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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十八章:虹を越えて、無限の彼方へ

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第1047話:VS.【預言天使】ジブリール“異聞”① / 〜Ave MariaⅡ〜


「攻撃開始……対象を殲滅します」

「いきなりかよ、容赦の無い奴だ」



 ――――ジブリールが装備する小型荷電粒子砲から放たれた白い砲撃が迫りくる。直撃すればただではすまない、回避するのが得策だとすぐに判断した。

 機神装甲レーカ・カーシャに装備された翼を展開し、翼から魔力を噴射して後方に加速しながら一気に後退していく。



「対象を追跡……」



 ジブリールは俺を追って砲撃を続ける荷電粒子砲を動かし続ける。二本の極太のレーザーが地面をガリガリと破壊しながら俺を追尾してきていた。



「可変銃、遠隔狙撃形態……発射ッ!!」



 レーザーの追尾から逃れつつ、僅かに開いた射線に攻撃をねじ込んでいく。手にした可変銃の銃身バレルを長く伸ばして狙撃形態に変え、装填した魔力弾をジブリールに向けて撃ち出す。




「狙撃を確認……“光の翼盾(ルミナス・シールド)”展開」



 ジブリールは背部の翼を自分の身を覆うように可動させ、翼から発生する量子のバリアで狙撃を難なく防いでいた。

 そして、防御の最中もジブリールは荷電粒子砲による砲撃で俺を狙い続け、俺はあっという間に視えない壁まで追い込まれていた。



「やっぱ威力の高い攻撃を叩き込むしかないか!」



 視えない壁の向こうにもまだ白亜の回廊は続いているように見える。しかし、視えない壁は“無限螺旋迷宮”ユグドラシル・シャフトの階層の端なのだろう。

 荷電粒子砲のレーザーが直撃する前に俺は真上に素早く飛翔して回避行動を取った。それを観測していたジブリールは翼を大きく左右に展開すると、拡げたエネルギー状の翼膜に量子を貯めていく。



「“光の羽根(ルミナス・フェザー)”……発射」

「今度は波状攻撃……攻撃する隙を与えないってか!」



 高速で飛んでくる無数の光弾、目視で回避するのは至難の技だ。俺は回避行動を取りつつ、左手の手甲ガントレットから展開したシールドで身を防いでいた。

 前方からは雨のように放たれる光弾、真下からは荷電粒子砲のレーザーが迫りつつある。



弊機わたしたち機械天使ティタノマキナは人類に平和を齎す為にノア=ラストアーク博士によって開発されました。即ち、()()()()()()()()()()()で人類から“戦意”を奪い、二度と戦わぬようにさせる為にです」


「…………ッ!!」


弊機わたしたちカスタム機“大天使アーク・エンジェル”が量産機を率い戦場に舞い降りる。その瞬間、人類は理解したのです……“神”の御使いである天使が人間に裁きを下しに顕れたのだと」


「それがなんだって言うんだ?」


「人類最後の聖戦『神託戦争オラクル・ウォーズ』で、最後まで()()()()()“神()”を信仰したアースノイドたちは機械仕掛けの天使によって滅ぼされました。貴方が辿る道はそれと同じです……ラムダ=エンシェント」



 古代文明で機械天使ティタノマキナたちは、“神”を信仰していた人々を鏖殺した。そんなとびっきりの皮肉を言いながら、ジブリールは徐々に俺を追い詰めようとしている。

 たしかにジブリールは強い。カスタム機“大天使アーク・エンジェル”である彼女の戦闘能力なら数万人規模の大軍でも一瞬で焼き払えるだろう。



「人類は叡智を以って“武器”を生み出し、自分たちよりも強大な相手を狩って霊長のおさとなった。やがて人類はその知恵故に同族間で争いだし、悪意を以って“兵器”を生み出して殺し合いを始めた」


「…………」


「その悪意の極致、兵器の頂点こそが弊機わたしたち機械天使ティタノマキナ。人類を効率的に鏖殺する殺戮兵器です。その弊機わたしに狙われた以上、貴方は此処で消え去るだけです」



 それは機械天使ティタノマキナたちが造り出された理由だった。自分たちは人類を鏖殺して世界平和を成し遂げる為に造られた“悪意”の極致なのだと。

 それを聞いた開発者のノアは渋い表情をしている。ノアは機械天使ティタノマキナを科学者たちに命じられて造った。ノアに悪意は無かったが、罪悪感は感じているのだろう。



「魔剣ラグナロク……駆動開始!!」



 ノアの表情を見た瞬間、俺は反撃に転じる事を決めた。左手に握った魔剣に魔力を集束させ、ジブリールが手にする荷電粒子砲に切っ先を向けて狙いを定めた。



「撃ち抜け――――“竜の咆哮(ディア・ブレス)”!!」

「これは……高出力反応を感知」



 魔剣から放たれたのは高出力砲撃。撃ち出された砲撃は竜の咆哮のような轟音を響かせながら、無数の光弾をかき消しつつジブリールへと向かっていく。

 その砲撃の出力がシールドを貫くと判断したのだろう。ジブリールは荷電粒子砲の砲撃を止めると、即座に上昇して俺の攻撃を回避してみせた。



「何か勘違いしているようだから言ってやる……俺はテメェに滅ぼされるような弱い人間じゃねぇ。テメェの開発者であるノア=ラストアークが選定して下さった“騎士”だ!」


「…………」


「そして、俺たちはテメェ等に滅ぼされた古代文明の人間じゃない……女神アーカーシャによって()()()()()()()()()新時代の人間だ! 俺たち相手じゃ……テメェ等だってちょっと強いだけの存在なんだよ!」



 そう、機械天使ティタノマキナが無双したのは人類に個別の術式スキルが無かった古代文明での話だ。女神アーカーシャによって術式スキルありきで設計された俺たちは違う。



「俺たちは悪意じゃない……純粋な願いから生み出された術式スキルがある。テメェ等が悪意の極致かどうかは知らないが……テメェ等はもう圧倒的でもなんでもないんだよ!」


「そんな……ノアちゃん頑張って造ったのに」


「四つん這いになってショックを受けているんじゃない、我が王! 感傷は後にして下さい! あのジブリールはトネリコが再現した幻影、別に倒しても問題ない奴でしょ!」



 ジブリールの圧倒的な火力にも対応できるだけのちからが俺には、今の時代の人間には備わっている。

 それを聞いたジブリールはただ静かに俺を観察している。



「観測、測定……確かに貴方の言うとおり、この時代の人類は術式スキルや魔力によって古代文明の人類よりも個々の強度が増加しています。それは紛れも無い事実だと認めます」


「なら……」


「しかし、貴方達の精神性は古代文明の人類と大きな乖離はありません。結局の所、女神アーカーシャに設計されても……人類は愚かしいままなのです。結局、いつまで経っても争い続ける」


「だから……なんだ?」


「いま一度、人類は圧倒的なちからの前に挫折を味わうべきでしょう。弊機わたしはそう進言します、弊機わたしはそう分析します、弊機わたしはそれを実行します。圧倒的な武力を前に人類を屈服させ……誰もが戦う事を恐れる“平和”の実現を。それがシステムの総意です」



 ジブリールは淡々と機械的に、人類は愚かなままだと断言した。そして、彼女は翼を大きく拡げると、駆体にエネルギーを充填させていく。

 彼女は機械天使ティタノマキナ、世界に平和を齎す者。その指令オーダーを果たす為に、ラムダ=エンシェントという脅威を排除しようとしているのだろう。



「古代文明のアースノイドたちは……弊機わたしたち機械天使ティタノマキナ、そして我らを率いて地上へと侵攻した一人の“魔王”によって制圧された。その古き人類神話……此処で再現しましょう」


(ジブリールたちを率いた魔王……誰だ?)


「セーフティ解除……ドライヴ臨界……オーバードライヴ発動。ラムダ=エンシェント、貴女に我ら機械天使ティタノマキナを統べる資格があるかどうか……それを弊機わたしは観測します」



 全身からエネルギーを放出して、ジブリールの“一つ目(モノアイ)”が無慈悲な視線を俺に向ける。ここからが本番、機械天使ティタノマキナによる意志なき殺戮が静かに始まろうとしていたのだった。

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