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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十八章:虹を越えて、無限の彼方へ

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第1049話:VS.【預言天使】ジブリール“異聞”③ / 俺はそれを愛と呼ぶ


「出力120パーセント……圧し潰します」

「これは……さらに出力が上がって……!」



 ――――ジブリールの攻撃はもはや雨ではなく“隕石”になっていた。翼から撃ち出される光弾は一発いっぱつがミサイルが如く、荷電粒子砲から放たれるレーザーは稲妻が如く。

 機械天使ティタノマキナジブリールが瞬間的に出せる出力を全て射撃に割り振っているのだろう。俺の攻撃は徐々に押され始めていた。



(だけど……その攻撃には隙がある!)



 ジブリールは俺を圧倒する為に全力を出している。それは言い換えれば『攻撃』以外の行動に行動力を割いていない事になる。

 なら、圧倒的な飽和攻撃さえ対処できればジブリールに対して不意を突ける。圧し潰されるまでの僅かな時間で俺は反撃の糸口を掴もうとしていた。



「胸部装甲、展開……超重力球ブラック・ホール、形成……!」



 身に纏う“機神装甲レーカ・カーシャ”の胸部装甲を開き、内部の砲撃機構を露わにする。そして、砲撃機構から小さな黒い黒球を射出した。強い引力を内包した重力球だ。

 撃ち出された重力球は俺が撃ち出す攻撃の隙間を縫ってゆっくりと飛んでいく。その重力球はやがて眼前で激しく炸裂する俺たちの砲撃の衝突へと近付いていく。



 そして、黒球が砲撃の激突に触れた瞬間――――


「今だ、炸裂しろ――――“星喰(プラネット・イーター)”!!」

「これは……重力の変化! 攻撃が吸われて……」


 ――――目の前に巨大な重力の天体が出現した。



 その瞬間、俺とジブリールが放っていた攻撃の全てが黒球に飲み込まれていった。さっきまで閃光と暴風に包まれていた空間が、一気に漆黒と引力に塗り替わっていく。



「“量子転移クォンタム・パルサー”……開始!」

「ラムダ=エンシェント、反応消失……何処に?」



 視界が遮られ、ジブリールが俺をセンサーで追尾するまでのコンマ数秒の間に、俺は空間転移で移動を開始した。狙うはジブリールへの接近だ。

 ジブリールが俺の反応が途切れた事を察し、各砲撃を中断して俺の奇襲に備えようとした。だが、さっきまで砲撃に出力を割いていたジブリールは体勢を切り替えるまでの僅かな隙が在った。



「――――ジブリールッ!!」

「! 上……! 反撃用意」



 その隙を突いて俺はジブリールの頭上に転移、両手に握った可変銃でジブリールへと狙いを定めた。距離は僅か三メートル、撃てばあっという間に着弾する。

 ジブリールは翼によるシールドは間に合わないと判断したのか、両手に握った荷電粒子砲での反撃を試みていた。だが、ジブリールの動きはほんの刹那だけ遅かった。



「魔弾よ、敵を撃ち抜け――――“恐るる鷹(キルケー)”!!」

「反撃、間に合わ……くっ!?」



 可変銃から撃ち出された魔弾はジブリールの荷電粒子砲を砲身部分から打ち砕いた。武器を破壊されたジブリールはその衝撃で仰け反っている。



「そのまま一気に……喰らえェェ!!」

「急降下攻撃、回避不可……つッ!?」



 間髪入れずに急降下してジブリールの腹部に強烈な蹴りを叩き込んだ。ジブリールは小さくうめき声を漏らしながら落下し、そのまま地面に頭から落下していった。

 落下と同時に土埃が高く舞い上がり、ジブリールの姿が消える。まだ戦闘不能にはなっていない、そう判断した俺は左手の武器を魔剣に持ち替えて地面へと降下していく。



「内部機構損傷……損傷は軽微。戦闘続行……可能。損壊した荷電粒子砲ソドム、ゴモラに代わり砲撃戦杖“天使祝詞アヴェ・マリア”を転送……」


「流石は機械天使ティタノマキナ、頑丈だな」


「先ほどの被弾は……砲撃に出力を割きすぎた弊機わたしのミスです。決して貴方の方が優秀だったからではありません。よって、貴方の脅威度の変化は不要です」



 もう一つの得物である純白の杖を手にしたジブリールは近接戦闘の構えを取っている。遠距離攻撃に特化した荷電粒子砲を破壊された以上、戦い方を変えるつもりなのだろう。



「形態変化――――“受胎告知モード・カブリエル”」



 そして、ジブリールはその姿を近接戦闘に特化した、本来の姿へと変貌させていく。水色だった髪はピンク色に変色し、輝いていた“一つ目(モノアイ)”は“V”の字に光るアイライトに変化していく。

 製造された時の本来の姿、機械天使ティタノマキナタイプβ(ベータ):カブリエル。より好戦的なスタイルへと変化したジブリールは杖を振り回して俺を威圧する。



「貴方の戦闘力は不安定かつ未知数……不確定な要因が大きく関わっています。爆発力こそあれど、その安定性には問題がある……何故です?」


「それは……俺の原動力は我が王への“愛”だからだ!」


「愛……人間が他者へと干渉を試みる際の感情の一つ。弊機わたしには理解できないもの、人間特有の感情の揺らぎ……貴方はまだ“愛”という不定形な感情を原動力にしていると?」



 ジブリールは俺のちからを『不安定』だと評価した。それはそうだろう、俺は常に変化し続けるノアへの“愛”で戦っているからだ。

 前にもジブリールにその話はした、その時もジブリールは兵器ゆえに“愛”を理解出来なかった。今もそうだ、彼女は“愛”をくちにした俺に怪訝な表情をしている。



「お前の言うとおり、戦場に私情は不要なのかも知れない。けれど、それは私情を捨てる理由にはならないと思う。俺は人間の“心”を無くしてまで戦う気は無い……」


「それが……貴方の心を蝕む結果になるとしても?」


「そうだ……その辛さを引き受けてこそ、戦いで感じる痛みを感じてこそ、何気ない平和を愛する感情が芽生えるんだ。ならば、俺は心を無くした“英雄”を目指すのではなく……痛みを知る“敗者”になるべく戦場に立つ!」



 ジブリールの言う『平和』とは戦いが起こっていない状態を言っている。それは俺が考える『平和』とは少し違う。

 戦いの辛さを、誰かを傷付ける苦痛を知ってこそ人間は慈しみの心を抱ける。だから俺は心も感情も捨てず、人間のまま戦場に立ち続ける。それがどんなに過酷な“選択”だったとしてもだ。



「苦痛を引き受ける……という事ですね。なるほど、ノア様が貴方を“騎士”としてお認めになられる訳ですね。ラムダ=エンシェント、貴方は実に愚かで……それ故に強い」


「…………」


「貴方は弊機わたしに自身の『答え』を提示し、戦場に立つ『自己エゴ』を定義した。ならば、その自己が弊機わたしを上回るのだと証明して下さい。その覚悟、その決意、その信念を……弊機わたしは記録しましょう」



 俺の意志を聞いたジブリールは淡々と機械的に、ラムダ=エンシェントを見定めると宣言した。今、自分がくちにした事を証明しろと言うことだろう。

 その挑発に応じて俺は武器を構えた。ジブリールに『ラムダ=エンシェント』という人間の価値を証明する為に。


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