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助っ人ボビー・タイラー

『4度目も勇者!?』を書いておられる八刀皿 日音さんより5件目のレビューをいただきました!

ありがとうございます!

事務所にかかってきた一本の電話。


「はい、阿倍野です。」


「どうも阿倍野先生。渡海市役所の役所です。先日の件でご相談がありまして……」


あの総務課長の苗字は役所(やくしょ)と言うらしい。生まれながらの公務員なのか。


「はあ……どのような感じですか?」


「あれから石灯籠を引き上げまして……分かったことがですね……所有者が不可田さんだってことなんです……」


「はあ、不法投棄になるんですかね。」


「いや、それがですね。いつの間にか無くなったと言うんですよ。それどころかこちらに向かって灯篭を盗んだのかと言い張る始末でして……」


「処置なしですね。市役所としてはどうするおつもりで?」


「どうにも出来ませんので……阿倍野先生にご相談した次第なわけでして……」


「正直に言いましょう。私はあの人と関わりたくないのです。ロクなことがありませんので。」


「で、ですよね……それでしたら例のナマコ霊の件ですが、再発しませんよね?」


「その灯篭を元に戻さない限り再発するでしょうね。状況から判断するにその灯篭があの辺り一帯の地鎮の役割を果たしていたようです。」


「お願いします先生! 助けてください! もう先生しかいないんです!」


「うーん、せめて何か戦える情報はありませんか? 例えばその灯篭を誰が作ったのかとか。」


「いや、それが、それらしき文字が『平』ぐらいしかなくてですね……」


「平ですか……一度見に行きます。少し気になることがありますので。」


「おおっ! 助かります! ありがとうございますありがとうございます!」


電話を切った清は携帯を取り出し電話をかける。相手はだれだ?


「私だ。」


「やあどうも阿倍野です。ちょーっとお聞きしたいことがありまして。三位の浜、石灯籠と聞いて思い当たることは何かないですか?」


「ある。うちの先祖がとある戦に負けてあの浜に流れ着いた。そこの地主に助けられた先祖が建てたものだ。」


「ほうほう。何のために建てられたのですか?」


「ある強力な妖怪を鎮めるためらしい。定期的に生贄を差し出さないとあの辺り一帯が水没させられるらしい。」


「なるほど。その妖怪とは?」


「海坊主。身の丈20間とも言われた大妖だ。うちの先祖は海の神、大綿津見を祀る灯篭を建立することで奴を鎮めたらしい。」


身の丈20間、およそ36m。かなりの大きさだ。


「もしかして、その大綿津見の化身ってナマコですか!?」


「ほほう、よく知ってるな。太古より大綿津見が現世に姿を現わす時、現し身はナマコと決まっている。」


「よく分かりました。タイラーさん。助けをお願いしたいのです。三位の浜で異変が起こります。具体的には三位の浜が水没するのはいいんですが、その周辺も危ない。」


「ほう。このタイラーの力が必要と言うのか。いいだろう。待っておけ。一時間以内に着く。」


そう言ってボビー・タイラーは電話を切った。清は百万の味方を得た気分であった。タイラー一族は面倒見がいい一族なのだ。

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