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龍骨鬼ラーメン

『酔っ払いの底辺社畜さん、一見微妙なスキル“地獄耳”でしれっと異世界無双~スキルガチャ失敗したかなと思っていたら、実は万能で最強のトンデモ スキルだった件~』を書かれておりますKei.ThaWestさんより9件目のレビューをいただきました!

ありがとうございます!

雲井邸を出た清と葉子。時刻はもうすぐ夕方。山の日暮れは早い。


「せんせぇ、薄暗くて怖いんですけど……」


「大丈夫。まだ日は沈んでない。あと1時間以内に車まで辿り着けば何の問題もない。」


「無理じゃないですか! 来るときは2時間半かかったんですよ!」


「下りだから大丈夫。荷物もないし。さあ走るぞ。」


「ちなみに日が沈んだらどうなるんですか……?」


「運が悪ければ魑魅魍魎に出会ってしまうな。あまり夜には会いたくないんだがな……」


「走りましょう! それはもう全力で!」




結局2人が車に到着したのは1時間半後だった。


「はぁ、はぁ……せんせぇ、汗かいちゃったんですけど……」


「俺もだが、それがどうした? 何か飲むか?」


「汗がベタベタで気持ち悪いんです! どこかに寄りましょう!」


「あぁ、それならあそこに寄ろうか。」


「ホントですか!? 寄りたいです!」




清の車は山を降り、すっかり暗くなった一般道を走っている。やがて車は停まり……


「よし着いた。暗いから足元に注意するんだぞ。」


「……なんですかここ……」


「見ての通り川だな。清流『錦蛇川(にしきへびがわ)』さ。」


「……ホテルに寄ってくれるんじゃなかったんですか……」


「ホテル? 汗をかいたから洗いたいんだろ? ここの水は冷たくてきれいだぞ?」


「せんせぇのバカバカぁー!」


「ちなみに俺は顔を洗うぞ。さっぱりするぜ?」


「あ、私も!」


「落ちるなよ。ほら、手を貸しな。」


「えへへへぇ……」


いい歳した大人の男と、花も恥じらう女子中学生が夜の川で顔を洗う。不思議な光景である。


「うわぁ冷たーい! 気持ちいいですね!」


「そうだろ? ほれ、タオル使うか。」


「ありがとうございます! 夜の海は怖いですけど、夜の川って少し幻想的ですね。」


「君にしては珍しいことを言うな。ここの川が特別なのかも知れないがな。」


「私だってたまには普通のことぐらい言いますよぉ!」


「普段がおかしいって自覚してたのか……」




そして再び夜道のドライブは再開される。


「せんせぇラーメンはどこに行くんですかぁ?」


「あぁ、龍骨鬼ラーメンにしようか。」


「あー知ってます! 最近話題ですよね! 何か得体の知れない骨から出汁をとってるって!」


「おっ、よく知ってるな。出汁は内緒だが、旨いよな。」


「え!? 先生知ってるんですか!?」


「まあな。あそこの店長とは知らない仲じゃないんでな。さて、着いたぞ。」




「へいらっしゃーい!」


「2人です。」


「おっ! 阿倍野先生! らっしゃい!」


「どーも。龍骨鬼ラーメン2つね。」


「あいよー! 龍骨ふたーつ!」


席に着いてわずか2分足らず。もうラーメンが出てきた。


「あいよお待ちぃ!」


見た感じ普通のラーメンだ。


「せんせぇいただきますね!」


「ああ、おあがり。」


ズビビッ!

ジュブルッ!


「美味しいぃー! せんせぇ美味しいです!」


「ああ。美味しいな。」


「何ですかこれ!? 龍の骨の出汁なんですか!?


「そうらしいな。いやー美味しい。」


「いやいや龍なんてどこにいるんですか!」


「さあ? それが味の秘密なんじゃないの?」


「はっはっは。こちらは先生の良い人ですかい? この味は秘密ですぜ?」


「そうです! 良い人です! 美味しいです!」


「うちのバイトですよ。いつも美味しいですね。じゃあご馳走さまでした。」


「ありがとうございまーす! お会計2940円です!」


ラーメン二杯にしては高い会計を済ませて2人は再び家路に着いた。


「せんせぇご馳走様でした! ホントに美味しかったですね!」


「全くだ。期間限定なのが残念だよ。」


「期間限定なんですか!? 初耳なんですけど!?」


「材料がなくなるまでなんだってさ。残念だよな。」


「あー、なら仕方ないんですかね。で、材料って何なんですか?」


「そのうち教えてあげるさ。まだ時間はかかるから寝てていいぞ。」


「えー、なら肩か膝を貸してくださいよぉー。」


「うーん、貸してやりたいのは山々だけどね。この車じゃ無理だな。」


清と葉子の間にはマニュアルミッションがあるため実行は難しいだろう。


「じゃあ今度自動運転の方に乗った時は貸してもらいますからね! 絶対ですよ!」


「あー、まあいいけどさ。」


バイトである葉子と一緒に移動する時はどうせいつもティムニーだから別にいいかと考える清であった。

なお、葉子はいつの間にか寝ており、とても表記できないような寝言を垂れ流していた。


「えへへ……せんせぇ……そっちは違うあ……」

「うへへ……せんせぇ……大き……」

「ぐへへ……せんせぇ……今度はバッ……」

店長の名前は、月本 風魔と言います。

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