学校の怪談
誤字報告ありがとうございます!
とても助かります!
平日、何の変哲もない火曜日。
清は珍しく仕事が早く終わり午後1時には事務所へ戻っていた。
軽くトレーニングをしてから飲みに出るかと考えていたのだが……
「先生! 助けてください!」
「どうした?」
葉子が駆け込んできた。
「学校に変な霊が出たんです!」
「変な霊? どんなの?」
「それが、ずっとグラウンドを走り回ってるんです! 害はないんですけど気味が悪くて……体育の授業ができないんです!」
「害がないなら放っておけば? 俺が行くと高いよ。」
「ええ!? 私と先生の仲じゃないですか! 学割とか社員割引とか適用してくださいよぉ〜」
「悪いね。公私混同は無理だな。校長先生を通して依頼をしてくれたら行くよ。」
「公私混同は無理……公私混同無理……公私混同ムリ……講師コンドーム?」
「君は下ネタを言わなければ死ぬ病いなのか? さすがに無理があるだろう。」
「心配ご無用ゴム用品ですからね。あっ、でも先生ならゴムなしでもオッケーです!」
「もうすっかり本性を隠す気がないのかな。いっそ同級生とどんな会話をしてるのか知りたくなってきたよ。」
「じゃ、じゃあ来てくれますか!?」
「それとこれとは別だ。一応校長先生にこの名刺を渡しておいてくれ。無害な霊なら安く済むが、もし悪霊なんかになったらかなり高いぞ。しっかり伝えておいてくれ。」
「もぉー! 先生のケチ! 鬼! 悪魔! 二枚目! ヘタレ!」
「くれぐれも近寄らないこと。触らぬ神に祟りなしって君なら知ってるよな。」
葉子は言いたいだけ言って学校へと戻っていった。清の忠告が耳に入っていればいいのだが。昼休みに抜け出してきたのだろうか?
清は走り回る霊と聞いて多少心当たりがあったが、もし想像通りなら本当に無害だ。放置しておいていいだろう。
よく、被害が出てからでは遅いという言葉を聞くが、被害が出なければ人は本気で動かない。そして報酬も払わない。困っている子供を良かれと思って助けると料金を踏み倒されることなどしょっちゅうだった。
「何もなかったのに払うんですか?」
「あなた何もしてないじゃない」
「そんな詐欺まがいなことして恥ずかしくないのか?」
「霊がいたってどうやって証明するの?」
「あれで3万円? いい商売してますね」
清はボランティアはしない。
師である唐沢は半ばボランティアでみんなを助ける立派な聖職者であるのに……
清はボランティアはしない。