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金が欲しい祓い屋と欲望に忠実な女子校生  作者: 暮伊豆


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なまこは神か悪霊か!?

『なまこ×どりる』を書いておられるGyo¥0-(ただのぎょー)さんより3件目のレビューをいただきました!

ありがとうございます!

「昔そちらでお世話になった不可田と申しますが。」


「はい。どういったご依頼でしょうか。」


「うちの土地に悪霊か何かがいるみたいなんで何とかしてもらいたいんです。」


「分かりました。まずは前金で100万円いただきます。そしてご入金を確認後、現地に確認に行き除霊費用の概算を算出、契約書の作成となります。」


「はあっ!? 100万!? 何言ってんですか!? 前は10万だったじゃないですか!?」


「前がいつのことは分かりませんが、今はこうなっております。現在の渡海市には他に何人か祓い屋はおりますので、10万でやる者もいるかと。」


「ふざけんな! こっちは困ってんだよ! 何とかしてくださいよ!」


「ではうちのホームページをご確認ください。そこに口座番号などが載ってますので、ご入金を。それから打ち合わせをしましょう。」


「消費者センターに言うからな!」


電話はガチャ切りされた。22世紀になってもガチャ切りと言う言葉は残っているのだ。


そして清は覚えている。不可田だけではない。過去に遭遇したモンスター顧客、その全てを。

しかし清としては本当に困っているなら見捨てるつもりはない。現在の相場通りの報酬を支払うなら仕事を受けることに抵抗はない。それはきっと心の余裕がそうさせているのかも知れない。




「せんせぇーこんにちは! 今日の仕事は何ですかー!」


そう。今日は土曜日。葉子が来る日であった。


「こんにちは。今日は海だ。只の行(ただのぎょう)浜で結界張りをするぞ。」


「海ですか! ビーチですね! 水着はビキニですか! それともスク水ですか!」


「君ならスク水が似合うんじゃないか? 海には入らないから必要ないけど。」


この時代のスクール水着は男女とも同じ、全身を覆うウエットスーツのようなタイプであり、色気はない。


「似合う、私に似合う、私が着ているスク水を見たい、そしてじっくり鑑賞したら脱がせて、後は一気に……分かりました! 今度着てきます!」


「山に行くかも知れないのに? まあいいや。行こう。」




到着。


「せ、せんせぇ、あれは一体……」


「キモいだろ。あれ全部ナマコなんだよ。」


「ナマコ! あの黒くてグネグネしてて時々白いアレを吐き出す深海の神とも言われる!?」


「さあ? そんなの知らないよ。食べると美味いのかも知れないが、残念ながらあれは食べられない。」


「毒でもあるんですか?」


「いや、あれ全部霊なんだよ。」


砂浜を覆い尽くす黒いウネウネする絨毯。それ全てがナマコの霊なのだ。


「霊なんですか!? こんなにはっきり見えるのに!?」


「やっかいだろ? 何の悪さもしないけど、見た目のキモさで海水浴客はゼロ。まあ秋だから当たり前だけど。」


「うえぇえー、気持ち悪ぅー。」


「さて、やるか。それ持って付いて来て。」


「はーい!」


ナマコで覆われた砂浜を2人は歩く。霊なので何の障害にもならず、歩くことの邪魔にはならない。ひたすら気持ち悪いだけなのだ。


「さーて、まずは砂浜から上に来れないように結界を張るからな。はいこれ持って。ここで座禅してて。しっかり集中な。」


「はい!」


葉子を砂浜の中央辺りに残して清は端の方へ行ってしまった。何かを引き摺っているため砂浜に跡がついている。

ちなみに葉子の服装は学校指定のジャージである。学校から直接来たのであろう。


清がようやく戻って来たと思ったら反対の端へ行ってしまった。やはり何かを引き摺っている。


30分後、ようやく清は戻ってきた。


「よーし、瞑想終わり。見せて。」


葉子は清から渡された黒い棒『極楽精神注入滅殺昇天棒』を返す。


「うん、いいだろう。よく集中していたな。」


「本当ですか! ご褒美はいつものアレでお願いします!」


「いつものアレ?」


「もう先生ったら焦らすんだから! 私の顔を抱きしめてくれるじゃないですかぁ。」


「はは、アレね。後でね。」


「はい! 絶対ですよ!」


清は受け取った黒棒を砂浜に突き刺し、何やら呪文を唱えている。


「…………畏み畏み申す…………」


すると、まるで潮が引くように黒い絨毯、ナマコ達が海へと消えていった。


「あー疲れた。あそこの自動販売機でコーヒー買ってきてくれるか?」


葉子に千円札を渡して座り込む清。


「はーい! 何がいいですか?」


「情事屋のゾットを頼む。君も好きなものを買うといい。」


「はーい! 行ってきます!」


22世紀になっても紙幣は現存していた。キャッシュレス化が進行してすでに100年は経っているが、それでも現金はなくなっていない。一時期、市場から現金がなくなりかけたが、結局必要だということが分かったのだ。


「お待たせしましたー!」


「ああ、ありがとう。お釣りはあげるよ。」


ちなみに自動販売機のジュースは一律100円である。


「ありがとうございます! 先生太っ腹! 太い棒!」


「そういえば君の中学は同類だらけだったな。」


「えっ!? まさか先生……私だけじゃなく他の子にまで毒牙を!? そんなのだめです! 私だけにしてください!」


そう言って飛びかかり、念願のアイアンクローを受ける葉子。満足そうである。そろそろ頭蓋骨が変形しないものだろうか?

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