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目玉焼きの伴侶

作者: コタツの猟犬

笑って頂けたら嬉しい限りです。


さぁ皆さま、ご一緒に黒の世界へ!

アナタご自身が主役の人生の中で、


最良の伴侶を得る事。


それはきっと最高の悦びのはずだっ!


そこで考えて欲しい。





もし、その主役が目玉焼きだったら?





太古からの命題に、今、終止符が打たれる!




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







ソース「遂にこの時が来てしまったようだな」

醤油 「ああ、我等の先祖の時から、幾度となく行われて来たことだ」


ソース「しかし、どの先達も最後は結局…………」

醤油 「我らもその運命から逃れられんといいたいのか?」


ソース「いや、私が今日その歴史に終止符を打つっ! お前を破ってな!」


醤油 「それでこそ我がライバルっ! 私達はお互いに最強と最高。

    だが、移り変わりの激しい世なのだ。いつまでも我等が使われるとは限ら

    ん。ならば、どちらが上か、今こそ決めねばならん」


ソース「ああ、今こそ決着の時っ!」




醤油・ソース「「いざ尋常に勝負ッ!」」




醤油 「まず一つ言っておく、同じ気高き黒であっても、我等のその本質はまるで

    違う」


ソース「その通りだ。お前は産まれた時から何にも染まらない黒であったが、

    私は高みに昇らんと欲し至った黒だからなっ!」


醤油 「ならばまずっ! お前が磨き上げた、お前の素晴らしい所を挙げて

    みろ!」


ソース「先手を譲るか……流石は我がライバルだ。あくまでも正々堂々と挑んでく

    るとはな。だが、これは勝負だっ! 手心など加えんからな!」


醤油 「望むところだぁ!」


ソース「まず、私は主菜と共にあれば、そのまま飯に乗っけ、かっ込むことが出来

    るぞっ! パンに挟むことも本質は同じことだ!」


醤油 「ぶ、ぶはっ! た、確かにそうだ。私も漬けに使われれば同じように出来

    るが……し、しかし、パンとは決して相性は良くない。

    その上、作るにも料理人や主婦の方のお手を煩わせてしまう、くそっ!」


ソース「ふっふっふっ、誰かの手を使う。それ即ち……手間っ!

    忙しい現代人には好かれまいて」


醤油 「くっ! だが、しかしっ! 今回は目玉焼き殿が相棒だっ!

    私もお前も同じフィールドにいるぞ!」


ソース「ちっ! 気づかれてしまったかっ! たった数舜で看破するとは……

    やはり侮れん」


醤油 「私とて産まれ出でた時より黒だったとはいえ、今日まで、

    常に研鑽を欠かしたことなどないっ!」


ソース「ふっ」


醤油 「何が可笑しいっ!」


ソース「墓穴を掘ったなっ!」


醤油 「な、何を言っている…………タラリ」


ソース「元々の水分量が多く、その上煮詰めたわけではない貴様は、

    産まれた時より常に劣化する運命っ!

    幾ら自らを高めようともそれは変わるまいよ。一方俺は寝かせても

    美味くなるっ!」


醤油 「はっはっは。なんだそのようなことか。

    そんなもの、とっくに克服済みよ」


ソース「な、なんだとぉ……そ、そ、そ、そんなもの、只のハッタリだっ……

    ……ボタリ」


醤油 「ふふふ、いつまでも生まれたての美味さを味わいたい……

    そんな願いを、たゆまぬ研鑽と情熱によって叶えたものがいるのだっ!

    それが真空ボトル!」


ソース「な、なにっーー!! し、真空ボトル、だと……

    では貴様は、劣化することなく、

    使い切るその瞬間まで鮮度はそのままという事か……」


真・醤油「そういうことだ」


ソース 「く、いったいどうしたら」


真・醤油「これは勝負あったようだな」


ソース 「自分を包んでくれる一番大切な友の事を考えてなかった。

     何時の間にか、自分を高めることに夢中で、

     大切なことを忘れちまったんだな」


真・醤油「いや、やはりお前は俺のライバルだ。

     今回の事は俺達の力そのものの話じゃない。

     それにお前は寝かせる程美味くなる……その通りだ。

     だから、今まで通り、

     お互いが替えの利かないオンリーワンでいいじゃないか」


熟・ソース「…………醤油」


???「はぁ~⁉ なに温いこと言ってんスか?」

???「んなことだから、何時まで経っても次の段階に進めないんだぜ?」


熟・ソース「お前達は何者だっ!」

真・醤油 「その形状……塩に近いが……それにしては黒過ぎる…………」



???「やだなぁ先輩」

???「ヤレヤレ、同郷なのに気づかないなんてな」


真・醤油 「まっ、まさか……この匂い……お前達は」

熟・ソース「知っているのか」


真・醬油 「呼び方は知らんが、アイツ等は粉末調味料だ」

熟・ソース「ふ、粉末調味料…………」


粉・醤油 「そう、俺等は新しいニューウェーブ!」

粉・ソース「無駄がなく、地球にも優しい時代の申し子」


真・醤油、熟・ソース「「…………ゴクリ」」


粉・醤油 「だってぇ考えて下さいよ、先輩。

      最近では立食パーティーってのもあるんすよ?

      そん時、せっかく楽しい空気で会話して、

      んでちょっと摘まんだ時に、醤油やソースが服にかかったらって?」


真・醤油 「さ、最悪だ、正に悪夢だ」

熟・ソース「一張羅だったら、目も当てられん」


粉・醤油 「でしょー?」

粉・ソース「俺等は最高の時間を過ごしてもらう為のツールなんスよ?

      それが逆にその時間を最悪のものにして、

      どうすんスかって話っスよ」


真・醤油 「そ、そうだ。確かに、そうだ」

熟・ソース「目玉焼きにどちらが合うか、なんて言うのは、

      使って下さった方が決めればいいこと」


真・醤油 「それを我等は…………」

熟・ソース「そうだな。なんて、愚かだったんだ」


真・醤油 「もう時代は我等を必要としていないのだな」

熟・ソース「ああ、ひっそりと滅びゆく__」


粉・醤油「ちょちょちょちょっと、何言ってんですか!」


真・醬油、熟・ソース「「???」」


粉・ソース「必要ないなんて誰も言ってねぇっスよっ!

      だいたい俺とソース先輩とは、

      昔から上手く付き合って来たでしょうよ!」

熟・ソース「む?」


粉・ソース「昔から家庭焼きそばは、だいたい粉じゃないっスか」

熟・ソース「あ、ああ。た、確かにそうだった」


粉・醬油 「だから俺等は、状況に合わせて使ってもらうってことで、いいんスよ」


真・醤油 「しかし、その目玉焼きにしても…………」


粉・醬油 「かぁー。だ・か・らぁー、食べる時、

      目玉焼きだけって、ほぼないッスよね?」


真・醬油 「まぁ、そうだな」


粉・醬油「だいたい食パンが多いっスけど、でもそれだって絶対じゃない。

     パティとセットだったり、少数でもご飯に載せる時は生卵じゃなくて、

     目玉焼き派って人だっているわけじゃないスか!」


熟・ソース「その通りだ」


粉・醬油 「細かいこと言えば、食べ物は目玉焼きだけでも、飲み物は必ずありますよね?」

粉・ソース「だから、俺等はマヨさんと組むことも多いじゃないスか」


真・醤油 「そ、そうか。そうだよな、俺達は何時の間にか大事な物を忘れていた」

熟・ソース「どちらが優れているとか、上などと、くだらない事を」


真・醬油 「ああ、お互い競い合い研磨し続けることは大事だ。

      しかし、それは決して争うことが目的じゃないんだ!」


粉・ソース「そうっス」

粉・醤油 「しょうゆう事」



4人全員「「「「ハハハハハハハハハハ」」」」



目玉焼きちゃん「……………………」



真・醬油 「おお、これは目玉焼き殿」

熟・ソース「恥ずかしい所を見られてしまったな」

粉・醤油 「先輩なんスから、情けないとこ見せんで下さいよ」

粉・ソース「その分、俺等が頑張んねぇーとな」




目玉焼きちゃん「ワタシは、ケチャップとかハバネロソースとか赤い色のが好き」




真・醬油、熟・ソース、粉・醬油、粉・ソース「……………………」








皆さんは何派でしょう。

感想を含め教えて頂けたら嬉しいです。

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