表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十八章:虹を越えて、無限の彼方へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1234/1250

第1034話:自分の選んだ選択にこそ……


「我が騎士よ、私は怒っています。何故だか分かりますか?」

「えっ……いやぁ……はは、あははははは〜……」



 ――――“無限螺旋迷宮”ユグドラシル・シャフト、中央シャフト。リリエット=ルージュを撃破した俺たちはエレベーターに乗り込み次のガーディアンが居る上層階を目指していた。

 エレベーターが上へ上へと昇る中、意識を取り戻したノアは仏頂面のジト目で俺を睨んでいた。理由は言うまでもない、リリエット=ルージュとの戦いで気絶させた事だ。



「たしかに私はリリエット=ルージュの“魅了チャーム”に操られていました……しかぁし! いくらなんでも私をぶちのめす必要はないでしょう!」


「いやでも……一応配慮はしたんで……」


「リリエット=ルージュのおっぱいで私の頭をぶつのが配慮ですか……たしかにマシュマロみたいに柔らかくぅ、首へのダメージは最低限でしたがぁ……問題はそこではありません!! 私をぶつまえに言い訳じみた台詞を言っていた事を私は怒っているのです!」


「…………うす」


「なぁにが『俺が護るのは我が王の意志だ』ですか!? 今から『だから物理的に叩きのめすのはノーカン』って言っているようなものじゃありませんか!? それで私を欺けるとでも思っていたのですかぁ……我が騎士よ??」



 ノアは叩きのめされて潰れたカエルみたいされた事を根に持っていた。騎士である俺は彼女の怒りに言い訳と平謝りをするしかなかった。

 ノアは起こりながらお腹をしきりに触っている。お腹の中の子どもが心配なのだろう。そちらも配慮してはいるが、俺には分からない感情がノアにはあるようだ。



「まぁ、私が貴方の立場でも同じ事をしたでしょうし……これ以上は追求はしません。まんまと“魅了チャーム”に掛かった私も迂闊でしたのでね……」


「申し訳ございません……我が王」


「一応、私が身籠っている事はお忘れなき……いえ、これも言うのは野暮ですね。そもそも産んであげれるかも……すみません、今のは私の失言です。気にしないでください……」



 身籠っていると言って()()()を思い出したのか、ノアは眼を伏せて俺から顔を逸らして議論を打ち切ってしまった。

 分かっているのだろう、自分が『機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナ』になれば、お腹の中に居る俺たちの子どもを出産する事が出来なくなる可能性があると。それが後ろめたいのか、ノアは黙ってしまった。



「…………」

「…………」



 お互いに気まずいのかエレベーター内は沈黙に包まれ、上昇する為に駆動するエレベーターのモーター音だけが微かに聴こえている。

 ノアはエレベーターの窓に視線を向けてシャフト内の風景を眺めている。その寂しそうな後ろ姿を俺は見つめるしか出来なかった。



「我が王……彼女が言っていました。自分は私とあなたが出逢わなかった世界のリリエット=ルージュであると。そんなにも……私たちの出逢いは世界に影響を与えてしまったのでしょうか?」


「…………」


「私たちの出逢いは本当に……正しいものだったのでしょうか? 今もきっと争いが起こって、傷つく人や命を落とす人が出ている……そう思うと不安で……」



 それが我慢できず、ついノアに質問してしまった。俺とノアの出逢いはそんなにも世界に影響を及ぼしてしまったのかと。

 ノアは俺の方に振り返らず、窓の外を眺めながら言葉を選んでいる。どう言うか悩んでいるのだろう。



「時に世界には……たった一人で歴史に大きく影響を与える者が生まれます。古代文明の地球連邦政府ではそのような者を『特異点ターニング・ポイント』と呼称していました」


「前に天空大陸でそんな言葉を聞いたな……」


「もしかしたら……いいえ、きっと私たちのどちらかは、その“特異点ターニング・ポイント”なのでしょうね。私たちの存在はこの世界に影響を与えてしまう……善きも悪きにも」



 ノアのくちから語られたのは、俺たちのどちらかが『特異点ターニング・ポイント』と呼ばれる()()()()()()()()()()()()()()なのだと言う推測だった。

 そう考えれば俺たちが出逢わなかった事で“異聞イフ”リリエット=ルージュの運命が大きく変わってしまった事への得心もいく。ただし、それが常に良い結果だとも限らない。



「戦いの最中にも言いましたが……別の世界の事を気にする必要はありません、我が騎士よ。所詮は『たられば』の話……起きなかった事を後悔していてはきりがありません」


「それは……そうですが……」


「今この世界で起きた事、私たちが“選択”した事にこそ我々は責任を負うべきです。トネリコが観せる幻影に惑わされてはいけません」


「はい、心得ています……」


「この先に現れる幻影を撃ち破り、それでも自分たちが選んだ世界こそを護るのだと……そう力強く宣言しなさい。それが私たちが世界に負うべき責任です、我が騎士」



 しかし、俺たちが選択したのはこの世界で、だからこそこの世界に責任を負うべきだとノアは俺を諭してくれた。

 ノアの言うとおりだ。選ばなかった、選べなかった世界に後悔を抱いてもどうしようもない。それよりも自分たちが選んだ世界に誇りを持つのだと。



《まもなく第二十階層に到着します》


「エレベーターが到着したようですね」

「次の相手がお待ちかねか……」


《お降りの際は足下にお気を付け下さい》



 そうこうしている内にエレベーターが目的地に到着し、ドアが開いて逆光が差し込んできた。また階層が見覚えのある景色に変わっているのだろう。

 ノアの言葉を飲み込み、一度両頬を叩いて意識を切り替えて、俺は次なる戦場に向かう決心を決める。



「行きますよ、我が騎士よ」

「イエス、ユア・マジェスティ!」



 そして、ノアと共に歩き出し、俺たちはガーディアンの待つ戦場へと脚を踏み出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ