第四問 解答と解説
A:2.ニトリルゴム手袋を箱で常備
はい。なので正解は2番でした。正解者に拍手。いぇい。
では解説です。
最近、使い捨てのゴム手袋が少なくなってきているそうですが、その現象の理由が残念ながら私にはさっぱり分からなかったので、今回はこの問題にしました。
病院の先生が使っているあの、手にぴったりフィットする手袋。あれはニトリル手袋と言います。ニトリルとは素材の名前、だったかな。その素材で出来ているからニトリル。分かりやすいですね。
これはまた、衛生観念が必要な食品現場でも利用されています。食品工場や、レストランのキッチンなどですね。なので飲食店でアルバイトをされていた方なら使ったこともあるかも知れません。
斯く言う私も現在の職場で使用しています。危険物などの有機溶剤が手にかからないように、という目的で。ニトリルって一旦外すと付け直すの面倒なんですよね。中蒸れてるし。そういう時は風船のように膨らませてやるとやり易いので、使う機会があれば試してみて下さい。
さて、このニトリル。何故コロナ対策で使われているのか。衛生的というイメージだけで採用されている気がします。
医療ドラマなんかだと手術室の中でしています。患者さんのお腹を開いてその中で作業する際、素手で内臓とかをペタペタ触らないようにだと思われます。というのも人の手には細菌が付着しています。丁寧に手洗いをしたとしても、皮膚の隙間の奥に残っていて、時間が経つとにょろっと顔を出す、なんてこともあります。
なのでお医者さんは丁寧に手洗いをした後に、更にニトリルをするんですね、きっと。また、手術室内では手を下げてはいけない、というルールがあったと思います。手を下げた時点でその手は何かしらに触れた、汚染されたものとされ、外に出て手洗いからやり直しになる、とか。なので、ドラマでニノが手術室で腕組みをしていましたが、厳密にはあれはアウト、ということになります。
何の話をしているのかというと、ニトリル自体も汚染対象になるという例を挙げているわけです。コロナ対策でニトリルを着けて作業をされている方がいるかと思います。よく見るのがスーパーの店員さん。私がよくスーパーに行くからかもしれませんが。
ではそのニトリルは綺麗なのか、というと残念ながらそんなことはありません。そのニトリルを着けた手でお客さんの持ってきた商品を捌き、その手でお金の受け渡しをし、その手で新たな食品を陳列し…としていたら、たちまち蔓延します。
そんなことはない。各作業ごとにアルコール消毒を挟んで、ニトリルを綺麗な状態で保っている、と仰る方もいらっしゃるかもしれません。ですがその場合、素手でも良いのではないですか。
以前も書きましたが、人の皮膚は物理的防御としてとても優秀です。基本的にあらゆる病原体の侵入を防ぐことができます。なのでニトリルをしていてもしていなくても、感染するリスクは変わりません。たとえニトリルをしていても、その手で目や鼻を触れば感染します。
ニトリルには別段、ウイルス不活化させる力もなければ、素手からウイルスが飛び出しているわけでもない。
以前テレビで、営業が再開したイギリスの理髪店に嬉しそうに来店していた女性がインタビューされていましたが、その手にはニトリルが嵌められていました。
あのニトリルの効能が今でもよく分からない。コロナ対策でニトリルをしている方は、一体何のためにされているのでしょう。
…ここで駄弁っていても仕方ないので、この時期ならではのデメリットを書いておきますね。
ニトリルをしていると熱中症になる可能性があります。
熱中症、怖いですね。私もなりかけたことがあります。夏にマスクをしているとなりやすい、とも言われ、今では涼しいものが商品化されています。
では何故ニトリルも、なのか。
これは以前、NHKで見たものなのですが、所さんが出てたかな、その番組では手の平を冷やすと熱中症対策になると言っていました。芸人のチャンカワイさんが検証としてランニングマシンで歩いていました。冷えたペットボトルを持ってない時と持っている時の体温の上昇具合を比較していました。
手の平には毛細血管が沢山あるそうです。これは皆さん実感として分かるかもしれません。これを直接冷やすことで体を巡る血液を冷やし、体温上昇を抑えるそうです。
実際、生理現象としてもありますね。そう手汗です。
人は体温を下げるために汗をかきます。水分は気化する際に多くの熱が必要です。これを気化熱と言いますが、体の熱を気化熱として奪うことで、汗は体温を下げます。
しかしニトリルをしているとどうなるか。さっきさらっと書きましたが、ニトリルの中は蒸れるのです。つまり、かいた汗が気化熱を奪って蒸発しません。素手の場合よりも熱中症にかかりやすくなるのです。
コロナ対策と称してニトリルを使用している方は気を付けてください。風船のように膨らませると着けやすくなるのか、と感心している場合ではありません。その対策が一体何のためのものなのか、メリットとデメリットをしっかり把握することが必要だと思います。