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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十八章:虹を越えて、無限の彼方へ

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第1054話:VS.【黄金卿】ゴルディオ=オクタビアス“異聞”① / 〜Golden Pride〜


固有ユニークスキル【終わりなき黄金郷イデアリス・アウレアテラ】―――発動!!」

「いきなりか……!」



 ――――騎士の矜持を賭けた決闘が始まると同時に、オクタビアス卿は固有術式ユニーク・スキルを発動してきた。オクタビアス卿の周囲に黄金の魔法陣が出現し、そこから金塊が現れてくる。

 ゴルディオ=オクタビアスの固有術式ユニーク・スキル終わりなき黄金郷イデアリス・アウレアテラ】――――自身の魔力を質量ある“黄金”へと変換する術式。自身の装備品の精錬は勿論、オクタビアス卿はこの術式を用いた“駒”の精錬による物量攻撃を好む。



「出でよ、黄金の兵……“黄金歩兵ゴルディオン・ポーン”!!」



 オクタビアス卿が召喚する“駒”はそれぞれチェスに関する役割ロールが設定されている。今しがた召喚されたのは簡素な剣を持つ歩兵ポーンだ。

 その数は八騎、オクタビアス卿を守るように布陣した歩兵ポーンたちはジリジリと俺へと詰め寄り始めていた。



「入団試験の時は由緒ある聖剣を使っていましたが……今回、俺が振るうのは“神殺しの魔剣(ラグナロク)”! 前回とは戦い方が違う!」


「その独特の出鱈目な構え……カミング卿の!」


「魔剣駆動……刀身発熱!! オクタビアス卿、あなたの精錬する黄金はどれも“純金”に準拠する。それはつまり……熱に弱いという事だ!!」



 迫りくる歩兵ポーンに向けて俺は魔剣の切っ先を向ける。柄を両手でしっかりと握り、魔剣を水平にして構える。オクタビアス卿の言うとおり、亡き母のしていた独自の馬鹿みたいな構え方だ。

 その状態で魔剣の切っ先を発熱させていく。金色こんじきの刀身が炎熱を帯びて赤熱化し、熱気が刀身から溢れ出していく。そして、魔剣に集束した熱は“炎”になって刀身から噴き出し始めた。



「燃え尽きろ――――“竜の息吹(ドラゴン・ブレス)”!!」

「これは……火炎放射か! くっ……!?」



 次の瞬間、魔剣の刀身からは火炎放射が発射され、迫りくる歩兵ポーンたちを一気に呑み込んだ。

 背後にいたオクタビアス卿は盾を構えて炎を防いでいたが、盾を持たない歩兵ポーンたちは炎に熱せられて赤熱化していた。



「純金は熱せられてると強度が……」

「そう言う事だ……行くぞォォ!!」



 熱せられた歩兵ポーンたちはまだ原型を保ち俺の方へと向かってきている。しかし、純金ゆえに熱せられて強度が大きく低下していた。

 歩兵ポーンたちの動きも鈍った事を確認すると、俺は大きく跳躍して歩兵ポーンたちに向かって飛び込んだ。



「ハァァ!!」



 歩兵ポーンたちの目の前に着地すると同時に魔剣を真横に向けて振り抜いた。同時に赤熱化して脆くなっていた歩兵ポーンたちは一気に砕けていった。



「――――ッ!!」

「動きが鈍いぜ……っラァッ!!」



 左右に残った二騎の歩兵ポーンが俺に向かって剣を振り下ろしてきたが、その内の片方に飛び蹴りを喰らわせて砕いた。

 そして、もう片方の歩兵ポーンに向かって魔剣を投擲、串刺しにして粉砕した。そのまま高速でダッシュして魔剣を回収し、俺はオクタビアス卿の次の攻撃に備える。



「随分と荒々しい戦い方だな、ラムダ卿……アハト卿とは大違いだ。どちらかと言えば……シータ=カミング卿と似ているな」


「……そりゃ親子ですからね」


「あのイノシシ女も猪突猛進な戦い方だった……まったく手を焼かされたよ、私もアハト卿も。だが、そう言う戦い方ならば私にもやり方があるぞ!」



 またたく間に歩兵ポーンをなぎ倒した俺を見てオクタビアス卿は何かを思い出したように笑みを浮かべた。

 同時に指をすり合わせて“パチン”と鳴らし合図を送った。その瞬間、俺の立っている場所に大きな影が出現した。



「踏み潰せ――――“黄金騎士ゴルディオン・ナイト”!!」

「上からか……うおっ!?」



 頭上からの攻撃だ。俺が急いで後方に飛び退いた瞬間、真上から黄金の馬に乗った黄金の騎士の“駒”が襲い掛かってきた。

 騎士ナイトが着地すると同時に武舞台の床が砕けた。相当の重量をしているのだろう。俺は即座に体勢を立て直し、魔剣に熱を集束し始めた。



「さらに“黄金歩兵ゴルディオン・ポーン”再召喚!」

「チェスのルールには駒の補充は……」


「馬鹿か……これはチェスではなく騎士の決闘だ! 私の“駒”はチェスをモチーフにしているだけで、チェスのルールに準拠した制約を課している訳ではないぞ……そんなことしたら使いづらいからな」


「それは確かに……」

「そう言う訳で我が術式にルールは無用だ」



 俺が反撃を構えた時、すでに騎士ナイトの周囲には新たな歩兵ポーンが再配置されていた。オクタビアス卿の魔力が尽きぬ限り、“駒”は何度でも召喚が可能だ。



「さらに追加で……“黄金騎士ゴルディオン・ナイト”!!」

「――――ッ! 今度は背後に……!」



 そして、オクタビアス卿はさらに騎士ナイトの“駒”を召喚し俺の背後に配置した。

 オクタビアス卿の方向には一騎の“騎士ナイト”と八騎の“歩兵ポーン”が、俺の背後には一騎の“騎士ナイト”が佇んでいる。



「黄金を熱して脆くするという発想は感心するが……そんな弱点は私も承知している。だから、逐次“駒”を追加して波状攻撃をさせて貰おうじゃないか」


「…………ッ!」


「召喚される“駒”を逐一熱していくか……フッ、随分と手間な事だな。と言うわけだ……私とて十数年、ダモクレス騎士団で活動して積み重ねがあるのだよ! 簡単に遅れは取るとは思うなよ、ラムダ卿!」



 そう、オクタビアス卿の魔力が続く限り、新品同然の“駒”が随時再配置される。それを逐一熱していてはキリがないだろう。

 オクタビアス卿も自身の術式の弱点は熟知していて、その対策はバッチリしている。それが(チェスのルールを無視した)“駒”の使役なのだろう。



「私はアハト卿に後継者として団長に任じられた……無様は晒せん! グランティアーゼ王国を守護する“王の剣”としての矜持、いま一度貴殿に見せてやろう!」


「なら……その矜持、堂々と撃ち破ります!」


「そうだ、その意気だ、ラムダ卿! 思い出せ、王立騎士として戦った日々を、その時貴殿が抱いた感情を! 克服せよ、貴殿の内に眠る“王の剣”としての矜持は決して敵ではない!」



 オクタビアス卿は叫ぶ、王立騎士としての矜持を見せると。そして、その矜持を超えると俺が声を上げた瞬間、オクタビアス卿は笑みを浮かべていた。

 自分の中で眠っていた感情が蘇っていくような気がする。そんなはやる気持ちを感じながら、俺は魔剣を握り“駒”の攻撃に備えるのだった。

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