召喚されたのだと。



「ええ、その通り……アーティファクト【時の歯車“来”(クロノギア・カミング)】、確かにわたしが所持しています。そして……」



 アスハに指摘されたオリビアは不敵に嗤うと、自身の背後に“歯車”の形状をした巨大な魔法陣を出現させた。間違いなく、アーティファクト【時の歯車“来”(クロノギア・カミング)】だ。

 そして、同時にオリビアの全身からオーラのように紫色の焔が放出され、それらが一箇所に集まって人型の何かへと姿を変えた。魔女のようなシルエットをした邪悪な存在。



「……先代の“嫉妬の魔王”であるディアナ=インヴィーズの魂はわたしと共に……! 彼女の魂と結合する事で、わたしは死の淵から蘇り、“嫉妬の魔王”として完成したのです」


「ハーフエルフ……アウリオンの子が……!!」


「なるほど……Ms.インヴィーズ、あなたもご顕在でしたか。どおりで私が召喚された訳ですね……“時紡ぎの巫女”が絡む案件となれば、私が召喚されるのも道理」



 その名はディアナ=インヴィーズ――――トトリ=トリニティとエイダ=ストルマリアの義妹であり、ルチア=ヘキサグラムの祖母にあたる人物。“嫉妬の魔王”としてかつて俺たちと戦ったエルフ族の魔女だ。

 焔の霊体と化したディアナ=インヴィーズは殺気を放ちながら、オリビアの周囲を囲むように浮遊している。どうやら“異聞イフ”オリビアは彼女に取り入られてしまったのだろう。



「Ms.インヴィーズの邪心がMs.オリビアの精神を歪め、内に潜んでいた嫉妬心を増幅させたようですね。まったく……“幻影未来都市カル・テンポリス”を未来から複製したり、やりたい放題やってくれますね」


「オリビアから離れろ、インヴィーズ……!!」


「そう言う訳にもいかない……娘のティオへの憑依も、孫のルチアへの憑依も阻まれたのよ。この娘の身体だけは有効に使わせて貰うわ……!」


「オリビアさん、目を覚ましてください!」


「なら……あなたが永遠に眠ってください、ノアさん。わたし、今すごく気分が良いのです……ラムダ様を奪ったあなたを排除するちからがあるのですから!」



 ディアナ=インヴィーズに取り憑かれたオリビアはそれを良しとほくそ笑んでいる。この階層を攻略するには、オリビアもディアナ=インヴィーズも倒さないとならないだろう。



「このままあの二人を一緒にするのは危険です。私が霊体のMs.インヴィーズに対処しますので、お父さんはMs.オリビアに対処を。もう身体の傷は癒えているでしょう?」


「ああ、お陰様で! ありがとう、アスハ!」


「我が騎士、そしてアスハさん……あの二人は“魂”を契約で共有リンクしている可能性があります。同時に撃破しなければ完全に倒し切ることは不可能でしょう。私も今回はサポートします!」



 オリビアとディアナ=インヴィーズは“魂”を共有している。俺とグラトニス、ウィルとキルマリアのような関係で、どうやら同時に撃破する必要があるらしい。

 アスハはディアナ=インヴィーズに対処してくれる。俺はノアと協力してオリビアを倒せねばならない。時間魔法で癒えた身体を叩き起こして、魔剣を握って俺はアスハの隣に立った。



「こういうのはなんですが……若い頃のお父さんと共闘するというのはワクワクしますね。偶然が生んだ奇跡の邂逅……目一杯堪能させて貰います」


「なら……格好悪い所は見せられないな……!」


「誰も彼もが……わたしのラムダ様にイチャイチャと! 許しません、ひとり残らず消し炭にしてあげます! ディアナさん、もっと嫉妬を……全てを灰にする“愛”の焔をわたしに!!」



 ディアナ=インヴィーズが再度オリビアに憑依した瞬間、オリビアから大気が震える程の魔力が放出され始めた。

 二人分の魔力が過度な出力を生んでいるのだろう。オリビアの背後に浮かぶ“歯車”が時計回りにぐるぐると回る。アーティファクト【時の歯車“来”(クロノギア・カミング)】も最大限に使うつもりなのだろう。



「私のお父さんは死なせません……絶対に!」



 アスハ=アウリオンという来訪者を加え、“異聞イフ”オリビアとの戦いはヒートアップしていく。

 それはラムダ=エンシェントが如何なる運命を“選択”するかを、アスハという未来からきた我が娘が見定める為に。



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