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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十八章:虹を越えて、無限の彼方へ

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第1050話:VS.【預言天使】ジブリール“異聞”④ / 刹那の死闘


機械天使ティタノマキナは近接戦闘に於いても最強です」

「なら証明しな……この俺に勝ってな」



 ――――近接戦闘形態『カブリエル』にモード・チェンジしたジブリールは杖を構え、俺が仕掛けてくるのを待っている。

 ジブリールが持つ杖“天使祝詞アヴェ・マリア”は砲撃機構と斬撃刃が装備された遠近両用の武器だ。杖の上部には赤い宝石のような砲撃機構を、杖の下部に刃渡り五十センチメートル程の両刃の剣が装備されている。



機械天使ティタノマキナには“殺気”が無い……動きは読めない)



 魔剣と可変銃を握ったまま俺は構えを継続する。攻め込むタイミングを見計らっているからだ。ジブリールたち機械天使ティタノマキナたちには“感情”が無く、動きが読めないからだ。

 俺が仕掛けるのは俺とジブリール以外の要因で戦場に僅かな空気の転調があった時だ。ジブリールが微かにでも反応を示した瞬間、俺は攻め込む。



「う、うぐぐ……我が騎士よ、私が壁にめり込んでいるのに助けないとはどういう了見ですか! 頑張って王様っぽく振る舞おうって思っているのに、潰れたカエルみたいなポーズをしていたら台無しじゃないですか!」


「「…………」」


「見てください、私の頭を……たんこぶができてるじゃないですか! まったく、次の戦闘からは常にバリアを張って壁際に引きこもっておくべきですかね……ブツブツ」



 睨み合いが続いているその時だった、端っこの方で壁にめり込んでいたノアがクソデカい独り言で愚痴り始めた。さっきまで情けない姿を晒していた事を不満に思っているらしい。


 俺もジブリールも当然だがノアを無視した。


 しかし、ジブリールの視線が僅かにノアの方に向いた。優れたAIで動く彼女にとって、ノアが見せた非常にくだらない動きも情報処理の対象になってしまうのだろう。



「“量子転移クォンタム・パルサー”……!!」

「…………ラムダ=エンシェント、接近」



 そして、ジブリールがノアに気を取られた一瞬の隙を突いて、俺は彼女の目の前に転移して攻勢に転じた。

 左腕を右肩まで回して魔剣を振り抜く体勢を構え、ジブリールの視線が俺の方に向いた瞬間に魔剣を彼女の首に目掛けて一気に振り抜いた。



「攻撃確認、防御行動を実行」



 ほんの刹那、ジブリールは反応に遅れた。それでも彼女は右手に握った杖を振り、シャフト部分で魔剣を受け止めて防御してみせていた。

 杖は思った以上に頑丈だ。魔剣の刃を受け止めてもヒビ一つ入っていなかった。



「――――ッ!!」

「反撃を開始します」



 俺とジブリールは魔剣と杖にちからを込めて、お互いを弾き飛ばした。ほんの一メートル、俺とジブリールに間合いが生まれる。

 魔剣を弾かれて仰け反ると同時に、俺は右手に握る可変銃をジブリールの頭部に素早く向けた。対するジブリールは杖を振り回して反撃に備えようとしていた。



「この……ッ!!」



 先に仕掛けたのは俺の方だ。引き金を引いて魔弾をジブリールの顔に向けて発射した。間合い一メートルでの射撃、着弾までコンマ数秒も掛からない。



「無駄」



 しかし、人間の脳を遥かに上回る極めて優秀な演算装置で目の前で起きた状況を処理したジブリールは杖を素早く動かし、俺が撃った弾丸を淡々と弾き飛ばしていた。



「スラスター、噴射」



 弾丸を弾いたジブリールは脚部装甲に備えた推進器スラスターを噴射して勢いよく右脚を振り抜き、俺に向かって回し蹴りを放ってきた。

 脚部装甲の先端からはエネルギー状の光刃が展開している。防御しなければ斬られてしまうだろう。



「――――ふんッ!」



 咄嗟に魔剣を逆手持ちにして構え、ジブリールの蹴りを防御した。一瞬ジブリールの右脚と魔剣との間に閃光が散る。



「砲撃用意……散弾、発射」

「――――ッ!?」



 蹴りを防いだ直後、ジブリールは杖の先端を俺に向けて、持ち手部分に備え付けられたトリガーを強く押し込んだ。

 次の瞬間、杖の先端に装備された赤い宝石から無数の光弾が散弾のように拡散して放たれた。



「シールド展開……くっ!?」



 咄嗟に右手の手甲ガントレットからエネルギー・シールドを展開して、ジブリールの至近距離射撃を防御した。ダメージこそ受けていない。だが、この防御は俺が晒した隙になってしまう。



「斬撃構え」



 俺が射撃を防いだのを確認し、ジブリールは杖の下部に装備された斬撃刃を俺に向けて振り抜こうとしている。

 おそらく、杖に装備された刃には()()()()()()()()()()()()()鉱石『星屑の因子(プラネタリウム)』が用いられている。俺が展開しているシールドごと切り裂くつもりなのだろう。



「光の切断」

「――――ッ!」



 一歩大きく踏み込んだジブリールが杖を振り抜き斬撃を放つ。同時に俺はシールドを解除し、右手の可変銃から魔弾を放ってジブリールの杖を撃った。

 刃に直撃した魔弾は真っ二つになって砕けた。だが、直弾の衝撃でジブリールの腕は止まり、杖による斬撃は俺には届かなかった。



「これは……!」

「これで……!!」



 ジブリールの動きが止まった一瞬を突いて、俺は魔剣をジブリールの胸元に突き立てようと構えた。

 ジブリールは大きく踏み込んだ体勢になっている、容易には躱せない。そう判断して、俺は魔剣を勢いよく突き出した。



「光翼展開……飛翔」

「なっ……翔んだ!?」



 しかし、ジブリールは咄嗟に翼にエネルギーを集束、踏みきり動作も無く空中に飛翔した。高度にして僅か二メートル程、だが刺突を躱すのには十分だ。



「“光の羽根(ルミナス・フェザー)”――――発射」



 空中に舞い上がったジブリールはそのまま真下に居る俺に向かって、展開した翼から無数の光弾を撃ち出してきた。

 視界が一瞬白く染まり、僅か二メートルの距離から光の雨が振り注ぐ。



「スラスター噴射! このォォ!!」



 光弾が直撃する刹那、俺は踏み込んでいた左脚の踵から量子を噴射して加速、ジブリールの放つ光弾の攻撃範囲から咄嗟に逃れた。

 そのまま前転しつつ起き上がって体勢を立て直しつつ振り返り、頭上のジブリールに向かって可変銃による射撃を繰り出した。



「その攻撃は当たらない」



 だが、ジブリールも俺が回避と同時に反撃に出ると理解していたのか、空中で前転しつつ杖を振り抜いて俺が撃った弾丸を弾いていた。

 そして、ジブリールは素早く回転しながら脚部の推進器スラスターを噴射して加速し、強烈な蹴りを繰り出してきた。



「――――ハアッ!!」



 その空中回転蹴りを魔剣で受け止めて、俺はジブリールを弾き飛ばした。蹴りを受け止められたジブリールはくるくると回転しながら地上に着地して体勢を立て直す。



「ここまでの戦闘を解析……ラムダ=エンシェントの身体能力に関する情報を更新。反応速度、動作性、いずれも機械天使ティタノマキナに匹敵すると評価……素晴らしいですね」


「…………」


「貴方はすでに戦略兵器と同等のスペックを有しています。人間として生まれながら、これ程の戦闘能力を有するとは……この時代に人間は旧人類には無い可能性を秘めていますね」


「…………」


「しかし……弊機わたしが知る最悪の存在、“魔王”にはまだ僅かに届いていない。貴方はもっとご自身の性能を引き出せる筈です……さぁ、限界までご自身を追い詰めてください」



 ジブリールには追い詰められたような印象は受けない。むしろ、まだ俺には性能を引き出す余白が有るとまで言って挑発をしているぐらいだった。



弊機わたしよりも強いと証明するのでしょう?」

「ああ、そのつもりだ……まだまだ行けるぞ!!」



 ジブリールの挑発に答え、俺は不敵な笑みを見せつける。まだ本領を発揮してないとジブリールが言うのなら、それに答えるべきだろう。

 でなければジブリールを凌駕はできない。自身の限界をさらに超え、ジブリールを倒す。それがきっと、この階層で俺に求められているものなのだと感じながら。

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