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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第十八章:虹を越えて、無限の彼方へ

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第1031話:VS.【吸血淫魔】リリエット=ルージュ“異聞”④ / ※この手に限る


「くっ……!?」

「あはは……やったわ!」



 ――――それはまさしく不意討ちだった。リリエット=ルージュはノアを“魅了チャーム”で操り、操られたノアは拳銃を俺に向かって発砲してきた。

 零距離で放たれた銃弾を防ぐ術は無く、銃弾は装甲アーマーを貫通しながら俺の心臓を撃ち抜いた。くちから大量に吐血して地面に倒れ込む。その様子をリリエット=ルージュは笑みを浮かべて眺めていた。



「剣を捧げたあるじに後ろからズドンって……騎士道の末路としては最高に滑稽ね。どう……即死したかしら?」


「ぐっ……」


「あら……心臓を壊されて死なないの? あなた人間じゃないわね……魔族だったのかしら? けどまぁ……その様子じゃまともに動けないでしょう?」



 リリエット=ルージュは心臓を壊されても生きている俺を訝しんでいる。俺は全身をナノマシンに置き換えた“機人マシナリー”、心臓を壊されても再生できるし死にはしない。

 それはともかく、激痛で倒れてしまったのは事実だ。すぐには動けないだろうと踏んだリリエット=ルージュは尻尾をふりふりと揺らしながら硬直しているノアの元にゆっくりと歩いていく。



「い、いつの間に……私に“魅了チャーム”を……?」


「あなたが私と視線を合わせた一瞬の隙を突いて。万が一の保険だったけど……うまくいったみたいね♡ どう……大事な忠臣を撃った気分は?」


「…………っ」


「護る者がある奴は弱い……その護りたい者が“弱点”になるから。私は魔王軍でのし上がる中でそれを学んだわ。最も強いのは孤高な存在であると……」


「その割には……魔王軍に属しているのですね?」


「グラトニス様に仕えるのは……その方が私の目的を達成しやすいからよ。そう、私は我が父と母を殺した愚かな人間たちに復讐するの……魔王軍はその為の手段よ」



 俺を踏みつけて動きを抑えつけて、ノアの首根っこを掴みながらリリエット=ルージュは得意気に自身の野望を語る。

 彼女の目的は『両親を殺した人間たちへの復讐』だ。だから【復讐】の大罪を冠していた。彼女の眼に人間はいまだに『愚かで残酷』に映っているのだろう。



「あなたも人間じゃない……ただの人間を模した人形なんでしょ? なら私が有効活用してあげるわ……うふふ♡」


「私を使う気ですか……あなた程度の存在が?」


「言葉遣いに気をつけなさい……舌を切り落とすわよ! あなたの忠実な駒は倒れた、もうあなたを守る者は誰も居ないのよ。大人しくしないと、今度は“魅了チャーム”で自分自身を撃たせるわよ」



 くちごたえするノアに苛立ったのか、リリエット=ルージュはノアの首を強く絞めて黙るように脅迫している。意識が目の前の生意気な人形マキナに向いてしまっている。


 ここいらが攻め時だろう。


 リリエット=ルージュは俺を踏んづけて、ノアを脅してご満悦だ。まさか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて思ってもいないだろう。我ながら迫真の演技だと感心するし、それはノアも把握済みで演技に付き合ってくれている。



「まずは“魅了チャーム”で私の言うことしか聞けないようにしてあげるわ。良い男なら私のペットにするけど、あなた一応“女”だから私の下僕で確定……ん? 何かが脚を掴んで……痛っ!?」


「我が王に気安く触るな……!」


「なっ……なんでピンピンしているの!? 心臓を撃ち抜かれたでしょ!? あんた……バケモノだったの!? この……私の脚から手を離しなさい!!」



 そして、俺は反撃を開始した。うつ伏せに倒れたまま、俺の背中を踏みつけるリリエット=ルージュの右脚を左手で掴み拘束する。

 左手の剛腕で骨が軋んだのか、リリエット=ルージュは小さく悲鳴を漏らしながら今起きた事態に驚愕し始めた。



「生憎と……心臓を撃ち抜かれた程度じゃ死ねなくなっちまったからな。“無限螺旋迷宮ユグドラシル・シャフト”から情報貰ってながら迂闊だったな!」


「くっ……!」


「おおっと、逃さねぇぞ! こうやって掴んどきゃ蝙蝠にも変化へんげさせねぇ! このまま叩きのめしてやる!!」



 リリエット=ルージュの脚を持ち上げながら俺が起き上がろうとした事で、彼女は慌てて飛んで距離をとろうとした。

 だが、俺が脚を掴んでいるせいで飛ぶこともできず、蝙蝠に変化する術技も発動できない状態にリリエット=ルージュは陥っていた。



「こうなったら“魅了チャーム”で……!」

「うっ……また身体が勝手に……!?」



 そうなればリリエット=ルージュが取る選択肢は限られてくる。彼女は瞳を輝かせてノアを“魅了チャーム”で操って状況を打開させる選択肢を取った。

 操られたノアは再度拳銃を俺に向けている。今度は頭部狙いで確実に仕留めるつもりなのだろう。



「俺がお前と始めて遭った時も……お前は“魅了チャーム”で俺の兄を操って攻撃させようとしたんだ。お前はもちろん知らない事実だろうけどな……」


「そ、それが何よ……!?」


「その時、俺は兄を()()()()で“魅了チャーム”から解放して、お前の支配から解放したんだ。つまり……俺はノアをちゃんと護る事ができるんだ、この状況でもな!」



 しかし、“魅了チャーム”に操られている者を救う術を俺はすでに知っている。リリエット=ルージュと初めて接敵した際、操られたゼクス兄さんに()()()をして“魅了チャーム”を打破する事ができた。

 それを実行するべく、俺はリリエット=ルージュを押しのけて立ち上がる。そして、拳銃を今まさに撃とうとしているノアに向かって、俺は掴まえたままのリリエット=ルージュを振り下ろし始めた。



「ちょ、あんた何する気……!?」


「俺はたしかにノア=ラストアークを護る騎士だが……俺が護るのは彼女の身体の安全ではなく、彼女の意志なんだ!」


「ちょ……我が騎士……!?」



 そのまま俺はリリエット=ルージュを武器に見立てて、ノアに向かって勢いよく振り下ろしていく。当然、気絶程度に収めるように工夫はするから大丈夫だろう。

 自分が何をされるか悟ったのか、ノアは見たこともないような歪んだ表情をして俺を睨んでいる。これも勝つためだと割り切り、騎士道を捨てて俺は心を鬼にする。



 そして、俺はリリエット=ルージュを振り下ろして――――


「我が王よ……ごめん!」

「ちょ……グェーーっ!?」


 ――――ノアを思いっ切りぶん殴って気絶させて“魅了チャーム”から解放したのだった。

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