1章〜戦闘①〜
少年は、バトルステージに一歩一歩と近づいていた。観覧席からの声がここまで届いているからなのか余計に緊張してしまう。
(あぁー、緊張する。)
少年は緊張をしていた。たくさんの声援、たくさんの応援、たくさんの罵声。…全部聞こえてきてしまう。
(なんか、心にグサっとくるのもあるんだが……。)
少年がそんなことを思っていると、バトルステージに到着した。そのバトルステージにはすでにグネヴィアがいたので、少年もステージ上に足を踏み入れた。それに気がついたのか、グネヴィアはこちらを哀れな目で見つめていた。それはゴミを見るかのように。
「来たわね、名もなき糞!」
「いや、名前はあるんだけどもね。」
「うるさい!屑以下の存在が私に刃向かうな!」
もう一回言おう。グネヴィアは、ゴミを見るかのように少年を哀れな目で見つめていた。
「もう、無駄話はいいでしょ。さっさと始めるとするはよ。」
「…あぁ、わかった。それじゃあ始めようか。」
その言葉で観覧席はさらにわ!っと盛り上がった。
そして、両者共に武器を構えた。グネヴィアは、腰にかけてある鞘から橙色の長剣を引き抜き自身の前で構えた。対して少年は、マントの内側にかけてあった夜空色の刀を構えずにだらーんとさせた。
「…あなた、私に殺されたいの?」
その問いに少年は少し考えた。
「…貴方のような可愛らしい人に殺されるのならまだマシです。」
その答えにグネヴィアは顔を赤らめ「ファ!」っと謎の言葉を発した。
「あ、あなた、お、おとこのくせに、な、なまいきでs」
「けれど」
彼女の反論に重ねるように彼は真っ直ぐにグネヴィアの方を向いた。
「僕は、君に負けない。」
その言葉が引き金となったのか彼女は数秒固まった後、口元に笑みを浮かべた。
「面白いわね!けど、勝つのは」
そう言うとグネヴィアは地面を勢いよく蹴った。
「私よ!」