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金が欲しい祓い屋と欲望に忠実な女子校生  作者: 暮伊豆


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47/90

葛原家にて

火曜日。清は通常業務を終えて事務所へ帰ろうとしていた。今夜はどこで飲むかな、なんて考えていた。

そこにお約束のように電話がかかってきた。


「はい、阿倍野です。」


「私だ。」


ボビー・タイラーからだ。


「どうもタイラーさん。どうされました?」


「例のダイヤを見つけた。しかし土壇場になって手を出すのはやはり危険だと気付いた。そこで君の助けが欲しい。3日だ。3日ほど、時間を割いてくれないか? もちろん3日分の報酬は出す。」


「分かりました。いつからですか?」


「明日からではだめか?」


「どうにかやってみます。明日の朝ぐらいにヒコットランドに行けばいいですか?」


「いや、それには及ばん。明日の朝、渡海市の市役所、ヘリポートにて。」


「分かりました。多分何とかなります。」


「すまんな。期待している。」


電話を切った清は明日から3日分の予定を反芻する。そして動き出す。行き先は葛原家、葉子の家だ。




「どうも葛原さん、葉子さんに緊急の用事です。ご在宅ですか?」


「まあ阿倍野さん! よく来てくださったわぁ! どうぞ! お上りになって。葉子はもう30分もすれば帰ってくると思いますよ!」


葛原家のリビングで清と葉子の母は向かい合ってコーヒーを飲んでいる。


「それで今日は一体どうされたのですか? 葉子にどのような? 私ではダメですか?」


「明日までに終わらせないといけない除霊が入ってしまいましてね。お嬢さんのお力が必要ってわけなんです。」


「あらそうなんですかぁ? てっきり葉子のようなお子ちゃまに飽きて、熟れた果実を求めてやって来られたのかと思いましたわ。」


「時には熟れた果実もいいものですね。ただ私は他人の『食いくさし』は無理なタイプなんですよ。」


「あら、遊んでるような顔をして意外とウブなのね。お姉さんが色々と教えたくなっちゃうじゃない。」


いつの間にか葉子母は清の隣に座っている。体ごとしな垂れかかり、清に甘えているかのようだ。


「ただいま。お客さんが来てるの、か……」


「こんばんは。お邪魔しております。」


平然と挨拶する清、清の横で平然と「おかえりなさい」と言う葉子母。


「な、祓い屋!さん? ママ!? な、何!? やっての!?」


葉子父は混乱している。


「うふふ、葉子に急ぎの用事があるんですって。」


葉子母はこの後に及んでも清から離れない。


「いや、それは、分かたけど……ママ何やてんの……」


葉子父の混乱ぶりが止まらない。


「んー、祓い屋さんがいつまで経っても葉子に手を出さないから、もしかして年上好き? なんて思って確認してたの。」


「マ、マママ……ママ?」


「残念ながら私にも手を出す気配が全然なかったわ。あーあ。だからパパ、今夜はたっぷり慰めてもらうわよ? たっぷりね?」


「あ、ああ……」


清は聞きたくもない夫婦の会話を聞きながら、やはり親子か……などと考えていた。




ようやくパパの混乱が落ち着いて来たようだ。


「なるほど、それで今夜急ぎで葉子の手が欲しいと。」


「そうです。夜間に子供を働かせるのは迷うところですが、背に腹はかえられませんもので。」


「分かりました。判断は葉子に任せます。もうしばしお待ちを。」


「さあさあ、その間にカレーでもどうぞ。」


「いただきます。」




清がカレーを食べ終わる頃、葉子は帰ってきた。


「ただいまー、もー石神先生がやたら機嫌が悪くて大変な、せんせぇー! どうしてうちに!? あ! ついに結婚ですか! 結納ですね! 披露宴ですよね!?」


「ビジネスだよ……」


飛び付いてくる葉子をいつも通りアイアンクローで抑え込む清であった。

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